【人権フォーラム】平成23年度第2回全国人権擁護推進主事研修会


2月27日から29日の2泊3日の日程で、宮城県仙台市内を会場に2011年度第2回全国人権擁護推進主事研修会が開催され、各宗務所人権擁護推進主事、人権啓発相談員など約80人が参加した。

初日午後2時、齋藤裕道人権擁護推進本部次長の導師による開会諷経、そして挨拶。オリエンテーションの後、人権啓発視聴覚教材第14作『向きあう 伝える 支えあう~生と死を見つめて』を視聴した(内容は本誌3月号参照)。

休憩をはさみ、シナリオライター・山上梨香氏にご講演いただいた。山上氏は、第13作「いのち、つないで」同様、今作のシナリオ、並びに出演者へのインタビューも担当された。

まず、前作との関連について触れ、「どちらも『いのち』が大きなテーマだが、前作は『無縁社会から有縁社会へ』として人との繋がりをどう築いていくかを映像化した。今作は『生老病死』について正面から見つめて、その中でどうしたら安心して生きていける世の中になるのかに焦点を当てた」と説明。そして個別テーマごとのポイント、また、映像に盛り込むことができなかったエピソードなどを交えてお話しいただいた。

次に、2日目の現地学習の事前研修として人権啓発相談員・佐竹孝喜師にご講演いただいた。

宮城県宗務所副所長で東日本大震災災害対策室長も勤める佐竹師は、宮城県宗務所管内の被害状況、現地学習の行程などについて、資料をもとに説明された。

終了後、7班に分かれての分散会が行われ初日の日程を終了した。

2日目は現地学習として、まず、今作で取材した本吉郡南三陸町西光寺(住職小沢良孝師)を訪れた。

西光寺は津波で本堂と庫裏が流されたが、檀家や地域の方がたの協力により、本尊をはじめ多くの仏具が救出され、仮本堂に安置されている。

仮本堂において東日本大震災物故者壱周忌法要を修行。そして、小沢住職より挨拶があり、その中で被災直後の状況をこう語った。

「3日目から避難所に出向き、檀家の消息を聞いていると、皆さんひどく落胆していました。これではいけないと思い『助かって良かったね。仏さま、ご先祖さまに助けていただいたのだから、頑張って生きないとね』と、生きていることを実感してもらうように声を掛けてまわりました」。

次に、南三陸町のホテル「観洋」に移動、女将・阿部憲子氏にご講演いただいた。

観洋の建物は強い岩盤の上に立っており、2階まで津波が押し寄せたが、5階のフロントなどは無事で、震災直後から避難所となった。

「電気や水道が止まり、宿泊者や従業員、避難してきた町民など350人ぐらいがおりました。すぐに館内にある食料で1週間もたすように指示をして、スタッフを集め『心を強く持って欲しい。緊急事態なので、お客さまと避難者が優先。皆さんには我慢してもらうかもしれないが、譲り合いの精神で頑張って欲しい』と言いました」。

宿泊者に関しては1週間ほどで戻ることができた。しかし、8月まで避難所となり、その間、4ヵ月水道は止まったままだったという。

最後に、今の被災地の現状を踏まえ「被災地を実際に見ていただけることがありがたいと思っています。人口の流出が深刻ですので、他地域の方に足を運んでいただかなければ町が元気にならない。やっと工場が再開しても住人が少なくて商売のめどが立たない方もいます。被災地に来てガソリンをいれていただくだけでも支援なんです」と訴えた。

その後、先生・児童約80人が亡くなった石巻市・大川小学校で献香。そして、仙台市内会場に戻り2度目の分散会を行った。

最終日は、伊藤謙允人権擁護推進本部事務局長より「宗門の取り組みと現況報告」があり、続いて、宮城県宗務所人権擁護推進主事・辻文生師より報告があった。

辻師の自坊である南三陸町徳性寺は津波で被害に遭っている。檀家も150軒のうち130軒が家屋流出、現在は残った20軒の檀家とともに寺院を護っている。

報告の中で、復興について触れ「同じ被災者として檀信徒に向きあい、痛みや苦しみを分かち合って地域づくりをやりたい。そこで庫裏を早く建て直して、檀信徒の皆さんとお茶飲み会などをしているわけです。とにかく地域づくりが復興だと考えております」と述べられた。

引き続き全体会が行われ、分散会での議論を集約、各班からの発表があり、正午に全日程を終了した。

第14作の映像に出演いただいた佐竹師は映像の中で「遠くで起きたこと、いろんな事情があっても忘れないで自分のこととして捉えて、これからも自分にできることをやっていく」と述べている。被災地ではまだまだ困難な状況におかれている方がたがたくさんいる。私たちは、多くの人権課題と同様に、常に忘れないで関心を寄せ、そして積極的に関わっていかなければならない。