【International】北米参禅ツアー―禅からZENへ、その源流を訪ねるカリフォルニアの旅―に参加して



1月25日より30日にかけ、北米参禅ツアーに参加しました。参加者は宗侶・寺族あわせて19名でした。

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アップル本社見学

1日目は、シアトル経由サンフランシスコへ。あの有名なアップル本社を見学。今は亡き創業者スティーブ・ジョブズ氏の写真と言葉が飾られていました。「もし何かをやってとてもうまくいったら、何か別のすばらしいことをやるべきであって、過去の成功にあまり長いことあぐらをかくべきではない」と。根底にある思いは禅そのものであると感じました。

氏は、サンフランシスコの南にあるタサハラ禅マウンテンセンター禅心寺で長い間坐禅をしていたそうです。社内のここかしこに「禅」が息づいていました。

59歳でお亡くなりになったときには、仏式で葬儀が執り行われ、北アメリカ国際布教総監・好人庵ご住職秋葉玄吾老師が導師を務めました。

2日目、オークランドにある好人庵禅堂に拝登しました。檜のかおりのする禅堂は、まるで日本の寺院にいるかのようなたたずまいでした。

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曹洞宗布教の歴史についての勉強会

北米の寺院は檀家制度ではなく、宗旨や理念に賛同する個々のメンバーが会費を出し合い運営するのです。僧侶は代表役員ではなく、宗教指導者として位置づけられているとのことです。

コルマ日系人墓地へ参拝したのち、サンフランシスコの桑港寺では、道元禅師さまの降誕会の日にあたり法要を営み、梅花流師範の方丈さま方が「高祖承陽大師道元禅師誕生御和讃」を奉詠されました。

また、サンフランシスコ禅センター発心寺では、お線香の煙に過敏な信者のために、花びらを乾燥させたものを水に浮かべることで線香の代わりにしていました。

このホールにある鏧子をたまたま日本からきた和尚さんが見て、そこに彫られている文字に涙を流したとのことです。聞くと、戦時中、供出した自坊の鏧子だったそうです。

その夜、ソノママウンテン禅センター現成寺に拝宿いたしました。夜坐では坐禅の姿に国境はありませんでした。もちろん言葉もいりません。会員の皆さまは、黒衣をまといひたすら足を組み、手を組み坐っていました。

僧侶になろうと思って修行に来ているのではなく、自分自身の心に向き合うために、向き合える場所として、今ここに、身を置いているのだと確信いたしました。それが北米の寺院であり、魅力なのです。来て、坐って、それでいいんだよ。草も木も石ころもみんな宇宙につながっているのだから。

メンバーの方々が力を合わせお寺をともに創り上げていく。そのために、会費制をとり、日本文化を伝えるイベントをとりいれながら、資金を集め運営の一助に充てているのです。

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天平山禅堂の視察

3日目の朝、5時から経行を入れた暁天坐禅二炷。朝課は、日本語でお経を唱えお勤めしました。その後、干し葡萄の入ったお粥の小食をいただきました。小鹿が5匹飛び回っている自然の豊かさが印象的でした。

午前中、ここから約200キロ離れたローワーレイクの「天平山禅堂」を視察しました。昨年6月13日に行われた上棟式には、住職について参加いたしました。市内からは、とてもとても遠く、到着したときにとてつもなく壮大な計画だと感じたことを思い出しました。無事落成できますこと、そして長く受け継がれていきますことを願わずにはいられませんでした。

 

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グリーンガルチファーム内の売店では英訳された祖録・提唱録などが販売されている

4日目に拝登したグリーンガルチファーム蒼龍寺では、摂心の参加費として20万円の会費をおさめていただき、それを維持管理に充当していると聞きました。また、境内の有機農園とサンフランシスコにあるグリーンズレストランがコラボし、そこからの収益は、系列禅センターの基金とし配分するとの話です。


自分のお寺だけではなく、収益を配分・共有するという方法は、たいへん斬新な運営だと感心しました。

また、従来の檀家制度が危うくなりつつある日本の寺院経営に警鐘を鳴らしているようにも感じました。

人と人との関係がますます薄れていく昨今、何が大事なのか、やらねばならないことが盛りだくさんあるのではないかと考えさせられる研修旅行でした。現地の曹洞宗国際センターや総監部の皆さま、たいへんお世話になりました。ありがとうございました。

合掌

福島県長楽寺寺族 中野久美子記

 

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