師走(十二月) 昆布(こんぶ)


梅田牛蒡の昆布巻き 栗焼き目付旨煮、
海老芋の含め煮、新取菜
天上昆布  
昆布鍋 巻白菜、春菊、榎茸、椎茸、
大根、人参、生湯葉、豆腐

 とうとう今年も残すところ、あと一ヵ月となりました。『禅の友』の執筆を二年間続けて参りましたが、あっという間に過ぎ去った月日だったように思います。来年も企画を新たにして、読者のみなさんに楽しんでいただき、かつ役に立つ精進料理を掲載させていただくよう努力いたします。

さて、1999年の最後を飾る精進料理は、代表的な「昆布」につきるのではないでしょうか。

日本料理の「出汁(だし)」にかかせない昆布、海に囲まれた日本ならではの昆布料理は数え切れないほどありますが、ここでは料理法が異なる三点をご紹介します。

まず、一品目は牛蒡の昆布巻きです。

ごくふつうの牛蒡でいいのですが、この季節になると「堀川牛蒡」や「梅田牛蒡」と称される、太くて柔らかく、おいしいものが出回りますので試してみてはいかがでしょう。

牛蒡はご存じのとおり、「アク」が強い野菜ですので、必ず糠(ぬか)を入れて大きめの鍋でゆったりと茄でてください。茄であがったら、戻した昆布の横幅ぐらいに牛蒡を切ります。

牛蒡をクルクルと昆布で巻き、数ヵ所を干瓢で結びます。干瓢は、完全に戻してしまうと、すぐに切れてしまいますので戻しすぎに注意してください。心配でしたら、干瓢の代わりに凧糸を使うと安心です。

大きめの鍋にきっちりと昆布巻きを並べ、水をヒタヒタに入れて、砂糖・味酬・濃口醤油という順序で入れていきます。調味料は最初から一気に入れないで、煮詰まってきたら、味をみながら、徐々に調味料を加えていくことが望ましく、中火でクツクツと中の牛蒡にも味がしみ込むようにゆっくりとじっくりと気長に煮ることがコツといえましよう。

ひと口大の大きさに切り、切り口を見せて盛りつけます。

栗に焼き目を付けて含ませたものと、これからが旬の海老芋の含ませ煮とを盛り合わせてみました。青味は新取菜を用いています。

二品目は「天上昆布」です。

これは、天にも上るほどという意味で、何枚も昆布を重ねて煮たものです。昆布の粘質を利用して、ぴったりと重ねてくっつきあった仲の良い昆布です。

さて、作り方ですが、シンプルなようでけっこうだいへんなんですよ。

いったん戻した大き目の昆布を何枚も重ね合わせて鍋に入れ、その上から落とし蓋をして重石をのせます。石は軽すぎると昆布が動いてしまうおそれがありますのでそこそこ重い石を用意します。

次に落とし蓋が隠れるくらいの水を鍋に張り、コトコトと弱火でじっくりと昆布を柔らかくします。

砂糖・味醂・濃口醤油を徐々に入れていきますが、昆布に味がしみこむまでにけっこう時間がかかりますので、調味料を足しながら二昼夜くらい焚いて、汁気がほとんどなくなるくらいまで煮込んでください。 あとはそのままさめるまで鍋の中で静かに寝かせておきます。のちに、それを適当な大きさに切りだして盛りつけます。昆布だけの料理ですが、時間をかけて煮てあるのでとってもおいしい一品です。

最後は昆布をお鍋の代わりにした料理です。家庭では写真のような金網がない場合、昆布の両端を凧糸で結び、水が漏れないような船型にします。

ここでは直接昆布に火を入れますので、穴のあいた昆布は使わないでください。

材料はあるものでかまいません。ここでは白菜・春菊・榎茸・椎茸・それに大根・人参、そして精進料理には欠かせない湯葉と豆腐が入っています。

寄せ鍋風にして、汁に味を付けてそのまま食べても、サッパリとポン酢で食べてもとてもおいしく、昆布の香りとうまみが素材に浸透して、とても味わい深い料理になるはずです。

日本料理では、この船型の昆布の中に牡蠣を入れて焼き、ポン酢で食べると本当においしいですよ。

今年もこれで最後になりました。二千年の正月を迎えるわけですが、読者のみなさまにも、ますますお元気にて、ご活躍されますようお祈り申し上げます。