【人権フォーラム】管区役職員人権啓発研修会概要報告(2)


宗門では、各宗務所など人権啓発活動において、役職員が指導者的立場で活動していただくために、管区と人権擁護推進本部の共催で、宗務所・教化センター役職員等人権啓発研修会を管区ごとに開催している。この度、7月9日~10日に四国管区、7月18日~19日に中国管区の人権啓発研修会が開催されたので、概要を報告する。

四国管区
・期日 7月9日~10日
・会場 ホテルサンルート広島

今年度は、広島市において、原子爆弾による被害および差別問題について学習した。

原爆ドーム

1日目は、平和記念資料館を訪れ、被爆体験講話を奥田榮氏よりうかがった。奥田氏は当時8歳、爆心地から900数10メートルのところに自宅が位置し、家族や多くの友人を失った。

当時、氏の父親は県の職員をしており、原子爆弾が投下された時点では軽い怪我で済んだ。しかし瓦礫にうもれた職員を毎日探しに行き続け、その最中放射線を多く浴びたために急死した。

奥田氏本人も放射線を多く浴びたということを現在も気にしており、体調が悪くなると、遂に放射線の影響が来たのかなと、怯えることもあるという。

現在の原子力発電の是非についての質問には、「広島周辺の人も意見はさまざまである。原子爆弾が落ちた後、広島市は40年草木が生えないと言われてきた。しかしここまで急激に復興できたのは、昭和20年に発生した枕崎台風によって、放射線量が急激に落ちた為である。それ位の大きい何かが無ければ生まれ育った故郷にも帰れないのが実情である。再稼動についての是非を皆さんで今一度考えて欲しいと述べた。

講演終了後、平和記念公園内2ヵ所において、追悼法要を執り行った。

2日目は映画『広島昭和20年8月6日』を視聴し研修した。

その後、曹洞宗人権擁護推進本部より、宗門の取り組みと現状が報告されると、引き続き閉会式が執り行われ、2日間の日程を終了した。

中国管区
・期日 7月18日~19日
・会場 いこいの村しまね

石川一雄さん

今年度は「狭山事件に学ぶ」をテーマとして、1日目は石川一雄さんより、当時のずさんな取調べから、現在に到るまでの経緯をお話しいただいた。最後に無罪を勝ち取るために、ぜひ皆さんに協力して欲しいと述べた。今でも石川さんは仮出所という立場のため、毎月第3金曜日には、法務省に面談に行かなければならないという。

次に部落解放同盟中央本部書記長・松岡徹氏を講師に狭山事件の経緯をお話しいただいた。狭山市の被差別部落民は他の地域から「あの地域ならやりかねない」などと、強い差別心を持たれていたという。松岡氏は、警察がそのような情報をもとに被差別部落民を中心に取り調べをした、部落差別事件であると述べた。

部落解放同盟中央本部書記長  松岡徹氏

さまざまな状況・物的証拠の矛盾を述べ、こんなにも強引な内容で裁判が進んでいったという事実があるのに再審をしないのはおかしいとし、再審が開始されるよう、協力を呼びかけた。

その後、人権擁護推進本部より、宗門の取り組みと現況報告がなされた。

2日目はフィールドワークとして、島根県連合会部落解放同盟執行委員長である浅原寛巳氏より説明を受けながら島根県邑南町の下口羽地区を訪れた。ここは、度々水害に苦しんできたが、同和対策事業により住環境整備がなされた地域である。整備前と後の写真パネルが提示され、内容を詳しく理解することができた。

その後、高丸農園を訪れ、園長である荒木勝次氏よりお話をうかがった。高丸農園は、被差別部落の方たちが開拓した地域であり、他の集落から大きく離れており、当時から現在に到るまで、梨栽培にはさまざまな苦労があったというお話をされた。

フィールドワーク終了後、会場に戻り、全大会が持たれ人権啓発相談員である山本昌男師より統括があり、2日間の研修会を終えた。

(人権擁護推進本部記)