【International】北アメリカ特派布教巡回報告


北アメリカのZEN 
平成24年度は、宗門の北アメリカ国際布教、ロサンゼルス市・両大本山北米別院禅宗寺創立九十周年にあたり、9月8~9日には記念法要が厳修されました。そのような記念すべき場に、特派布教師としてお話しするご縁をいただき、北アメリカでの巡回が始まりました。
今回は、カリフォルニア州3教場と中部4教場の合計7教場を巡回いたしました。初めての米国訪問で、当地での布教展開の詳しい状況も判らないままでのスタートでしたが、想像以上に熱心に仏道に参じ、励まれている姿に接し感銘の連続でした。特に、宗旨を当地に伝道されてきた諸老師方のご努力は大変なことであったと思いました。
曹洞宗の国際布教師が指導する道場は現在48ほど、それに準じた形で運営されているところが200を超えるとも言われています。 

桑港寺にて告諭

これらのうち日系人を対象として開教されたロサンゼルス市・両大本山北米別院禅宗寺、サンフランシスコ市・桑港寺などは先祖供養を伴う日本と同様の寺院ですが、多くは、いわゆる「禅センター」と呼ばれるような参禅を主眼とした道場です。
多くは、西海岸のカリフォルニア州とニューヨークを中心とする東海岸に分布していますが、近年、中部ミシシッピ川流域その他にも広まって来ているようです。今回、特派布教としては初めてイリノイ州、アイオワ州、ミネソタ州、ミズーリ州の各教場を巡回することとなりました。

両大本山北米別院禅宗寺90周年記念行事にて

禅センターを訪ねて驚いたことは、単なるカルチャーセンターのような禅の体験の場のみならず、摂心・安居といった僧堂修行のような場も設けられていることです。形態に差はあるものの、かなり本格的な出家を目指す方向につながった道場の機能をも果たしていることが単なる参禅会とは違うところです。
このような禅の布教には、鈴木俊隆、前角博雄、片桐大忍師らの努力の歴史があり、現在はその弟子たち二世、三世の方がたが指導に当たっています。
これら指導者の多くは、日本の僧堂安居の経験を持っていられますが、現在では、アメリカでの個々の活動に、独自色が強まる傾向もあるようです。その点では、指導者の育成システムなど横の連携を強め、宗旨の徹底を図る必要も感じられます。そのような中、現在、サンフランシスコ郊外には、本格的な修行道場「天平山禅堂」の建立が進められています。また、本年6月には、アイオワ州龍門寺において、片桐大忍師の25回忌法要に併せて衆寮完成の落慶式が予定されています。
禅センターの特色としては、若い世代の参加率が高いことです。何れの会場でも坐禅の後に法話を行いましたが、質問や懇親の場が設けられていました。そこでは、「アメリカの禅と日本の禅に違いはあるか」と問われ、「違いはありません。みなさんの真摯に打ち込む姿をやがて日本が学ぶ時が来るかも知れません」とお答えしました。今回北アメリカを巡回し、集う人びととのふれあいの中で自然とそう思えるほど、切実に禅と、人生に向き合っている姿を垣間見て参りました。

 

ミネソタ州 宝鏡寺

カリフォルニア州 バレホ禅センター

   (特派布教師 関水俊道記)