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決議文
宗門は、国のハンセン病政策に追随し、荷担してきたことに対して、宗教者として深く謝罪と反省の意を表するものである。
1996年(平成8年)、「らい予防法」が廃止されたが、ハンセン病元患者の方々は、偏見と差別からの真の解放を求め、国に対する損害賠償と正式な謝罪をもとめて「ハンセン病国家賠償請求訴訟」を熊本地裁に提訴した。
2001年(平成13年)5月11日、熊本地裁は国と国会の責任を認め、原告全面勝訴の判決を下した。国及び国会は、「らい予防法」の制定とこの法律を放置してきた責任を認めて、衆参両院議会で謝罪決議をし「ハンセン病補償法」を成立させた。
戦後、全国で特効薬であるプロミンが入手可能になり、ハンセン病は完治する病気になったのにもかかわらず、1953年(昭和28年)、国は「らい予防法」を制定し、強制隔離の強化と患者に対する外出制限、違反者に対する罰則を認める懲戒検束規定を設け、さらに、療養所内での婚姻を認める代わりに断種手術、避妊手術を強制し、妊婦に対しては堕胎手術を強制した。
このような「非人道的」ハンセン病政策の中で、患者と完治した元患者は、療養所の内外で「人として生きる権利」を奪われ続け、また、その家族や親族も偏見と差別によって、地域社会の中で安らかな生活を送ることさえ許されなかった。 このハンセン病問題では、国や国会がその責任を認め謝罪したことは当然である。私たち宗門人は、両祖の教えを信仰する宗教者として、さらに深くその責任の重さを認識しなければならない。
わが国のハンセン病政策の中で、近年に至るまで、我宗門では、一度として患者の側に立って、国の「非人道的政策」に異議を唱えることはなかった。むしろ「悪しき業論」による布教によって国民の意識の中に「偏見と差別意識を助長した」と言っても過言ではないし、慰問布教の名のもとにハンセン病患者・元患者の方々にあきらめを説いてきた歴史的事実がある。
すなわち、この病が過去世において三宝や『法華経』などを誹謗中傷した悪業の報いであると、「悪しき業論」の典型として説明され続けてきたのである。さらに、悪業の結果としてのハンセン病は、懺悔と仏法帰依によって救済されるとしつつも、「非人癩病狂死者引導法并符」という差別切紙においては、ハンセン病者の絶滅思想をも伝承してきたのである。
ハンセン病の方たちに対して、菩薩行に生きるべき宗門人が両祖の教えに反して、無慈悲な所業をなしたことは誠に慚愧に耐えない。
宗門においては、「宗典・祖録・説教の点検」「悪しき業論の克服」の取り組みの中で、『曹洞宗全書』点検作業に関する中間報告や研修用教材の作成、あるいはさまざまな研修会や講習会等の人権学習において、元患者の方々の講演、療養所での現地学習を行ってきたが、全宗門的な取り組みとしては、不十分であったと言わざるをえない。
よって本宗議会は、このような過去の重大な過ちを認め、ハンセン病患者及び元患者、ご家族、ご親族に対して深く反省し謝罪の意を表するとともに、宗門を挙げてハンセン病患者及び元患者の方々の人権回復の為の啓発活動に取り組む決意をあらたにし、さらに、死後も故郷へ帰ることのできなかった全国のハンセン病療養所の納骨堂に眠る2万3千人の精霊に哀悼の意を表し、そのご遺骨の帰郷運動に力を尽くす決意であることを表明するものである。
右、決議する。
2001(平成13)年6月28日
曹洞宗宗議会
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