【人権フォーラム】平成25年度第1回全国人権擁護推進主事研修会


10月2日から4日にかけて2泊3日の日程で、北海道千歳市において全国人権擁護推進主事研修会が開催された。

木村清韶師

初日、最初の講演は北海道第1宗務所所長の木村清韶師より「北海道における曹洞宗の歴史」と題して、中世から近世にかけて蝦夷地と呼ばれた北海道の政治、宗教の流れについてお話しいただいた。

阿部一司氏

続いて社団法人北海道アイヌ協会副理事長の阿部一司氏より「アイヌの人たちとともに―その歴史と文化―」と題してお話しいただいた。

両講演によれば北海道では12世紀まで歴史区分としては縄文時代が続いたことになり、その後アイヌ文化期が始まる。中世以来、本州とアイヌ民族とのかかわりは交易中心であった。本州側からの収奪・抑圧などでたびたび衝突を起こし、時の中央政権が沙汰を下す、ということを繰り返しつつも互いに過度に文化的に干渉することはなかった。

明治に入り、国家としての中央集権を徹底し始め、同時に”開拓者”が入るようになってからアイヌ民族を取り巻く状況が大きく変化することになる。

最後に阿部氏は「明治以降、本土からの”開拓”によって大半の土地を奪われ、同化政策の中で多くの文化を失ってきた、そのことがどれほど深刻なことなのか初めは気付いていませんでした。そのことに気付かされたのは国連の先住民族の権利に関する会議に出席したときに他の国からの参加者に指摘されてからでした。国連の先住民族の権利宣言が2007年に出され、翌年の洞爺湖サミットの年に衆参両院でアイヌ民族は北海道の先住民族だと議決されました。これから私たちの失われていた権利の回復に努めて行きたいと思います」と意気込みを語られた。

野本勝信氏

2日目は白老町にあるアイヌ民族博物館で現地学習を行った。アイヌの伝統音楽や民族舞踊のデモンストレーションを見学。続いて、館長の野本勝信氏より、習俗を観光資源としていた戦後から60年代の状況、私設の博物館が開設され現在に至るまでのお話、そして「ここ白老に国立の博物館を、という話しも出ていますが文化は時代とともに変化するものです。単に伝承を伝えるだけではなく、アイヌが主体的にこれからの自らの文化を形作って行ける形態を模索していきたいと思います」と、アイヌ民族としての今後への思いを語られた。

田中清元師

最終日、「北海道における朝鮮半島出身者の遺骨について」をテーマに薬王寺住職田中清元師より自身の取り組みについてお話しをいただいた。

宗門は2006年より朝鮮半島出身者の遺骨返還事業を日本政府に協力しその取り組みを開始しているが、田中師は国の返還事業以前より開拓殉難者の慰霊供養を行っている。北海道にも炭鉱労働、開拓事業などで多くの労働者が朝鮮半島から集められ、その数はおよそ10万人ほどになるだろうといわれている。故郷に帰ることができなかった遺骨について、仏教者として供養していることも報告された。

最後に全体会にて各分散会の意見を集約し、全日程を終了した。

人権擁護推進本部記