|
■経典とはなにか?
仏教は、仏が説いた教えを根本とする宗教です。そのため仏教においては、釈尊が説いたことばが絶対の権威をもつものであり、この釈尊の説法をまとめたものを経(経典・お経)といいます。
経ということばは、サンスクリット語のスートラの漢訳ですが、スートラは古代インドの宗教であるバラモン教のさまざまな教えや規則を記した聖典類のことをさしていました。もともと仏教独自のことばではなく、本来の意味は「線」とか「糸」「紐」のことです。
仏教でも、釈尊の教えをまとめたものを、インド古来のスートラという語で呼ぶようになり、中国ではそれを経という字に漢訳しました。
釈尊が亡くなられたのち、その教えは、弟子たちによって口から口へと伝承されました。しかし語り伝えるあいだには記憶の誤りも生じ、しだいに教えの内容も変わることを心配し、弟子たちが集まって釈尊の教えを整理しまとめることになりました。この会議は結集(けつじゅう)とよばれます。
この会議においては摩訶迦葉(まかかしょう)〈マハーカッサパ〉が中心となり、経は多聞(たもん)第一といわれ記憶力にすぐれた阿難によって語られ、また律(教団の規則)は持律(じりつ)第一といわれた優波離(うぱーり)が記憶にしたがって語るのを、大勢の弟子たちが聞いたものと照合し、承認してまとめあげたのです。
やがて、この経と律を研究した論が多くつくられるようになりました。これを総称して「経・律・論」の三蔵と呼んでいます。蔵とは「いれもの」という意味で、経と律と論を収蔵しているものということです。
のちには、仏教文献の総量は膨大なものとなったため、一切経あるいは大蔵経と呼ばれるようになりました。
|