【人権フォーラム】2016(平成28)年度教区人権学習 ―小冊子「『過去帳』等の管理の徹底を」をご持参ください―


jinken2016_4_2本年度教区人権学習会は、教区長を通じて、全寺院配布を行う資料「『過去帳』等の管理の徹底を~あなたの親切心が社会的差別に加担しないために~」(以下、小冊子という)をテキストとして用いますので、ご持参の上、学習会参加をお願いいたします。

小冊子の9頁には1981(昭和56)年12月23日付、「『過去帳』等の管理についての指示要望」を掲載しておりますが、そのことを知らない方も増えているようです。なぜ、「過去帳」を見せてはいけないのか。なぜ住職以外は閲覧禁止なのか。宗門の「過去帳」等の取り扱いについて「再認識してほしい」との願いのもとに「小冊子」を作成いたしました。

この「小冊子」9頁の指示要望では3つの大きな柱を掲げており、その1つが住職(代表役員)以外の『過去帳』等の閲覧はすべて禁止すること」です。

これまで「過去帳」等が「身元調査」へと利用されてきた歴史的な事実に基づき、「過去帳」や「檀信徒名簿(現在帳)」は、閲覧禁止を徹底してください。

 

過去帳の情報が狙われています

「過去帳」に記載の内容は、思想・信条に関わるものであり、個人情報であります。中でも、宗教・人種・民族・出身地・本籍地や病歴等、社会的差別の原因となりうる情報は「センシティブ(機微)情報」と呼ばれ、特に慎重な取り扱いをしなければなりません。「過去帳」は、寺院(宗教法人)備え付けの公的帳簿であり、その取り扱い責任は住職にありますので、法人の代表として、厳重に管理する責務があることを自覚していただきたいと思います。

 

「身元調査の手口と普段からの心構え

調査する側は「身元調査」という言葉は使いません。「檀家の○○さんの遠縁の者ですが・・・・・・」「生前お世話になった○○さんのお墓参りがしたくて・・・・・・」等と寺院を訪れ、巧みなやりとりによって、檀信徒のことをあれこれと聞きだそうとします。また、「先祖探し」や「家系図作成」に協力してほしいと、「過去帳」の閲覧開示等を依頼してくることもあります。今でも「あなたのお寺の○○家という檀家のことが聞きたい」という問い合わせがあったこと等が報告されています。

個人の人柄や能力、適性などではなく、排除や差別を目的として「部落出身者かどうか」など、本人の責任外のことを調べ悪用するために行われている「身元調査」は、人権侵害です。

この「身元調査」によって引き起こされる差別を防ぐため、知らないうちに協力することがないように、日ごろから問題意識をもつこと、面識もない人からの問い合わせに簡単に応じてはいけないことにご留意ください。

 

宗門が起こした差別諸事例

宗門が起こした事件として1984年広島県内で惹起した「家系図差別事件」があります。檀信徒の求めに応じ住職が「過去帳」を用いて「家系図」を作成し、檀信徒は被差別部落出身者でない(一般地区出身者)との証明に利用したという差別事件です。

また、他人の人権を傷つける内容が「過去帳」に記載されていた事件があります。

2004年長野県内で惹起した事件では、当該住職が「過去帳」に「貧乏」や「生活保護」、また「焼死」「事故」「変死」等、お亡くなりになった精霊を冒瀆する差別記載を行っていました。

当該事件は、住職が「過去帳」のもつ精霊簿としての宗教的な性質を理解していないこと、いわば宗教者としての資質を問われた事件でありました。

 

宗門からのお願い

「過去帳」は、本来回向や供養などの「信仰上の目的」に限定して使用されるべきものであり、人権擁護、プライバシーの保護のためにも基本的には住職以外は「閲覧禁止」であることを改めて認識していただき、「檀信徒名簿」などについても、宗教法人法に規定された目的以外の使用はせず、プライバシーを侵すことのないような記載内容の徹底と厳重な保管・取り扱いをしていただきたいと思います。

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プレート   「下敷き」(両面)過去帳等の取扱いの基本原則と宗門からの指示要望

本年度は「小冊子」と併せて、全寺院へ「過去帳」等の取り扱いの基本原則と宗門からの指示要望を両面で印刷した下敷き、及び、「身元調査お断わり」のプレートを配布させていただきます。下敷きは、ご自坊の「過去帳」の最新ページに挟んでご使用いただき、プレートは、玄関等、来訪者の目につく箇所に設置いただきますよう、お願い申し上げます。

 

学習会主催のご担当の皆様へ

「小冊子」5頁から8頁にかけて掲載させていただいた内容はケースワーク型学習によるQ&A(設問と回答)となっております。さまざまな形で、寺院住職が、その対応を課題として迫られる「身元調査」の実態を想定しました。

「過去帳」を扱う寺院住職が、無自覚に親切心から身元調査に加担して人権侵害行為を行わないようにするため、実際起りうるケースを想定し研修していただければと思います。

学習会主催のご担当の皆さまは、「本年度教区人権学習会開催要項」をご活用ください。

(人権擁護推進本部記)