日本人ペルー移住百周年記念慰霊法要厳修さる

 

 高祖道元禅師750回大遠忌北アメリカ開教総監部予修法要が5月12日(土)、ロサンゼルス両大本山別院禅宗寺において、管長御代香大竹明彦宗務総長が焼香師を勤め、厳粛に奉修された。
 北アメリカ、ハワイ、南アメリカ、ヨーロッパの海外四開教総監部を含め、日本国内9管区において今年中に厳修される、曹洞宗主催の劈頭を飾る予修法要であった。
 宗務庁より大竹明彦宗務総長他、随行2人。大本山永平寺より大遠忌総監南澤道人監院、松永然道国際部長、青山嶺雲遠忌局次長はじめ4人の随行各師に海を渡っていただいた。また、日本より若い9人の特志僧の随喜加担があった。
 北アメリカ各地から開教師、伝道教師、伝道師21人の随喜を得た。ロサンゼルス近隣の禅センター僧侶20数人の参加もあった。ロサンゼルス仏教連合会の浄土宗別院、高野山別院、西本願寺別院、東本願寺別院、日蓮宗の各総監・開教師も参じていた。
 一般の方がたから、日系商工会議所会頭など各種団体の代表者および、会員の参列がみられた。また宗門日系寺院禅宗寺を主に、近隣の曹禅寺、サンフランシスコ市の桑港寺メンバー、多数の参詣老があり、北米における高祖道元禅師大遠忌予修法要にふさわしい報恩追慕の法会であった。
 
