【人権フォーラム】宗門主催被差別戒名物故者諸精霊追善法要


11月13日、奈良県桜井市慶田寺を会場に、宗門主催による被差別戒名物故者諸精霊追善法要が佐々木孝一宗務総長を導師に厳修された。

この法要は両大本山とは別に、2008(平成20)年度から宗門主催で開催し、今回で6回目となる。

本年度は、近畿管区役職員人権啓発研修会と併せて執り行った。

佐々木宗務総長

内局をはじめ、近畿管区内宗議会議員、宗務所役職員、教化センター役職員、奈良県宗務所管内教区長、青年会・寺族会、人権啓発相談員など多くの宗門関係者、さらに来賓として、部落解放同盟中央本部、部落解放同盟奈良県連合会ほか近隣の各県連、「差別をなくす奈良県宗教者連帯会議(奈宗連)」の各代表者の焼香をいただき、総勢140人余りの参列となった。

午後2時打ち出し。はじめに「供養のことば」を奉読、続いて『修証義』後二章を遶誦し、参列者の焼香が行われた。

法要終了後の挨拶では佐々木宗務総長が参列者と会場主へ謝意を述べ、「差別戒名」改正の現状を報告し、今後の決意を述べた。

大竹玄峰師

続いて会場主の大竹玄峰慶田寺住職より「今年度は奈良県でやる、この慶田寺でやる、と聞いて、気持ちの引き締まる思いでした。人権に関する取り組みに少しでもご協力できれば、と思いお受けいたしましたところ、本日このように多くの皆さまにご参列いただき、大変嬉しく思います」とご挨拶をいただいた。また、来賓を代表して部落解放同盟中央本部の組坂繁之執行委員長から「佐々木宗務総長の力強いお言葉と、着実な差別戒名改正への取り組み、皆さまの努力に敬意を表したい。死後にまで及ぶ差別を受けてきたみ霊も、この法要でいささかでも慰められているのではないかと思う」と挨拶があり、その後、来賓紹介が行われ散堂となった。

組坂繁之氏

休憩をはさみ、「奈良県内の差別撤廃への課題」と題して、部落解放同盟奈良県連合会伊藤満書記長にご講演いただいた。

講演では「在日特権を許さない市民の会」(通称「在特会」)の差別街宣活動について言及。

「御所市の水平社博物館での差別発言街宣活動がありました。2011年は韓国併合100周年の年で日韓併合の問題を取り上げた展示を行っていたところ、『在特会』の人がこの展示を観てクレームをつけ、1月22日に街宣に来ました。1時間程、聞くに堪えない差別語を並べ立て、その映像をインターネットで公開しました。

伊藤満氏

インターネットで水平社博物館を検索するとこの映像が一番に出てくるような状況になりました。そこで水平社博物館を原告として名誉毀損で民事訴訟を起こしました。8月に提訴して、4回の口頭弁論を経て、2012年6月に判決。結果は我々にとって勝訴と呼べるものでした。判決内容は3点。1つ目は発言の「穢多」及び「非人」などの文言が不当な差別用語であることは公知の事実である、という差別の認定。

2つ目が街宣行為とその様子を動画サイトに掲載することが原告への名誉毀損に当たるということ。

この判決を持って動画サイトの運営会社に動画の削除要請を行ったところ、判決の翌日には削除されました。

3つ目に被告の不法行為による原告への有形無形の被害は相当大きなものであり慰謝料150万円が相当、ということ。

控訴はなく、勝訴が確定しました。しかし、博物館という法人格への誹謗があったので勝訴はできましたが、不特定多数への誹謗中傷は名誉毀損も侮辱罪も適用されないという現実があります。

例えば大阪鶴橋のコリアンタウンでも「在特会」はマイクで街宣していますが、これを訴えることができない。こうした部落差別や民族差別が規制されないということです。

国連の人種差別撤廃委員会は日本に対して差別禁止法の制定を求めています。あるいは人権侵害救済法というような、人権侵害を受けた場合に行政がどう対応するかを定めたものを私たちは要請しています。政府がなぜこういった法律を制定しないのかというと、ひとつは表現の自由と抵触するということ。もうひとつは日本には法務局があって年間2万件の人権侵犯を処理している、そうした行政機構が機能しているので必要ないということ。今回の訴訟に際しても、法務局は拘束力のない勧告を出すだけで、他には何もしてくれませんでした。

アジアで差別禁止法がないのは日本と中国だけです。中国にはそもそも表現の自由がないので、あまり必要がないのだとすれば、日本だけが持っていないという状況になります」と伊藤氏は差別禁止法の必要性を訴えた。

午後4時に、全日程を終了した。

(人権擁護推進本部記)