【International】海外徒弟研修会報告 曹洞宗国際センター


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開講諷経

アメリカ合衆国カリフォルニア州にて、平成27年7月27日から5泊7日の日程でSOTO禅インターナショナル主催「海外徒弟研修会」が開催されました。

この研修会の目的は、寺院の子弟が日本国外にある寺院や禅センターに滞在し、ともに生活することで、言語や文化、習慣の異なるなかで曹洞禅がどのように受容され展開しているのか、その一端を実際に体験してもらうとともに、青少年期の海外での体験を通して国際感覚を早期に身につけることです。

国際センターでは、日程の調整や現地における手配を行い、また期間中は研修会に同行し、補佐をしました。

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朝課

7月27日、小学4年生から高校1年生までの男子4名、女子2名の計6名はSOTO禅インターナショナル副会長、長野県天周院住職黒柳博仁師に引率されサンフランシスコ国際空港に到着しました。まず、サンフランシスコの日本町にある桑港寺を拝登し、黒柳師を導師に開講諷経が行われ、本研修会の無事を願いました。その後、黒瀧康之北アメリカ国際布教師から桑港寺の歴史を学び坐禅作法を指導していただきました。日本町での昼食後、最初の研修地であるソノママウンテン禅センター・現成寺に向かいました。

現成寺はサンフランシスコから北に車で約1時間30分、ぶどう畑を周囲に見ながら山中に入ったワインの産地として有名なソノマ郡にあります。鈴木俊隆師に師事したクワング寂照北アメリカ国際布教師が一九七三年に創設し、現在は弟子でありご子息でもあるクワング如是師が寂照師を補佐し、活動の中心となっています。

参加者は20名程の僧侶たちに出迎えられ、禅堂に移動、上香三拝をした後、それぞれが英語で自己紹介をしました。現成寺ではこの翌日から1ヵ月間、短期集中修行が実施されることになっていましたが、特別に差定を調整していただき、参加者は坐禅や朝課、作務などをともにしました。普段より人数が多くなったため、男女別れて大部屋に入り、僧侶たちと寝食をともにすることになりました。時差の影響もあり、翌朝、5時30分の振鈴は大変そうではありましたが、坐禅、そして朝課に随喜し、子どもたちも経本を手に読経しました。

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応量器飯台

食事は精進料理ですが、当然ながら日本で作られるものとは違いがあり、参加者たちは現地で収穫された野菜などで作られた精進料理を興味深く味わっていました。また、応量器を使用しての食事も行われました。現成寺の僧侶から直前に作法の講習を受け、少し緊張した様子で食べていましたが、僧侶たちのペースに遅れることなく終えることができました。

2日目には、ミルウォーキー禅センターやアンカレッジ禅コミュニティーにて活動していた、秋山洞禅師が現成寺を訪ねてこられ、近隣のサンタローザ市を案内していただきました。案内先のお店では各々が昼食の注文や支払い、買い物などをすべて英語で行う体験をすることができました。

現成寺での2日間の研修を終えた参加者は、次なる研修地、サンフランシスコ市内にあるサンフランシスコ禅センター・発心寺に向かいました。発心寺は1969年に鈴木俊隆師によって創設され、アメリカにおける禅センターの先駆けでもあります。ここでは出家修行者の他に多くの在家修行者が暮らし、朝の日課を終えると日中は市内近郊に仕事に行くことが特徴です。

発心寺に到着した参加者は、施設内を見学して回り、禅堂では単への上下牀を発心寺の僧侶に指導していただきました。参加者の滞在中は1週間の摂心が行われ堂内は静まり返っていました。そのような環境の中、参加者は暁天坐禅や朝課に随喜しました。朝食後は、科学博物館やサンフランシスコ市内見学、また連邦刑務所として使用されていた建物が残るアルカトラズ島やゴールデンゲートブリッジなどを船上から見学した他、秋葉玄吾北アメリカ国際布教総監が創設した好人庵禅堂を拝登するなどの日程を2日間で実施しました。秋葉総監からは、「広い視野に立ち、そして色々な経験を積んでください。それが将来必ず役に立ちます。」との励ましの言葉をいただきました。

今回、約20年ぶりの開催となる海外での徒弟研修会を5泊の日程で2ヵ所の禅センターにおいて実施しました。時差の影響が残る中、参加者は行持に参加し、時にはメモをとり、写真を撮りながら、必死に何かを得ようとしていました。短い日程ではありましたが、参加者の将来に幾分かの影響を与えることを望むとともに、今後幅広い視野で物事を考えることのできるグローバルな人材へと育つその布石になることを願っております。

(曹洞宗国際センター記)

 

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淺井怜衣さん

最後に参加者を代表して愛知県地蔵寺より参加された淺井怜衣(14)さんの感想文を紹介いたします。

私は今回SOTO禅インターナショナル主催「海外徒弟研修会」に参加し、アメリカの仏教文化に触れる貴重な機会を得ることが出来ました。渡米前は、坐禅やお経、精進料理など日本でも馴染みの深いことを、ソノママウンテン禅センターやサンフランシスコ禅センターで体験できることを楽しみにしていました。アメリカでも日本と同様の風景が見られると思っていたからです。ところが、いざ禅センターに行ってみると、私は日本との違いに驚きを隠せませんでした。

例えばお経です。私がアメリカで初めて坐禅をしたソノママウンテン禅センターでは、メンバーの方々が唱えたお経が耳慣れた言葉ではなかったのでとても焦りました。内心少し動揺しながらもそのお経に耳を傾けていると、それが英語であることに気づきました。私がお唱えした般若心経は、“Avalokiteshvara Bodhisattva,when practicing…”で始まるものでしたが、帰国後にその意味を調べてみると、今まで気にせず口にしていた般若心経を異なる角度から知ることが出来ました。普段日本で聞く般若心経は、私にとってはまったく理解が出来ない言葉で綴られていますが、英語に訳してみるとその言葉の意味が分かり、それは新しい発見となりました。

そしてもう一つ衝撃を受けたのは精進料理です。私にとっての精進料理は、高野豆腐やおひたし、大豆の煮物などのイメージです。けれども現地で出された料理は、レモン風味のえんどう豆や、甘い香りのするお粥など、予想の斜め上を行って宙返りをしたようなメニューでした。他の参加者が物珍しそうにしていたのは、スクウォッシュ(かぼちゃ)を初めとする数種類の野菜が入った緑色のスープです。美味しいものもありましたが、中には普段食べ慣れない私たちには少し食べづらいメニューもありました。また、応量器を使用した食事の体験を通し、色々な作法を学ぶことが出来ました。

今回の研修は、5日間という短いものでしたが、アメリカの仏教に直に触れ、想像以上に内容の濃い体験が出来ました。しかし、禅センターでは、私語を禁じている場面が多く、一緒に参加したメンバーと楽しく交流する時間が少なかったのが少し残念でした。もっと早くから親しくなっていれば、より楽しく過ごせたような気がします。しかし、このことも含め、経験したことすべてがかけがえのない思い出です。また今後このような企画があったら、是非参加したいです。

最後になりましたが、この度お世話になりました多くの皆さま方に心より感謝致します。ありがとうございました。