(大竹宗務総長を中心に参列者全員の記念撮影)
 以下順を追って、このたぴの予修法要全体についての記録を記す。
 5月7日現地予修法要実行委員会スタッフが、会場禅宗寺へ集合。この日より、日本からの手伝い僧も加わって、現場諸準備が始まった。5月8日初夜、禅宗寺本堂脇間に安置されている高祖像を、須弥壇上へ遷座し迎真諷経を厳修、翌9日より献粥諷経を当日まで修行した。
 5月10日(木)午後1時30分より、北アメリカ開教センター主催による「開教師・伝道教師研修会」が開催された。これは今回の予修法要を記念して催されたもので、広大な北アメリカ各地に在住し、活動を続けている開数師・伝道教師が予修法要に随喜しやすいようにとの配慮のもと企画されたものである。会場は日本町に建つホテルミヤコイン・レセプションルームがあてられた。
 研修会は開講諷経の後、インディアナ大学教授ジョン・マクレー氏のプレゼンテーションから始まった。ジョン・マクレー教授は現在開教センターの依頼により、北アメリカの各禅センターを訪問し調査を行っている。氏の簡単な講話をもとに参加者のディスカッションが活発に行われ、日系寺院と群センターとがそれぞれ持っている特徴を互いに学びあえる場の必要性が確認された。日系寺院の伝統的な美点と、禅センターの創造されつつある新しい僧伽のあり方の良質面との融合を、いかにして実現するかといった話題が熱心に語られた。
 (活発なディスカッションを交わす研修会参加者)
 夕方六時、研修会参加者夕食懇親会がもたれた。青山遠忌局次長、松永国際部長が来年の「大遠忌国際デー」説明のため加わり、一同和やかに有益な交流の機会をもった。
 翌11日午前10時、研修会は禅宗寺に会場を移し、宗務庁国際課古溪書記より「宗制における海外僧侶の位置」につき説明がなされ、今年2月の宗議会において改訂された、「伝道師及び伝道教師規程」に関する英訳文(総監部訳)が配布され、質疑応答がなされた。昼食の後、午後1時より3時まで、随喜者全員で十八拝差定による「献供出班」の進退慣らしを行った。この予修法要は、北アメリカ在住の開数師・伝道教師一如となって如法に修行しようという当初の方針が徹底し、日本から加担に駆けつけた随喜僧の助力のもと、開教師・伝道教師も真剣な眼差しで進退を学んでいた。
 午後四時打ち出し、予修法要特為献湯諷経を南澤大遠忌総監導師のもと厳修。開及師、伝道教師、伝道師随喜、篤信の禅宗寺メンバー50人ほどの参詣があり、うやうやしく信心の誠を示す蜜湯が献ぜられ、普門品偈が誦された。カリフォルニアの午後の限りなく青い空のもと、慕古の心が現成し「五十四年第一天を照らす」と遺偈された高祖さまが、穏やかな微笑をたたえ、みそなわしておられるかのような諷経であった。
(南澤大遠忌総監導師による予修法要特為献湯諷経)  
 引き続き、6時30分より禅宗寺主催による「歓迎晩餐会」がホテルニューオータニのレセプションルームで開催された。奥村正博開教センタ一所長の「開会の辞」が宣せられ、三澤拓訓禅宗寺理事長の「歓迎の挨拶」が述べられ、晩餐会は始まった。参会者は禅宗寺メンバー、ロサンゼルス市の日系各種団体員、開教師・伝道教師など200人ほどであった。大竹宗務総長、南澤大遠忌総監の挨拶があり、予修法要が当地において奉修されることとなり、その意義を説きその実現のため努力をいただいた各師、信心薦く護持護法につとめられる信徒の皆さまへの感謝の念を述べられた。次に、ロサンゼルス仏教連合会会長河合了勝浄土宗総監、日系商工会議所会頭亀井敏彦氏が挨拶に立ち、高祖道元禅師750回大遠忌を機に、この北アメリカでの曹洞禅のますますの興隆を希い、仏法があまねく輝き渡ることを期待する旨を各々開陳されていた。その後食前の祈り、乾杯があり、会場は和気に満ち食事が進んだ。食後、青山嶺雲大遠忌事務局次長より「大遠忌と予修法要について」の説明があり、多くの北アメリカの方がたが来年大遠忌国際デーへ参詣されるよう呼びかけられた。最後に秋葉玄吾北アメリカ開教総監が謝辞を述べ、会は閉じられた。予修法要前晩に参会者の心が一つになり、高祖さまへの追慕の念がいやましてゆく、宗教的情緒の豊かに漂う晩餐会であった。
 5月12日(土)、予修法要正当の日である。早朝より慌しく準備がなされ、九時焼香師の五馨三拝が行われた。
 午前10時開式、秋葉開教総監の挨拶があって、このたぴの予修法要のために作成された、両大本山を紹介する16ミリ映画の上映が始まった。参詣者は陸続と300席を有する禅宗寺の本堂を埋めてゆき、禅の静寂、無言のうちにきぴきびと躍動する雲水の修行世界へと没入していった。ことに各地より参じた北アメリカの海外僧は、日本の両大本山での雲水の修行ぷりに興味深く見入っていた。両本山の伽藍風景の清冽さ、伝統的に培われてきた雲水の進退作法の厳しさなどに参会者は驚いた様子で、水を打ったような本堂の雰囲気であった。
ジョン・マクレー教授の講話
 次に、10日の研修会でもお話いただいたジョン・マクレー教授の「道元禅師のご生涯〜アメリカにおける曹洞禅の展開〜」と題する講話が続いた。 マクレー教授は、道元禅の時代と場所、13世紀の日本の山深い場所と、21世紀初頭の南カリフォルニアの都市にある曹洞禅の寺院との問に広がる時空をもつなげるものは何か、について述べられた。それは道元以後の曹洞禅が、幾世紀ものあいだ、釈尊の悟りの意味を、我われの日常生活のこまごまとした行動や物事にまで含まれるように拡大してきたことだという。そして「曹洞禅の活動は、永平寺や總持寺の息をのむような美しさや荘厳さを人間生活の中で表現することである」とも述べられた。一般参詣者は「日常生活のこまごまとしたことに対応しているとき、人は自分の分として与えられている完全な仏性を現成している」とのお話に深くうなずいていた。ご正当の日を荘厳し、随喜の清衆、参詣者を大変裨益するお話であった。
   
