【人権フォーラム】平成23年度第1回人権啓発相談員協議会


6月27日から28日まで1泊2日の日程で、曹洞宗檀信徒会館を会場に「2011年度第1回人権啓発相談員協議会」が開催された。人権啓発相談員(以下、相談員)は、さまざまな人権問題について主体的に取り組む宗門僧侶の中から委嘱しており(任期は四年)、本年4月、新任9人を含む19人が委嘱、今協議会が初の顔合わせとなった。
初日午後2時、佐々木孝一人権擁護推進本部長より挨拶があり、日程説明、宗門の取り組みと現況報告と続いた。そして、自己紹介を兼ねて、これまでの自身の人権啓発の取り組み等が述べられた。
昨年まで人権擁護推進主事を務めた九州の相談員からは、宗務所が交代する際に、前人権擁護推進主事が新しい人権擁護推進主事と共に人権啓発を進めていくシステムが構築されていることなどが紹介され、「参考にしたい」等の感想が述べられた。
 
休憩をはさみ、「入所児童を通して見える児童虐待とDVの現状」と題して、児童養護施設「野の花の家」花崎みさを統括施設長にご講演いただいた。花崎氏には、人権啓発映像第13作『いのち、つないで~無縁社会から有縁社会へ~』にご出演、「野の花の家」も取材させていただいた。
花崎氏はまず、日々子どもたちと向き合う中から、園に来る子どもの家庭の実態について述べた。
「家庭が崩壊しています。愛着関係が希薄なことが、私たちの活動の視線で家族を見ると分かります。多いのが母親の放任、怠惰です。子どもを見なければならないのに食事を作らない、洗濯もしない、学校の用意もしない。そしてもう一つは、母親の精神疾患です。これも大きな社会現象の1つだと思いますが、お母さん自身が精神疾患を発症していることが分からないまま、それが子どもに影響している。特にうつを患いますと、気分が落ち込んで子どもを見ない。場合によってはそれがネグレクト(育児放棄)であったり、そこで子どもがお母さんをせかすと、殴る蹴るという虐待に結びついていくこともあります。さらに、養育拒否も多くて、自分の子どもが自分の思うように育っていかないと『子どもを見たくない、要らない』と言うんです。」
次に、園に来る子どもには強い愛情欲求があると指摘する。
「虐待されていくということは、愛されていなかったことですから、愛情欲求が物凄く強いですね。どんな子どもも愛されたいという欲求を持っています。しかし、愛情欲求が満たされないために起こすさまざまな行動や、生活環境が悪かったために私たちの所に来る前の環境で身につけた問題行動を持っています。態度や言葉使いが悪い、挨拶ができない、そして、社会的ルールや、家庭とは何かを全然教わらないまま来ている子どもたちが多くなってきて、色々なことを教えたり、一緒に何か行動することが難しくなってきます。」
このような現状の中、子どもが誰かに愛されていることを実感することが大切だと力説する。
「どんな問題行動を抱えている子どもでも、自分が誰かに愛されている実感を持てば、必ずまっすぐ歩いていくことができると思います。実感として子どもたちとの関わりの中で色々な子どもがいました。親も愛してくれないわけですから、学校の先生でも、私たちでも、近所のおばさんでも、近くのお寺さんでもどなたでもいいんです。自分のことを本気で心配してくれることが分かればその子は良くなっていくのです。」
最後に、地域での寺院の役割について述べて締めくくった。
「地域社会の子どもたちが、社会の中できちんと生きていけるような地域社会を作っていかなければいけないと思っています。そして、そこに地域の中心的な働きをしているお寺さんがいてくださることが、大事なことなんです。」
 
2日目は協議が行われ、人権啓発映像第13作の感想や反応、現在制作中の人権啓発映像第14作について、事務局から概要説明があり、それに関しての意見の交換がなされた。
さらに、第4回宗門主催被差別戒名物故者追善法要(9月8日・愛媛県新居浜市・瑞應寺で執り行われました)の差定についても意見が述べられ、最後に、齋藤裕道人権擁護推進本部次長の閉会挨拶をもって全日程を終了した。