【International】北アメリカ国際布教総監部管内特派布教巡回報告


北アメリカ国際布教総監部管内特派布教師巡回の命を受けたとき、北米総監部より届いた事前資料の内容の濃さに驚きました。まだ見ぬアメリカの方々へ「これからどのように法を説けばよいのか」という思いをめぐらし、不安と期待に夢を膨らませていました。

アメリカに渡り「曹洞禅」を広め、その基礎を築かれた先人の方々に学ばせていただく所存で、サンフランシスコ禅センターを設立された鈴木俊隆老師の著書『禅マインドビギナーズ・マインド』を読み、その他にもアメリカ・ヨーロッパで説法された先輩方の著書を拝読いたしました。

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シャオシャンテンプル 惺山寺

それを、どのように活かして法話を組み立てればよいのか正直なところ迷っておりましたが、30数年前、修行道場に入門し、苦痛に耐え坐禅を組んだ日のことが昨日のことのように甦り、未熟な自分の体験や経験を皆さまにお伝えしようと考えていました。

9月20日、成田空港を出発し、ロサンゼルス国際空港に向かう飛行機の窓から見えてきたものは、日本の風景とは全く異なった、どこまでも続く広大な赤茶色の大地でした。

これからアメリカでの巡回が始まることに身の引き締まる思いで、まず最初にロサンゼルスにある両大本山北米別院禅宗寺を訪れました。ここは、1922年北アメリカ最初の寺院として日系移民の手により創立され、今日に到っております。ルメー大岳北アメリカ国際布教総監の通訳のおかげで、安心して法話を勤めることが出来ました。

翌日、アメリカ東部へ飛行機で移動し、レンタカーでバーモント州の静かな森の中に佇むシャオシャンテンプル・惺山寺に夕方到着すると、プリースト西蓮国際布教師がにこやかに迎えてくださり、旅の疲れも癒されました。また、夜坐法話、質疑応答、翌日には暁天朝課、朝食会と充実した内容で、西蓮師のお人柄もあり明るい雰囲気の禅堂でした。聴衆の表情も非常に豊かであり、有意義な時間を過ごすことができました。

ビレッジ禅堂

次に向かった場所はバレー禅堂でした。そこはマサチューセッツ州の市内から遠く離れた自然の中にありました。池田永晋国際布教師は穏やかなお人柄で、参禅者の方も師を慕い、熱心に法話を聞いてくださいました。

9月22日、ニューヨーク州にあるオハラ円教国際布教師が開かれたビレッジ禅堂禅センターに到着しました。都会の中にある不思議な空間で日々坐禅を行じておられ、このニューヨークの地にも曹洞禅が息づいていることを肌で感じました。

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サンフランシスコ禅センター 発心寺

26日、サンフランシスコ禅センター発心寺に宿泊し、翌日には暁天、朝課が如常に行われました。この禅センターはとても本格的で、ここで出家し僧侶になる方も多いと聞きました。

最後の教場である桑港寺は、日系人メンバーによる家族的な雰囲気もあり、日本でお話をさせていただいているような気持ちになりました。

参禅者の質問の中で印象に残っているものがあります。それは「どうして、こんなに悩みや苦しみがやってくるのでしょうか」「孤独感があり、将来への不安や恐れがあります。それを無くす為にはどうすれば良いのでしょうか」といったものです。アメリカの主な宗教はキリスト教ですが、不満や物足りなさを感じる人たちは「自分で自分を救う東洋の禅」を求めているとのことでした。皆さんそれぞれに悩みや不安を抱え、宗教を超えて真理を追い求める姿にとても感心させられました。

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桑港寺で法話をする筆者

この度、北アメリカ国際布教総監部管内を巡回させていただき、多くの先人の方々のご苦労があり、現在のアメリカの地に曹洞禅が根づき受け入れられ、広がっていることを初めて知りました。禅を求めて自分と向き合っている多くの参禅者の坐る姿を見て、時間と空間を越えた真理を確信することができました。

これから、ますます「仏教」「禅」が求められる時代が訪れると実感いたしております。この貴重な体験を日々の生活に生かし、今後とも精進して参りたく存じます。

(特派布教師 吉井泰俊記)

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