【人権フォーラム】管区役職員人権啓発研修会概要報告(1)


宗門では、各宗務所など人権啓発活動において、役職員が指導者的立場で活動していただくために、管区と人権擁護推進本部の共催で、宗務所・教化センター役職員人権啓発研修会を管区ごとに開催している。この度、6月17日~18日に開催された関東管区並びに東海管区役職員人権啓発研修会の概要を報告する。


関東管区

・期日 6月17日~18日
・会場 川越プリンスホテル

今年度は事件より50年の節目となる、「狭山事件」をテーマに研修。狭山事件とは、1963年に埼玉県狭山市で起きた女子高生誘拐殺人事件で、身におぼえのない当時24歳だった石川一雄さんが逮捕され、部落差別に基づく見込み捜査や別件逮捕、自白の強要など、多くの問題点のある冤罪事件である。

はじめに映画『造花の判決』を上映。この映画は狭山事件発生から11年を経た1976年の作品。

事件から50年が経過し、現場の狭山市(旧入間川)駅周辺は大きく様変わりしており、当時の狭山の映像は事件の状況を考える上で役立った。

部落解放同盟中央本部・安田聡氏

次に部落解放同盟中央本部の安田聡氏を講師に、この事件の問題点と50年間の取り組みについてお話しいただいた。

軽犯罪で別件逮捕し、その席で逮捕容疑に関係のない殺人事件についての厳しい取り調べを行い、自白の強要を迫った点や、弁護士、親族との面談が実質できなかった点などの問題点を指摘。続けて再審請求の中で新たに検察側から開示された証拠物件、誘拐の脅迫状について、「逮捕当時、小学校の時から働いていた石川さんは文字を書くことが出来なかったのです。その石川さんが警察署で書いた上申書は、誘拐事件の脅迫状とは似ても似つかない。とても同一人物のものとは思えないのに、こんなに重大な証拠が2010年まで隠されていたのです」とし、再審請求の運動の中で出てきた新たな証拠をもって、今年の後半から来年にかけて再審について動きがあるだろう、と話された。

石川一雄さんご夫妻

最後は石川ご夫妻より、獄中で文字を取り戻したことや家族のこと、ご自身の想いをお話しいただいた。

2日目は人権擁護推進本部より、宗門の取り組みと現状が報告され、全体会で宗務所ごとの分散会の発表、人権啓発相談員の渡邊雪雄師が全体会の総括を行い、2日間の日程を締めくくった。


東海管区

・期日 6月17日~18日
・会場 ホテル名古屋ガーデンパレス

NHK報道局社会番組部・板垣淑子氏

第1日目は、NHK報道局社会番組部「おはよう日本」チーフプロデューサーの板垣淑子氏より、「無縁社会とどう向き合うか」をテーマとした講演をいただいた。

物質的に豊かになり、心の豊かさが希薄になりつつある現代。人口の都市集中により地方の過疎化が進み、地方では高齢者の1人暮らしが増え、また都市部では若者の1人暮らしが多くなっている。血縁・地縁・社縁といった人と人のつながりが薄くなり、隣の家に誰が住んでいるのかも分からない、病気になっても頼る縁が近くにない、人と付き合うのが面倒と思う人が増えたとされる。そのことにより亡くなっても発見が遅くなるケース、また遺体の引き取り手もいない「無縁死」が急増していると言われる。その数は年間で3万2千人にもなると報じられている。

板垣氏は、2010年に放送されたNHKスベシャル「無縁社会」の制作、取材に関わったことに触れ、「無縁社会」の状況や地域での支え合い、つながりづくりをどのように進めていけばよいかを自身の取材、取り組みの中から話された。

中京葬儀社代表取締役・佐治勝氏

続いて、板垣氏、中京葬儀社代表取締役の佐治勝氏、愛知県第3宗務所所長の新美忍雄師、人権啓発相談員の村瀬法晃師をパネラーに迎え、愛知県第3宗務所人権擁護推進主事の斎藤貞雄師の司会進行のもと、パネルディスカッションが行われた。今日の無縁死の現場の状況・取り組みなどを各パネラーから聞き、参加者は理解を深めた。

板垣氏の講演、パネルディスカッションを踏まえ、二日目は分散会が持たれた。また人権擁護推進本部より、宗門の取り組みと現状報告がなされ、各宗務所活動紹介へと続いた。

その後、全体会が持たれ、各班から「無縁社会を防ぐためには、地域の絆づくりが不可欠だ。1人でも多くの人たちに声をかけていく仕組み作りが大切で、僧侶として1人の人間として、今後この問題にいかに対処し、寺院としての役割をなすべきかを考えていかねばならない」といった活発な意見、発表がなされた。最後に村瀬法晃師が全体会の総括を行い、2日間の研修会は終了した。

(人権擁護推進本部記)