南米での曹洞宗の布教が約百年前に遡ることは、昨年ペルーを中心に開催されました「南米開教百周年」記念行事にご案内のとおりでありますが、それから50年後に、ブラジルにおいて本格的な布教が始まりました。
それは、当時管長であられた高階瓏仙猊下が昭和30年にご巡錫されて、日系移民の方々の心をまとめられたのが始まりでした。それはやがて、大きな力となり、寺院設立に至ったものであります。
高階禅師が開山された数々の寺の中の一つが、現在のサンパウロに所在する南アメリカ国際布教総監部のある両大本山南米別院仏心寺であります。爾来50年の歳月が流れ、創立50周年を来年に控える運びとなりました。
50年の歳月の間には、総監不在の時代もありましたが、初代南米国際布教総監の新宮良範老師はじめ4人の国際布教総監の時代を経ながら曹洞宗の法灯が守られてきました。そして今や、一仏両祖のみ教えは、日系移民の間のみならず、現地のブラジル人の間にも広く浸透しつつあります。その只管打坐の教えは、ブラジル、ペルーのみに留まらずアルゼンチン、コロンビア等をはじめ広く南米各国に広がりを見せております。
また、ブラジルはカトリックの伝統がありますが、大戦後仏教各宗派が布教に力を注ぎ、しのぎを削っている場でもあります。一例を挙げれば、東、西本願寺は、ブラジル内だけでもそれぞれ30ヵ寺、50ヵ寺擁し、さらなる教線の拡大をはかっております。そのほか浄土宗、日蓮宗も盛んに教線を拡大しており、また新興宗教各派の勃興の地でもあります。そんな中で我が曹洞宗は、僧侶育成、檀信徒獲得等に、かなり遅れをとっている感があります。それには単に予算規模の違いだけでなく、施設の不備の点が大きく影響しているのは否めない事実であります。
このような状況の南米の地にあって、歴代総監方は等しく我が宗門の宗旨宣揚命派保持の道場である坐禅堂を建立するという誓願を起こされ、それに向かって心血を注ぎ行動を起こされてきましたが、残念ながらその大願は今日まで果たされずにまいりました。
ここに南米における布教の厳しい現状を鑑み、宗門のさらなる発展を期待し、歴代総監の悲願を叶えるべく、さらにまた、外国における日本文化の中心としての砦の役割をはたすべく、日本文化研修館を併せ持つ坐禅堂建立の発願をいたしました。
もとより、仏心寺檀信徒の協力を得て、浄財を募っておりますが、総予算額約2億円に上りますので、500戸の檀徒の力では遠く及ばない金額を必要といたします。
何卒、南米における曹洞宗の今後の発展と宗旨の宣揚に向けて甚大なるご賛助をお願いいたしたく、茲に伏してお願い申し上げます。合掌

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