 金剛流全国奉詠大会
会場入口にて
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2003(平成15)年1月末、和歌山県伊都郡高野町の高野山真言宗金剛講本部より、高野山金剛流と曹洞宗梅花流との交流のため、4月15、16日に高野山で行われる、平成15年度高野山金剛流全国奉詠舞大会において、曹洞宗梅花講員による登壇奉詠をしていただけないか、との打診があった。これは2002(平成14)年の高祖道元禅師750回大遠忌に因む行事の一環として、大本山永平寺と高野山との間で、相互訪問というご縁があり、そうしたことを承けてのご招待であった。
曹洞宗宗務庁内局で検討の結果、梅花講活動のさらなる発展充実に資するため、他流派との交流をはかることもよいのではないか、親切なお誘いであるからぜひお応えすべきであるとのことで、2月20日付にて登壇奉詠をさせていただくとの回答をする。
その後、曹洞宗側は詠道課、高野山側は講社課がそれぞれ窓口となり、連絡調整をする中で、曹洞宗梅花講からは、高野山に比較的近い滋賀県正傳寺住職で梅花流専門委員・北野良昭師範とその指導を受けている深高院講2名、林慶寺講1名の計4名で登壇奉詠することになった。曹洞宗宗務庁からは所管部長の市河雄峰伝道部長が出席し、柚木祖元詠道課長(当時)が随行することになった。 |
金剛流は、西国三十三観音霊場や四国八十八ヵ所札所などで古くから唱えられていた御詠歌や御和讃をまとめ、音譜を制定し、講組織をととのえ、1926(大正5)年に「金剛流詠歌」を公称している。この金剛流が諸宗派の中に取り入れられ、それぞれの御詠歌の流派が誕生していったという歴史がある。梅花流創立当初、直接ご指導いただいた密厳流(真言宗智山派)もそのひとつであって、こうしたことから、梅花流で「伝承曲」と言われている「紫雲」「梅花」「渓声」などの旋律が、各流派の御詠歌の旋律とほぼ共通しているということが頷けるのである。
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4月15日午後3時過ぎ、高野山の大師教会に到着。大会はすでに午前中より始まっており、関係者へのご挨拶もそこそこに金剛流全国奉詠舞大会会場に案内され、大会の模様を視察させていただく。今回で奉詠大会は75回、奉舞大会は54回を数えるとのことである。
僧侶20名ほどの高野山合唱団による金剛流詠歌の模範奉詠や新作宗教舞踊の発表を拝見する。宗教舞踊の地歌として奉詠された「妙遍(みょうへん)」という御詠歌は、梅花流の「渓声」にあたるものであった。その後、金剛流の歴史や現在についての展示コーナーにご案内いただき金剛流についての概要を説明いただいた。 |
 金剛流新作宗教舞踊 |
 夕食懇談会出席者
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宿泊は、宿坊のひとつ、無量光院(高野山真言宗宗務総長・土生川正道大僧正のご自坊)であった。時いたって夕食懇談会では、土生川宗務総長はじめ、金剛講総本部長・岩坪眞弘教学部長、さらに金剛流詠監・徳永典光師、同・立葉(たてば)了照師、倉岡弘叔教学部次長らの心温まるおもてなしをいただいた。翌日の登壇奉詠を控えた梅花講員の方たちは、緊張の中にも心づくしの高野山さまのお料理を堪能し、楽しいひとときを過ごさせていただいた。 |
| 翌16日午前9時、大会(2日目)に参加。10時ころ、司会の講社課長・松隈(まつくま)康伸師の紹介で、いよいよ梅花講員が登壇奉詠をさせていただく。会場の大師教会には500名ほどの金剛流の講員さん方が集まっており、注目の中で「正法御和讃」「三宝御和讃」「高祖道元禅師学道御和讃」「同御詠歌(慕古)」の奉詠がなされた。四曲の奉詠が終わるとシーンと静まりかえっていた会場から大きな拍手がわき上がった。両流派交流の第一歩が刻まれた瞬間である。 |
 梅花講員の登檀奉詠
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金剛流の模範奉詠
資延猊下から感謝状を頂く
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梅花講員の登壇奉詠の後、金剛流の模範奉詠・奉舞、尼僧学院卒業者の奉詠などがあり、その後再び梅花講員4名が登壇、高野山真言宗管長・資延(すけのぶ)敏雄猊下から感謝状を頂戴した。管長祝下のご垂示に引き続き、市河伝道部長が登壇し、曹洞宗を代表し今回の相互交流のご縁をいただいたお礼を申し上げた。
昼食後、奥の院に向かう途中で金剛流流祖・曽我部俊雄(しゅんのう)師のお墓参りをし、さらに弘法大師の御廟に参拝、両流派の交流についてご報告した。次に総本山金剛峰寺に拝登し、二祖廟などを参拝、高野山を後にさせていただいた。
この二日間、高野山の関係各位に格別のご高配をいただき、文字通り法悦のひとときを過ごさせていただいた。登壇奉詠した梅花講の方たちも「たいへんに有り難いご縁をいただき、一生の思い出になりました」と、口々に感激と感謝の言葉を述べていた。 |
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ここ2、30年の間に私たちの生活様式や地域共同体の結びつきなど、そのあり方が大きく変わり、個人の価値観も非常に多様化してきた。少子高齢化が進む中で、梅花講の講員数は停滞もしくは微減傾向にあり、講員の高齢化についての指摘もなされて久しい。梅花流を取り巻く状況はけっして楽観を許さない。
ところで、各宗各流派の御詠歌講の講員や観音霊場の地元の人たちなどを合わせた「御詠歌人口」は80万人とも言われており、これは日本社会の中でけっして少ない数とは言えないように思われる。この中に私たち曹洞宗の梅花講員17万余も含まれており、御詠歌を通したお仲間が全国各地にいるのである。
近年、狂言や津軽三昧線などの日本の伝統文化・芸能が若者たちに注目されている。平成16年度から学校教育の中で邦楽の授業が取り上げられるようにもなる。
信仰運動としての梅花講活動に、さらに心静かにお唱えする日本の伝統文化・芸能としての詠讃歌という側面も加わって、こうしたことが宗門内外においてきちんと評価され、相応の位置付けがなされることが期待される。こうした点からも、今後の高野山真言宗の金剛流と曹洞宗の梅花流との相互交流が深まり、両講がいよいよ発展することを心より願いつつ、両流交流の報告に代えたい。
(詠道課記)
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