 11時20分、殿鐘が打ち出され、日本・北アメリカの清衆は本堂ステージ上へ入堂、位に就いた。まさに初めての北アメリカでの高祖大遠忌予修法要献供出班の開始であった。この日のために梅花流詠讃歌講師、葛西修哉師の指導を受け、研鑚を積んできた梅花講員の「三宝御和讃」が詠じられ、その成果を示した。
                                    (「三宝御和讃」を詠じる梅花講員)
  南澤大遠忌総監が、甲乙引馨に引かれて上殿され、特為席に就かれた。配香の後、大導師大竹宗務総長がうやうやしく入堂、厳粛なる献供の三拝を繰り返された。その間、高祖道元禅師750回大遠忌奉讃「学道御詠歌」が葛西師により独詠された。拈香法語は「高祖元翁正覚の禅 時を越え 所を隔てて 浩く流伝す 星霜七百五旬歳 児孫を覆蔭して日々に新しし 陽光燦々たる白雲の下 等しく丹精を捧ぐ羅府の天」と指陳され、真摯な大衆九拝を身体の大きい海外僧が行じ、法要は粛然と進行した。「高祖道元禅師学道御和讃」に「星はめぐりて時うつり くらしのすべは変われども かわらぬ教え今もなお 人に示してあらたなり」と詠ぜられたごとく、法要は新鮮に輝き、参加者全員の心をひとつにし、高祖さまの真前へ奉供されたのであった。
(高祖大遠忌予修法要献供出班)
(大導師大竹宗務総長)
 
 柊わって、大竹宗務総長のお言葉があった。


 大遠忌にめぐり合えた勝縁をともに喜び、先ほど真前に捧げられた法語を平易に解説された。「道元禅師の法縁につらなる私どもが、国や言葉の違いを越えて心からのご供養を申し上げている。こんな喜ばしいことがあろうか」と感銘を表され、法要を勤められた全員に感謝の辞を述べ、お話を結ばれ退堂された。 次に南澤大遠忌総監が挨拶に立たれた。「本日は102歳のご高齢になられた宮崎禅師が遠く海を渡って参れませんでしたので、御代香に大竹宗務総長に焼香師をおつとめいただき、ありがたいことでした。明年はぜひ皆さま、永平寺にいつでもおまいりいただきますよう」とのお言葉があり、関係者各位に大本山永平寺として感謝をされた。

    (お言葉を述べられる大竹宗務総長)
 清衆散堂の後、本堂前で大竹宗務総長を中心に参列者全員の記念撮影がされた。終了したのは午後1時であった。
 その後、境内に張られたテントの中で昼餐会があり、一同なごやかに放談をしながら国際禅の交流を繰りひろげた。
                             (和やかな雰囲気の昼餐会)
 
 北アメリカに禅宗寺が建立されてから、来年2002年大遠忌の年で80周年を迎える。同時に北アメリカ開教80周年でもある。その間北アメリカ各地に曹洞禅の法幡を掲げる僧伽が多数創立され、法の輝きを発している。先人開教師の弄清魂、宗門各宗師のご法愛、この地の曹洞禅継承者各師の精進、そして僧伽信奉者の支援、これら至純の法力がこのアメリカの地の曹洞禅門興隆の豊かな滋養となって、80年のダルマの花を咲かせている。
 このたぴ、禅宗寺において日本、北アメリカより各尊宿が参集し修行された、高祖道元禅師750回大遠忌予修法要は日本曹洞宗750年の歴史伝統はもとより、北アメリカ開教80年の清新な功夫弁道の過程、その双方の融合を示す法会であった。
 さらに「21世紀世界の曹洞禅」へのステップを踏み出す、報恩誓願の予修法要であった。
                                                (北アメリカ開教総監部記)