得度式


1、得度式とは

「得度」とは、正式な作法を通して、僧侶に相応しい姿となることによって、仏のみ教えを信じ、仏の徳を身に具えることを意味します。「得度」を受ける方を「発心の人」と呼びます。これは、「仏道への志」を発した人の呼称であり、念願叶って得度される方の気持ちを汲んだ表現です。「得度式」とは、師匠(受業師・じゅごうし)によって、髪を剃り落としていただき、衣(ころも)、袈裟(けさ)、坐具、応量器(食器、鉢盂・ほう)などの、僧侶が僧侶として生きていくために必要な最低限のものをいただきます。そして、更にお釈迦さま以来、歴代の祖師たちがひとえに伝えてきた「戒法」と「血脈」とを受けて、正式に僧侶の仲間入りをするのです。曹洞宗では特に、道元禅師や瑩山禅師が撰述された、『出家略作法』を重んじて儀式を行っています。

 

2、得度式(次第)

現在の『曹洞宗行持軌範』に従って、式次第(差定)と、その内容(進退)を記述します。

出家得度式作法

一、剃度作法

・殿鐘三会大衆上殿
本堂(法堂)の鐘が打ち鳴らされると、その間に定められた順番で多くの修行僧が式場に集合します。

・本師上殿
受者にとって、仏道修行の師となっていただく本師(受業師)が場内に入ります。

・上香普同三拝
本師は、場内に入るとすぐに、この式を見守っていただく本尊様に香を焚き、礼拝を捧げます。

・洒水
水を注いで、場内をお清めします。

・受者上殿
三衣・鉢や戒を受ける受者が、場内に入ってきます。

・奉請
式を見守っていただく、仏法僧の三宝に帰依をして、証明を請います。

・礼讃文
出家をする受者の志を讃え、出家の功徳を高らかに表明します。

・剃髪
受者の髪を剃刀で剃り落とします。最後に「周羅の一結」をも剃り落とします。

・授直裰
衣(大衣、直裰・じきとつ)を本師が受者に授けます。

・安名
本師が受者に対し、仏弟子に相応しい新たな名前を授けます。

・授坐具衣鉢
本師が受者に対し、住するときに敷く坐具、そして、九条衣・七条衣・五条衣(絡子)の三衣を授け仏弟子に相応しい姿とし、仏弟子として生きていくのに必要な食器(応量器、鉢盂)を授けます。

 

二、授菩薩戒法

ここからは、仏弟子として生きていくのに必要な戒(菩薩戒)を授けます。

・懺悔
まずは、これまで生きてくる中で、数えられないほど犯してきた、様々な罪を懺悔します。

・三帰戒
仏法僧の三宝に正しく帰依をすることをお誓いします。

・三聚浄戒
悪事をせず、善事を行い、広く衆生を救うことをお誓いします。

・十重禁戒
十種の禁戒を授けていただき、菩薩として生きることを誓います。

・血脈授与
釈迦牟尼仏から本師を経て受者にまで正しく伝わってきた戒法の証明書を頂きます。

・回向
出家という素晴らしい儀式によって得た功徳を、広く衆生に回らします。

・処世界梵
法の美しい様子を詠み込んだ漢詩を唱え、得度式の終わりを告げます。

・普同三拝
その場にいる者全員が、本尊様に向かって礼拝し、無事に得度式が終わったことを感謝します。

・散堂
列席した者めいめいが、式場から退場します。