【人権フォーラム】管区役職員人権啓発研修会概要報告(1)


宗門では、各宗務所など人権啓発活動において、役職員が指導者的立場で活動していただくために、管区と人権擁護推進本部の共催で、宗務所・教化センター役職員人権啓発研修会を管区ごとに開催している。この度、5月14日~15日に関東管区、6月3日~4日に東海管区、6月12日~13日に東北管区の人権啓発研修会が開催されたので、概要を報告する。

 

関東管区

・期日 5月14日~15日
・会場 ホテル天坊・国立ハンセン病療養所栗生楽泉園

5月14日から15日までの日程で、宗門主催被差別戒名物故者諸精霊追善法要に引き続いて群馬県で開催された。

今回は国立ハンセン病療養所栗生楽泉園での現地学習とその道中にある八ッ場ダムをめぐる状況について学習した。

1日目は国土交通省の八ッ場ダム工事事務所所長の佐々木淑充氏にご講演をいただいた。政権交代の折「コンクリートから人へ」のスローガンの象徴として槍玉に挙げられたこの事業の意図、60余年にわたる水没地域住民との折衝の経緯についてお話いただいた。

2日目は前日の講演を思い出しつつ八ッ場ダム工事現場を通り草津国立ハンセン病療養所栗生楽泉園へ。

栗生楽泉園では自治会長の藤田三四郎氏よりお話をいただいた。戦中に入所以来、藤田氏の人生はハンセン病療養所入所者の権利獲得の歴史だ。選挙権、治療薬、教育、そして自由の獲得。しかし「法律によって物理的問題が解決したからといってそれで終わりではない。それでも様々な理由により故郷に帰るに帰れないのは現在でもハンセン病問題に対する理解、啓発が足りないということだと思います。こうした現状を僧侶も広く社会に伝えてほしい」と結ばれた。

その後、園内納骨堂で諷経、完成したばかりの重監房資料館を見学し研修会は終了した。

 

東海管区

・期日 6月3日~4日
・会場 岐阜グランドホテル

新聞・報道等で子どもに対するDVや虐待等の事件を頻繁に目にする機会が多くなった昨今、今回の研修会では子どもの人権をテーマとして学習する運びとなった。

1日目は、オリエンテーション後、社会福祉法人・日本児童育成園を訪れ、施設長の長縄良樹氏より講演をいただいた。

日本児童育成園は、来年に創立120年を迎え、長い歴史をもつ施設である。現在、岐阜市近郊の1歳から18歳までの約80名が、8ホームに分かれて生活をしている。

入園の経緯は様々であるが、60%~65%は虐待を受けていたという。子どもたちは愛情に飢えており、職員を家族と思ってくれるような指導を心がけ、自身も第2、第3の親父になりたいと述べられた。

退園する子どもたちには「何かあったらいつでも帰って来い」と言葉をかけ、社会に出てからも、ここを心の拠り所となって欲しいと締めくくった。

講演終了後、3グループに分かれ施設を見学した。

2日目は岐阜県中央子ども相談センター所長の今津宏文氏より講演いただいた。

児童虐待防止法が制定され、平成12年に施行されて以降、児童虐待相談の件数は増え続けている。以前は虐待を直接確認してからの通報が多かったが、最近は疑いの時点での通報が増えているという。

ただ、それが悪いということはなく、虐待を1人でも多く対処するために疑いのある段階から積極的に相談して欲しいと述べられた。

また、虐待を発覚する上において、近隣・地域住民の通報の重要性を指摘された。

講演終了後、全体会が持たれ、各班から「坐禅会に来る子どもたちの様子を気にかけたい」といった活発な意見、発表がなされた。最後に伊藤訓之師が全体会の総括を行い、2日間の研修会は終了した。

 

東北管区

・期日 6月12日~13日
・会場 秋田ビューホテル

6月12日から13日までの日程で、秋田市内で開催された。

今回は秋田県男鹿半島に残るナマハゲの風習から、文化の中に継承される忌避や禁忌と人権について学習した。

1日目はナマハゲそのものについて学ぶために男鹿、なまはげ館へ。地域ごとに違う本物の面や映像資料、そして真山伝承館での再現見学を行った。

2日目は秋田県民俗学会副会長の齊藤壽胤氏と駒澤大学教授の長谷部八朗氏よりご講演をいただいた。

全国にも様々に残る習俗の関連や成り立ちについて、日常と切り離された非日常の中にある神聖性、その内にある浄と不浄、継承されてきた文化のもつ様々な面についてお話をいただいた。

長谷部氏は「僧侶も文化の担い手、護り手という側面がある。文化は意識されないうちに、しかし確実に形作られてきた社会装置である。部品だけではなく、全体を見ながら護るべきは護り、改める部分は改め、文化の中の「何故なのか」を説明していく必要があるのではないか」と結ばれた。

(人権擁護推進本部記)