平成20年度禅をきく会 東京会場



 2008年9月29日(月)、午後2時より、あいにくの雨の中、東京有楽町のマリオン朝日ホールで、宗務庁主催の「禅をきく会」が開催された。

 冒頭、挨拶に立った宮下陽祐教化部長は、「本日は禅を聞く会のテーマを『いのち』と定めました。皆さま、自分の寿命のスピードをお考えになったことはございますでしょうか。地球の円周や約45,000キロといわれています。この地球が24時間かけて自転いたします。それを1日といいます。さらに自転をしながら太陽を1周すると1年となります。45,000割る24といたしますと1875キロというスピードになります。生まれてから、知らない間にこのスピードで死に向かっていくということになります」と述べ、「そんな超スピードの私たちの『いのち』をどう生き、どう死ぬかはもっとも私たちに大切なことではないかと思います。短い時間ではありますが、皆さんにとって有意義な時間となりますようにお祈りしてご挨拶にかえさせていただきます。」と、挨拶をしめくくった。


 今年のゲストである永六輔氏は、昭和8年東京浅草の寺院に生まれ、中学のときにNHKラジオ「日曜娯楽版」に投書して以来、ラジオを中心に作詞、テレビ、出版の仕事を続け、NHK放送文化賞を始め、さまざまな賞を受賞されている。作品には「こんにちは赤ちゃん」「上を向いて歩こう」「大往生」など、おなじみの作品が数多くある。 生活の大部分を旅暮らしとし、その中で感じた感動や矛盾について執筆しながら、時には市民運動やボランティア活動を手伝っておられるという。



  もう1人のゲストである無着成恭師は、昭和2年山形県生まれ。昭和23年、山形師範学校を卒業と同時に山元中学校に勤務し、以来、明星学園を退職するまでの35年間、教職一途に昭和を駆け抜けた。その間の記録「やまびこ学校」「続やまびこ学校」などの書物は、戦後民主主義教育を象徴するものとして評価されている。
  昭和39年より始まった「全国子供電話相談室」で、回答者として33年半の間務めた。現在は、大分県泉福寺で住職をしながら、ラジオ、電話による教育相談、仏教相談また難民救済活動に参加されており、その活動は高く評価され、齋藤茂吉文化賞や正力松太郎賞などを受賞されている。


 初めにステージに上がった永六輔氏は、「まず3つのことをお断りします。現在歯の治療中で、総入れ歯の総仮歯が入っています。さらに、食事用と会話用の入れ歯を作りましたが、食事用の入れ歯をしてきてしまいました」と和やかなムードで講演を始めた。

 電話相談室での子供からの質問や、楽しく死ぬために笑って生きようということを根底に、笑のレベルというものはどういうものなのか。また、妻を亡くした夫が約5年で亡くなっているのに対し、夫を亡くした妻は約25年で亡くなるという熊本県での事例を挙げ、夫を早く亡くならせる方法を考えるなど、冗談を交えたお話に会場は大いに盛り上がった。
 次にステージに上った無着師は、2+2は4と、2×2は4の意味は、数字の上では同じでも意味合い、次元が違うという算数の例や、漢字の「しめすへん」は「祈」や「祀」、「社」など宗教に関わる漢字に使われているというような身近な例を挙げて、宗教とはどういうものかを説明した上で、修証議についての解説や戒についてのお話を、わかりやすく講演された。
 最後に、永氏と無着師による、2人の会話をお互いに評価し合う形式の対談が行われた。


 講演の後、総合研究センター副主任研究員の小杉瑞穂師の指導で、全員で椅子坐禅のひとときを過ごした。数百人の聴衆が静まりかえる。
 いのちをテーマに、笑いの絶えないとても和やかな空気の中、今年の「禅をきく会」は盛会裏に終わった。

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