【人権フォーラム】平成24年度第2回全国人権擁護推進主事研集会報告


月11日から13日の2泊3日の日程で、福島市において全国人権擁護推進主事研修会が開催された。

午後1時半に開会。最初の研修は、東京電力福島第1原発事故を取り上げた人権啓発映像第15作『原発事故~人権は、守られたか~』を視聴。続いて映像制作委員会座長である篠原鋭一人権啓発相談員に、ご講演いただいた。映像制作や自身の支援活動から見えてきた福島の現状について。
「原発事故から避難した人は、平均して4回から10回の転居を経て現在の居場所にいる。自らを『棄民(きみん)』『難民』『流浪の民』だと言う声もある。90歳、100歳と年を重ねてきた人が今回の事故を苦にして自死してしまう、これはとんでもないことである。家族の分断、地域の分断、そして福島と日本の分断が起こりつつある。人は孤独には耐えることができたとしても、今まであった縁が断たれ孤立してしまうことには耐えることができない。その孤立化が、私たちが取り組んできた部落差別問題やハンセン病問題と同じ差別の構図を再び造り出そうとしている」と指摘。最後に「今、起こりつつあるリアルタイムの人権問題を広く知らしめてほしい」と結んだ。なお、この映像は今年度の教区人権学習の教材として使用する。

続いて㈱NO BORDER代表取締役、公益法人自由報道協会理事長の上杉隆氏に「報道と人権~原発報道を通して~」と題して講演をいただいた。

上杉隆氏

吉岡棟憲宗務所長


2日目は現地研修を行った。午前は福島県宗務所にて吉岡棟憲宗務所長より県内の状況についてお話いただいた。「人は、知らないこと、直に触れたことがないことに先入観で簡単に判断を下してはいないでしょうか。福島駅を降りても特段変わった様子がないように見えるかもしれません。ですがここが恐ろしく、難しい所で、放射性物質は色も臭いも有りません。見えないが故の不安の中で暮らして行かなければならない現状を、皆さまの目で判断していただきたい」。
 
午後は東京電力福島第1原子力発電所から26㎞の地点に位置する田村市長岩寺を会場に東日本大震災物故者三回忌法要を厳修。渡辺宗貫住職、吉田正総代の案内で警戒区域との境界のゲートや、吉田総代を含めた檀信徒が生活している仮設住宅などを訪れ、話を伺った。長岩寺の周辺は田村市による除染が行われているが、発電所から半径20㎞圏内の避難指示解除準備区域は国による除染が行われている。渡辺住職によると「国と田村市では除染に掛けられる予算が違います。

長岩寺住職渡辺師と吉田総代

市では家の周り、特に線量の高いところから除染して、除いた土も持って行き場所がないので黒い袋に入れて自分の敷地に並べてあります。しかし、国の除染は20㎞圏内に入ると山すその下草まできれいに取り除かれています。それに田畑のあぜ道まで除染されていて砂利まで敷いてある。黒い袋も1ヶ所に集め家ごとに見かけることもありません」。

辻淳彦師


3日目は、「弱者の再生産」と題して曹洞宗特命布教師で伊達市興國寺住職の辻淳彦師にご講演をいただいた。「人権擁護の根底をなすのは、押し付けられた理論でもないし、学識でもないし一番根底をなす大切なものは人間のやさしさだと私は思います。『人間愛』という言葉で表現しても良いかもしれません」。と人権擁護の根本について触れられた。