師走(十二月) 微笑庵精進お節料理


壱の重 黒豆福芽煮
松笠慈姑揚煮
竹干社唐西京漬
梅花人参紫蘇煮
精進膾
網笠柚子蜜煮
春花蕪南部酢漬
ころ松茸旨煮
抹茶栗金飩
梅田牛蒡利久煮
胡桃飴煮
小梅甘露煮

十二月も中旬を過ぎると、日本料理屋では、
そろそろお節料理の準備にとりかかります。
特にお節料理は、二~三日かけて食べることが多いので、
日持ちをさせなければなりません。

そのために、味付けや、煮方、焼き方など
いろいろと工夫をします。
鰹節を使用しなかったり、味噌漬けや粕漬けにしたり、
また、酒を多めに使ったり、砂糖を普段よりも使用して、
甘めに味付けをしたりと、千差万別です。

弐の重 新竹の子山椒焼
銀杏松風風焼
湯葉つけ焼
大徳寺麩含め煮
海老芋含め煮
高野豆腐水晶巻
蓮根小倉煮
干椎茸卵の花あえ
小原女東寺巻
香茸艶煮
百合根含め煮
天上昆布
酢取り棒生姜

それとお正月の料理には、塩蔵品や乾燥品を多く使うのも特色だと思います。棒鱈、金子、数の子、身欠鰊、かち栗、黒豆など結構多いものです。一つひとつ素材により戻し方が違いますが、基本的には、じっくりあわてず時間をかけて、充分に戻す作業を怠らないということだと思います。

さて写真のお料理ですが、これは精進ものをお重に盛り込んだものです。精進料理というと、とかく質素というイメージを持ちがちですが、どうです、豪華でしょう。料理の品数が多くて、全てを説明するのは不可能ですが、その内から二品について述べたいと思います。

壱の重に黄色い楕円形のものがありますが、何だかわかりますか。実はこれ、柚子の甘露煮で、別名を編笠柚子といいます。柚子を二つ割りにして、それをまた二つに折ると編笠のような形になるので、そのような名前になったようです。

作り方は、まず柚子の表面を艶を出すために包丁でごくごく薄くむきます。ご家庭ではなかなか無理だと思いますので、細かい目の卸し金で表面だけを軽く卸します。卸すというより、なでるといった方がよいかもしれません。

次に縦二つ割りにして、中の実と種を取り去ります。いったん茹でた後、冷水に取り、内側の白い筋をきれいに取り去り、砂糖密の中で煮含めます。それを二つ折りにして、ザルなどにきれいに並べ、蒸し器にて蒸し上げます。これは、柔らかくし、余分な水分を抜くためです。その後、煮含めるのに使った密にいったん火を入れ、きちっとした味に整え、蒸した柚子を漬け込んでおきます。柚子風味の美味しい逸品です。

さて、もう一品、やはり壱の重に松ぼっくりのようなものがありますが、これは松笠慈姑(くわい)といいます。

まず、慈姑に包丁で松笠のような切り込みを入れ、それを油でゆっくりと、こげ茶色に色づくまで揚げます。いったん油抜きして、少々濃い味で煮含め、味が中まで通ったら慈姑を取り出し、残った汁を煮詰めます。水飴を少々入れて味を調えたら再び慈姑を鍋に入れ、煮詰めた汁と絡ませます。艶のある松笠のできあがりです。