【人権フォーラム】狭山事件の再審を求める市民集会報告


狭山事件については本誌でも既報のとおり、宗門では「部落差別に基づくえん罪」として、1日も早い再審開始に向け、多くの方がたと連帯をしながら、石川一雄さんを支援している。

昨年12月16日、東京都千代田区日本教育会館を会場に、「狭山事件の再審を求める市民集会(市民集会実行委員会主催)」が開催された。

また、集会に先立つ14日には、狭山弁護団が東京高裁へ新証拠・鑑定書を提出、翌15日には、第5回の3者協議(裁判所・弁護団・検察庁)が東京高裁・岡田雄一裁判長のもとで開かれた。

 午後1時、最初に組坂繁之部落解放同盟中央本部委員長より開会挨拶があり、各政党・国会議員の挨拶と続いた。

そして石川一雄さん早智子さんが登壇、まず、石川一雄さんが、「開示された証拠の中に、私が逮捕された当時のものがあった。今見ても誠に汚い字である。このような字で脅迫状が書けたであろうか。だからこそ弁護団が努力して、さまざまな鑑定書を付した証拠を提出している。脅迫状と石川一雄が書いた上申書は一致しないということを、改めて裁判官も認識してもらえるのではないかと思っている。

しかし楽観はせず、皆さんのお力添えをいただいて、無罪を勝ち取るまで不屈の精神で闘っていく」と決意を表明した。

次いで早智子さんが「これまで、皆さんのお力をいただきながら高裁前でアピールを続けてきました。この中で石川がいつも最後に言う言葉は『私は無実、しかし、無罪判決を出せるのは裁判官しかいない。事実調べをして欲しい。事実調べさえしていただければ、私の無実は明らかになる』ということです。

私が感じているのは、『狭山』に風は吹いている、正義は私たちの側にあるということです。裁判所の前にも関わらず多くの署名をいただきました。足利事件、布川事件と再審の流れは止められない。そしてその中に狭山もあります。来年は決戦の年になります。そのためにも皆さんのお力をいただきたい」と述べた。 

その後、弁護団報告、基調提案があり、再審えん罪事件当事者からの連帯アピールが行われ、足利事件で再審無罪を勝ち取った菅家利和さん、今年3月に布川事件で再審判決を迎える杉山卓男さん、桜井昌司さん、袴田事件を支援する袴田巌さんの姉、袴田ひで子さんと楳田民夫さんが登壇した。

これらの方がたと石川一雄さんとの関係は、菅家さん、杉山さん、桜井さんと千葉刑務所で同時期に服役しており、袴田巌さんとは東京拘置所で一時期服役している。

まず、菅家さんが「会場にいる人たちも、いつ、どこでえん罪に巻き込まれるかもしれません。自分には絶対に降りかからないというのは嘘です。私もそう思っていました。いつの間にか犯人にされたんです」とえん罪事件は決して他人事ではないと訴えた。

次に、杉山さんが「足利事件と布川事件はここまできましたが、狭山事件についても確実に追い風が吹いていますので、再審開始になって無罪判決を勝ち取ってもらいたい」と述べると、桜井さんが「警察・検察の証拠のでっち上げや、証拠隠しについて裁判所は余りにも無批判すぎる」と裁判所にも責任があると指摘、また、「今までたくさんえん罪事件があったにも関わらず、警察・検察はただの1回も罪に問われていない。狭山事件でも、証拠開示すれば石川さんが有罪になるはずがない。無罪を証明する証拠があってそれをださなければ証拠隠しです。証拠隠しは犯罪です。私は29年刑務所に入りましたが、証拠を隠した人には29年刑務所に入ってもらいたい」と、えん罪を起こした側が罪に問われない現実に怒りをあらわにした。そして「皆さん、えん罪のない社会を作るためにがんばりましょう」と熱く語った。

最後に楳田さんが「現在、狭山事件と袴田事件は大きく関連しています。狭山事件が3者協議を経て一部証拠が開示されましたが、袴田事件も3者協議を経て2回にわたり証拠が開示されました。袴田巌さんは高齢ということもあり、早く証拠を開示させて、狭山事件とともに再審開始に向けてがんばりたい」と連帯を呼びかけた。

その後、集会アピールが読み上げられ、拍手を持ってこれを採択、閉会挨拶を持って、午後5時に本集会は終了した。

終了後、JR主要駅を中心に、一斉に街頭宣伝とティシュ・チラシの配布、署名活動を行った。集会に参加した宗教者(「同宗連」)も中央区銀座・数寄屋橋交差点付近で約1時間にわたり署名活動を行った。

集会の中で石川早智子さんが語ったように、確かに足利事件、布川事件に続く再審の風は吹いていると感じる。3者協議を経て一部証拠開示もなされたが、重要な証拠に関しては、いまだ未開示である。狭山事件再審開始に向けては証拠の全開示が大きなポイントになる。

今後も、裁判所には1日も早い再審開始を、検察庁には全証拠の開示を強く求めて行かなくてはならない。