【人権フォーラム】平成25年度第2回全国人権擁護推進主事研修会


3月3日から5日にかけて、平成25年度第2回全国人権擁護推進主事研修会が大阪市内で開催された。

初日、「人権システム創造のために」と題して、近畿大学教授、人権問題研究所の北口末広氏よりご講演をいただいた。

「差別問題、人権問題を考えるとき何が問題となるのか、という基準を考える必要があります」と、具体的な例を挙げながら「『何を、誰が、いつ、どこで、何のために、どのように』という『5W1H』をしっかりと把握することが大事です」と述べられた。続けて「そうして差別を生む社会システムが分かったら、そのシステムを無くすだけでは不十分で、植えつけられた差別意識を取り除くための社会システムを創造、確立する必要があるのです」と説明する。問題解決には「『①事実認定②問題点の整理③背景、原因の整理④課題の整理⑤実践』という一連の流れがある」と述べられた。

j201404-2休憩を挟み、狭山事件冤罪被害者の石川一雄氏と妻の早智子氏からの再審を求める動きの現況報告をいただいた。再審に向けて大きな動きがあるか、と言われた昨年の動向と、思うに任せない難しい状況や、ご夫妻の思いなど詳しくお話しいただいた。その後、映画『SAYAMA見えない手錠をはずすまで』の視聴を行った。映画では狭山事件の矛盾点はもとより、一個人としての石川夫妻それぞれの日常や一雄氏の家族、早智子氏の故郷徳島の情景など、今までの映像とは違う視点が取り上げられているのが特色だ。

j201404-32日目は、在日大韓基督教大阪教会にて特定非営利活動法人聖公会生野センター総主事・呉光現(オ・クァンヒョン)氏より「現在の在日韓国朝鮮人の生活と歴史を再び見つめなおす」と題してご講演をいただいた。会場となった教会は昨年、ヘイトスピーチが行われた場所でもある。「生野は済州島出身者が多いです。1920年代、大阪が東洋のマンチェスターと呼ばれていた頃に大阪と済州島の間に直通の航路が開設されてからの歴史があります」と、在日1世の父と母が大阪に来た経緯を紹介。母国の朝鮮語と日本語が交錯する幼少時代の思い出を語り「両親は子供に聞かれたくないこと、例えば夫婦喧嘩は朝鮮語でしていました。必然、汚い言葉が多くなります。小学校に入ったばかりの頃、日本語だと思って発した言葉が違うと気づかされたとき、私は母国の言葉を『恥ずかしい』と思いました」と、自分のルーツを学び誇りを持つことの重要性を訴えた。映像で近年のヘイトスピーチの様子を紹介、政治の問題が民間に影を落としていると指摘。「国と国の関係から市民と市民の関係に戻ることが必要」と呼びかけた。

講演後、4班に分かれて生野地区をフィールドワーク。民族学校、朝鮮仏教の寺院や鶴橋駅周辺のアーケードなどを歩いた。

j201404-4午後は、大阪人権博物館リバティおおさかにて。館長の朝治武氏より「部落問題の現在と過去」についてご講演いただいた。社会の流れの中で一定の成果を収めて来た同和行政の終焉と、経済優先の新自由主義の中での人権問題について通史的にまとめられ、「現代は格差を身分として固定化しようとしつつある、そうしたしわ寄せが、とくに被差別部落や在日外国人など弱い立場の人々にのしかかっているのです。過去からの歴史的な流れの中にあるそうした問題を一つ一つ解決していくことが部落解放、差別の撤廃ということだと私は思うのです」と結ばれた。

その後、館内見学し、宿泊ホテルで分散会を行った。

j201404-53日目は、人権啓発映像第16作「明日へ・『ひと』として~啓発から行動へ~」を視聴。制作委員会座長をつとめた篠原鋭一人権啓発相談員より今作についての説明をいただいた。人権擁護は僧侶のミッション(使命)であるということ。具体的行動に身を投げ込んで初めて「自分の中の差別意識」がわかる。映像中の「慈悲は訓練するもの」という言葉の意味について言及。「今の世の中は『お前一人で生きてゆけ』という社会になってしまった。この中で人々を孤立させてはならない。仏教徒は人権問題の『活動家』『アドバイザー』『サポーター』『ナビゲーター』そしてお寺は『シェルター』になっていくことが期待されている」と話された。

講演終了後、人権本部より現況報告。全体会にて各分散会の意見を集約し、全日程が終了した。