【人権フォーラム】管区人権啓発研修会概要報告


宗門では、各宗務所・教化センターなどの人権啓発活動において、役職員が指導者的立場で活動していただくために、管区と人権擁護推進本部の共催で、宗務所・教化センター役職員等人権啓発研修会(以下、管区人権啓発研修会)を各管区ごとに開催している。

今回は、今年度これまでに研修会が終了している4管区の研修内容の概略を報告する。

 

関東管区 

6月10日から11日までの日程で、神奈川県横浜市で開催、テーマは「東アジア出身者の遺骨問題」と在日コリアンに関する課題について学習した。

初日は、市内の宗門寺院を訪れ現地学習を行い、その後会場に戻り、高麗博物館・宋富子名誉館長にご講演いただいた。

宋氏は、幼少時代から貧困と在日コリアンに対する差別を受けてきた自らの人生について語り、日本と朝鮮半島の関わりの中で、歴史から学ぶことの大切さ、そして、自由と平等を訴えた。

2日目は、「東アジアの遺骨問題について」と題して、神奈川県朝鮮人強制連行真相調査団の原田章弘氏にご講演いただいた。

現在宗門でも取り組みを進めている「東アジア出身の強制徴用等の遺骨調査」に趣旨等、共通の部分が数多くあり、原田氏は自身の取り組みについて日本政府の対応を含めた概要の説明、遺骨の奉還運動の意義、そして、神奈川県内での取り組みについて述べられた。

 

東海管区 

 6月10日から11日までの日程で、静岡県浜松市で開催された。浜松市は南米日系人が多く居住しており、今回は南米日系人、特に青少年の人権、そして多文化共生をテーマに学習した。

初日は、浜松学院大学・津村公博教授にご講演いただいた。津村氏は実際に南米日系人青少年への聞き取りなどの活動をされており、講演では映像を交えながら、青少年が現在おかれている家庭状況・教育・就労などの現状と問題点を指摘された。

2日目は現地学習として、浜松市外国人学習支援センターを訪れた。センター1階には、外国人を対象とした日本語教室や外国人市民に日本語を教えるボランティア養成講座など、大人を対象とした教室があり、2階には、準学校法人ムンド・デ・アレグリア学校が入居、南米系の児童生徒の教育を行っており、それぞれの担当者から説明を受けた。

 

北海道管区 

6月14日から15日の日程で青森県青森市で開催、ハンセン病及びハンセン病回復者差別について学習した。

北海道には国立ハンセン病療養所がないため、ハンセン病療養所を訪れて研修をする機会が少ない。今回は研修を企画された北海道第1宗務所の方がたの思いから、北海道管区外での開催となった。2日目には国立療養所松丘保養園を訪れ、施設の見学、納骨堂での供養、そして講演と、約2時間半にわたりフィールドワークを行った。

 

東北管区 

7月13日から14日の日程で、青森県むつ市で、「下北半島における朝鮮人強制徴用者と浮島丸事件」をテーマに開催された。

初日は、浮島丸下北の会・斎藤作治代表と北方文化研究会・鳴海健太郎主宰にご講演いただいた。

まず斎藤氏が「浮島丸事件の現代的意義」と題して、事件の概要説明、そして問題点を指摘された。

浮島丸は1945(昭和20)年8月22日、朝鮮人の帰国のため大湊港を出航、京都府舞鶴港に寄港直前に爆沈した。これについては、沈没の原因など多くの疑惑が指摘されている。

次いで鳴海氏が、下北半島の朝鮮人強制徴用について、歴史的経緯を含めて述べられた。

戦時中、下北半島は半島全体が要塞化され、日本の北を守る役割を担っていた。そして、鉄道や飛行場の建設などが急ピッチで行われ、工事に多くの朝鮮人が徴用され、厳しいタコ部屋労働を強いられた事実がある。

2日目にはフィールドワークとして大間鉄道建設跡地など、強制労働の現場を訪れた。

現在、人権擁護推進本部の取り組みは多岐にわたるが、社会にあるすべての人権課題に対応することが難しい中、このように管区人権啓発研修会を通して多くのテーマで学ぶことができるのは、知識を深める、また、人権問題を正しく理解する上で、貴重な研修会と言える。今後も、同研修会の概要を報告していく予定である。