【人権フォーラム】石川夫妻の幸せを願う宗教者の集い ―狭山差別事件の再審開始を求めてー


狭山事件は、部落差別に基づく冤罪事件であり、石川一雄さんが不当逮捕され本年5月23日で50年を迎えた。

宗教者としての力を結集すべく、5月22日、東京都・築地本願寺第2伝道会館蓮華殿において「石川夫妻の幸せを願う宗教者の集いー狭山差別事件の再審開始を求めてー」が開催された。

当日は、「同和問題に取り組む宗教教団連帯会議」(同宗連)に加盟する仏教、神道、キリスト教教団など総勢300名が集い、狭山第3次再審開始に向けての声をさらに高め合った。

始めに石川一雄・早智子夫妻が入場され、場内は拍手に包まれた。石川夫妻を見守る大きな拍手は、なかなか鳴り止まない。再審開始への強い決意のようであった。

続いて、この事件によりいのちを奪われた被害者、被害者の親族も含めた複数の自死者への慰霊をこめて参加者全員で黙祷を捧げた。

川端健之議長の挨拶

その後、立正佼成会の川端健之同宗連議長が開会の挨拶を述べた。

「石川一雄さんの無実を訴え、狭山事件の再審開始を訴えようという多くの熱意ある宗教者、信仰者の皆さまに集まりいただいた。本年5月23日は、石川さんが不当逮捕されてから半世紀の50年目となる。1981年に結成された同宗連は、30年近くにわたり、狭山の現地調査での学びを重ね、この事件は部落差別に基づく冤罪事件であるという認識を互いに深め、取り組みを進めてきた。本日の式典、パレード、各教団代表者による東京高等裁判所への申し入れの取り組みが、再審開始のための力となることを願う。23日には、全国規模の市民集会が日比谷野外音楽堂で開催されるので、併せて参加をお願いしたい」

挨拶の後、本年秋の完成予定の狭山事件ドキュメンタリー映像「見えない手錠をはずすまで」の予告編を上映し、金聖雄監督から、「石川さんは、50年間も冤罪という厚い壁を背負わされているが、石川さんの強さや優しさ、生きざまを日々の撮影の中で感じてきた。石川夫妻が『冤罪』の中を生きていることを映像の中に込め、多くの人たちに『狭山』の真実が伝わればと願っている。石川夫妻は今日まで多くの人たちと出会い、数えきれない輪を共に築いてきた。私たち1人ひとり何が出来るのかを考え、さらなる一歩を踏み出していくことこそが大切ではないか。このVTRが再審開始の弾みになればと願っている」と述べた。

引き続き、天台宗の村上圓竜同宗連副議長が、集会宣言を述べた。

また、宗派グループによるアピールが仏教、神道、キリスト教の順番に行われた。

仏教を代表し、曹洞宗は般若心経の読誦並びに、普回向を唱えた。神道を代表した金光教は楽奏に合わせ厳かな舞の演舞を披露し神へ祈りを捧げ、キリスト教を代表した日本基督教団は聖書を引用し、讃美歌とともにメッセージを奉読し、それぞれ宗教者独自のアピールを行った。

第三次再審に向けての決意

最後に石川夫妻が登壇し、「自分は32年間の獄中生活の中で、文字の大切さを知った。獄中で刑務官と出会い、その刑務官から「自分の無実(真実)を訴えるための文字」を学んで冤罪を晴らす力とし、その文字を使って世間に無実を訴えることができた。もしも、刑務官との出会いがなければ、文字を学ぶことも使うこともできず無実を訴えられなかっただろう。だから文字を知らなかった自分の無知、無学さは恐ろしいことだと今も実感している。その刑務官が自分を助けるべく8年間もつきっきりで文字を教えてくれたおかげで、今では文字の読み書きが出来るようになった。冤罪を晴らすため、獄中で文字を何度何度も繰り返し練習した。裁判所の事実調べが今度こそ行われると信じている。この7月に三者協議(裁判所・検察官・弁護団)が行われるが、裁判所の事実調べが始まれば、100パーセント自分の無実が明らかになる。この裁判で何としても冤罪を晴らすための決着をつけなければならない。裁判官が狭山事件の真相究明のために裁判を開いてくれることを願う。そして、今日までの様々な鑑定が自分の無実を証明している。ぜひとも皆さんの力で、第3次再審で無罪が勝ち取れるように心からお願いしたい」と締めくくった。

同宗連加盟教団によるパレード

この言葉を胸に抱き、築地本願寺を出発、日比谷公園までをパレードし、狭山事件の再審開始を市民に広く訴えた。世間に広く伝えるため、集会宣言文、事件についてのパンフレットやチラシなどを街頭で配布した。パレード終了後、各教団代表者は、東京高等裁判所で第3次再審開始を求める要請を行い、日程を全て終了した。

狭山事件の真実を1人でも多くの人たちに伝え、訴えていくこと。そして、見えない手錠をはずすため、これからも石川さんを心から支援し、この冤罪を晴らすべく、引き続き力の限り行動を起こしていきたい。

(人権擁護推進本部記)