晋山式


1、晋山式

晋山式というのは、各寺院において新たに住職となった僧(この方を、「新命方丈」ともいいます。「方丈」とは住職の居室のことで、転じて、その居室にいる人という意味で、住職を方丈とも呼びます)が、その寺院に晋む(=進む)ことです。禅宗寺院は多く山間部にあって山号(=○○山)を持ち、そして、寺院を山ともいうため、「山に晋む式」と書いて「晋山式」としています。簡単にいえば、住職交代式ということです。元々は、「乗り込み晋山」といって、外部から招聘されて、その日当日に初めて各寺院に入ることをいいましたが、最近では、大概、副住職や徒弟として、その寺院に住んでいながら準備を進めて、その山内で内移りをする略法を採っています。

【晋山式(次第)】

・三門法語
新命方丈様が三門(山門)に到着になると、香を焚いて仏道に契った言葉(法語といいます)を唱えて、この三門をくぐる事への見識を述べます。(右写真)

・大擂上殿
三門をくぐると、出迎えに来た僧侶に導かれて、太鼓が打ち響く中を本堂に入ります。

・仏殿法語
本堂の中央に祀られている本尊に、新任住職として挨拶を行います。

・土地堂法語
仏法と各寺院の建物を護持する神である招宝七郎大権修理菩薩の前にて、寺院の繁栄と檀信徒の家内安全や諸縁の吉祥ならんことを祈ります。

・祖堂法語
中国に禅の教えを伝えた達磨大師に法語を唱えます。

・開山堂法語
高祖道元禅師・太祖瑩山禅師・各寺院の開山・歴代の住職の尊像や位牌が祀られる堂に入り、挨拶します。

・拠室
各殿堂での行持が終わると、新命方丈は初めて自室である方丈の間に入ります。

・視篆
寺院に伝わる数々の印鑑を受け取ると、印刻を確認し、実際に署名捺印する儀式を行います。

 

2、晋山開堂

各寺院は、当該地域社会の平和と発展を祈るための活動がなされます。そのため、新命方丈は、晋山と同時に本堂を広く開放し、皆様方の信仰、修養の道場とする旨を宣言し、実際に、本堂(法堂)中央にある須弥壇上に登り、まず祈りを捧げる言葉や、報恩の言葉を、香を焚きながらお唱えし(これを香語といいます)、その式に参加している大勢の僧侶達と大問答を展開して、寺院開山以来の厳しい修行の型を示すものです。

【晋山開堂式(次第)】

・空座問訊
新命方丈が出てくる前に、須弥壇上に迎えて尊い教えを受けることを願って、空座ながらも壇上に対して迎えの礼拝を行います。

・新命上殿
太鼓が打ち響く中を、新命方丈が本堂に入ります。

・伝衣搭著
開山以来伝わる袈裟(=伝衣)を著けます。

・新命登座
新命方丈は、説法(=上堂)、問答を行うために、須弥壇上に登ります。

・拈香
はじめに釈迦牟尼仏・高祖道元禅師・太祖瑩山禅師を供養し奉るための香を焚いて、その功徳をもって人々の幸せを祈願します。次に、各寺院の開山・歴代の住職に報恩の香を焚きます。次に、寺院開創に尽力してくれた開基、並びに檀信徒各家の先祖諸霊に供養し、各家の家門隆昌を願って香を焚きます。最後に、仏祖が伝えてきた大いなる正法を、自分に伝授させてくれた師匠(=本師)に対して、恩に報いる焼香をします。

・問訊
問答に先立って、問答の開始を願う礼拝を行います。順番は、まず新命方丈に付き従っている五人の侍者(五侍者)が問訊し、続いて、本堂の大間に立っている東西の両班が問訊します。

・白槌
白槌師が槌砧という鳴器を打ち、「法筵龍象衆、当観第一義」などの句を述べて問答開始を宣言します。

・垂語
新命方丈は話のきっかけとなる言葉を述べて大衆を誘い、ここに大問答が開始されます。

・問答
次から次に大衆が前に出て、新命方丈に対し、仏道の真意や、和尚としての境涯を問う問答を行います。(右写真)

・拈香・結語
問答の終わりに、それまでの祖師方が残された行実を語り、その跡を偲びながら、一連の流れの結びとします。

・白槌
白槌師が槌砧を打って、「諦観法王法、法王法如是」と唱えて、問答終了を宣言します。

・下座
新命方丈は須弥壇から下ります。

・祝辞・祝電

・祝拝
堂内にいる僧達が、説法・問答が円成したことを祝して、礼拝します。

・散堂
終了したので、各自、本堂から出て、自らの居室に帰ります。