【人権フォーラム】管区役職員人権啓発研修会概要報告(1)


宗門では、各宗務所等における人権啓発推進にあたり、役職員が指導者的立場で活動していただくために、管区ごとに宗務所・教化センター役職員等を対象とした人権啓発研修会を開催している。

7月末までに、関東管区(6月2日~3日)、東海管区(6月8日~9日)、四国管区(6月30日~7月1日)、中国管区(7月6日~7日)の四管区において人権啓発研修会が開催されたので、概要を報告する。

 

関東管区

・期日 6月2日~3日
・会場 栃木県小山グランドホテル

1日目、田中正造大学事務局長の坂原辰男氏より「田中正造と谷中村」と題する講演がなされた。講演後、田中正造と谷中村民が、共に足尾銅山の鉱毒垂れ流しに対して闘った谷中村の跡地に造られた、渡良瀬遊水地へと移動し、現地学習を行った。

引き続き、遊水地に程近い被差別部落へと移動し、同和対策事業において、その整備事業から取り残された現状を学んだ。

2日目、部落解放同盟栃木県連合会執行委員長の和田献一氏より「マイノリティの人権と国際人権・排除と包摂」と題する講演がなされた。氏は、人権が侵害されるのは、常に社会的少数派であること、そして社会的に孤立や排除の標的にされがちな社会的弱者としての少数派を、社会の構成員として尊重し、お互いが支え合うことで、一人ひとりの人権が守られる社会を目指していくべきと述べられた。

その後、次回研修会担当宗務所である、茨城県宗務所長の大山定隆師の挨拶をもって、日程を終了した。

 

 

東海管区

・期日 6月8日~6月9日
・会場 静岡県御殿場高原ホテル
    国立駿河療養所

1日目、国立駿河療養所所長の福島一雄氏より、療養所の現状と課題についてご講演いただいた。現在、入所者は60数名で平均年齢が80を超えており、2、30年後には、入所者が居なくなってしまう。地域の中でこの施設を活用していくため、近隣の病院と連携しながら、一般の患者も受け入れる病棟としていきたいと述べられた。

続いて、国立駿河療養所自治会・駿河会会長の小鹿美佐雄氏よりご講演いただいた。氏は昭和17年に愛知県あま市で生まれた。小学校2年生の冬に、火傷をしたのに痛みがないことを不思議に思い、いくつもの病院で診察を受けた結果、ハンセン病と診断されたのである。そしてその後の療養所での非人間的な扱いに対し、仲間とともに闘ったこと等を語られた。

現在、自治会で、さまざまな企画を立てているが、地域との交流を計画すると、地域の高齢の方から一部反対もあるという。その際、理解のある方の協力を得て実現していると述べられた。

講演終了後、納骨堂に移動してハンセン病物故者追善供養法要を厳修した。

2日目、静岡人権フォーラム事務局長の窪田美保氏よりご講演いただいた。氏は、欠点も含めた自分自身を肯定できなければ、他者を受け入れることはできず、差別やいじめにつながると述べられた。

また、誰でも差別意識はあり、何気ない日常会話でも差別語が含まれている場合もあるという。それに気付くことができる知性と感覚を養って欲しいと締めくくった。

その後、人権啓発相談員の村瀬法晃師より総括がなされ、閉会した。

 

四国管区

・期日 6月30日~7月1日
・会場 香川県ホテルパールガーデン高松

第1日目、山口県人権啓発センター事務局長の川口泰司氏より「部落差別は、いま」と題する講演がなされた。氏は、昨今、悪質化する差別の一例として、著名人が週刊誌等によって出自を暴かれる事例を挙げ、説明された。

また、自身が被差別部落出身であることで受けた具体的な被差別の実態を挙げられ、今日的な部落差別についての理解が深まった。

2日目は、曹洞宗人権啓発映像第17作「寄り添う~人間の尊厳を守る~」を視聴し、人権本部による補足説明が行われた。

 その後、研修会の四国管区教化センター総監の矢野通玄師より総括がなされ、閉会した。

 

 

中国管区

・期日 7月6日~7月7日
・会場 山口県山口グランドホテル

1日目、長生炭鉱の「水非常」を歴史に刻む会事務局長の小畑太作氏より、「共に生きるために―真の和解を目指して―」と題する講演をいただいた。

長生炭鉱は海底に作られた炭鉱で、昭和17年には犠牲者183人を出す大規模な水没事故が起きており、その中で、朝鮮人136人が死亡している。言葉巧みに朝鮮人を連行し、過酷な労働を強いたこの炭鉱では、安全管理よりも石炭採掘が優先されたため、このような悲劇が起きた、と述べられた。

講演終了後、同会の共同代表である内岡貞雄氏の案内により、現地学習が行われ、その中で犠牲者の追善法要を厳修した。

2日目、拉致被害者である蓮池薫氏より、「夢と絆―拉致が奪い去ったもの―」と題する講演をいただいた。

氏は大学在学中の昭和53年に新潟県柏崎市の海岸で、現在の配偶者とともに北朝鮮に拉致され、自由や、就職も含めたさまざまな夢、20年以上も家族との絆を奪われた。拉致問題で一番大切なことは、拉致被害者の夢、絆を取り戻すことだと述べられた。

まだ30年以上拉致されて帰国できていない方がいる。無事帰国し、家族の絆を取り戻せるよう尽力したいと締めくくられた。

引き続き、シャンティー山口代表理事で慶雲寺住職の角直彦師より「タイ少民族と共に生き共に学ぶ―シャンティー山口の活動をとおして―」と題する講演をいただいた。シャンティー山口は、タイ国内で極めて困難な暮らしをしている少数民族の支援を続けている。

師は何度も現地を訪れており、少数民族に対する、露骨な差別等を目の当たりにしてきたそうである。その実態や少数民族の現状等を報告され、彼等に対する支援を求めて、講演を終了した。

その後、山口県宗務所副所長の山縣洋典師より閉会挨拶が述べられ、全日程を終了した。

(人権擁護推進本部記)

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