師走(十二月) 新取菜(しんとりな)とちょろぎ


新取菜
雪花和え
栗焼き目付旨煮、
海老芋の含め煮、新取菜
ちょろぎ
ゆかりまぶし
巻白菜、春菊、榎茸、椎茸、
大根、人参、生湯葉、豆腐

早いものでもう師走を迎えます。『禅の友』の執筆をおおせつかってからもう丸3年、本当に月日のたつのは早いものですね。

本年は青菜と根菜という主題で色々な料理を紹介いたしました。年末を飾る料理は「新取菜の雪花和え」と「ちょろぎのゆかりまぶし」です。

さて、まずは「新取菜の雪花和え」ですが、雪花とは季節的に雪が舞う情景をイメージしたものです。

日本料理では、おそらく白身の魚をほぐして湯煎にし、軽く乾(かわ)かして「ぼんぼり」というものを作り、そのふわふわとした白身魚を使用することが多いのですが、精進料理では「おから」を使います。おからもそのままでは大豆の薄皮などが残ってしまいますので、まず「水漉し(みずごし)」という作業をします。

水漉しといっても何のことか分からない方もいらっしゃると思いますので、簡単に説明しておきましょう。

まずお豆腐屋さんからおからを購入します。そのおからを裏漉しに入れ、ボールに水を溜めた中でおからをしごいていきます。 そうすることによって裏漉しの網の目から、 除々におからが通ってキメが細(こま)かくなり、裏漉しの中には当然ながら、網の目を通ら ない薄皮などが残ります。

裏漉しを通したおからは水の中で沈澱していますので、それをネル、あるいはさらしを二重にして袋状にしたものの中に入れ、水気を完全に絞ります。このままでは料理に使えませんので、今度はこれを鍋に入れて、空煎り(からいり)をします。箸を束ねてコゲつかないように弱火で気長に水分を取り除いてください。そのうちにフワッと綿のようなおからができあがってきます。これに塩、砂糖を加え、味を調えて(ととのえて)おきます。

新取菜は茄でて漬地にしておきます。潰地(つけじ)はお吸物の味よりちょっと濃い目の汁で す。もちろん青いものを漬けるのですから、冷やしておいた汁に漬け込んでください。

色合いに人参を繊(せん)に切って含ませたものも用意しておきます。

新取菜を食べやすい長さに切って人参と合わせ、真っ白なおからと和えて、できあがりです。緑と赤と白のコントラストがよりいっそう美味しさ(おいしさ)を引き立たせてくれます。

おからを「雪花」にするのが少し面倒だと思いますが、きれいなおからが仕上がれば喜びは倍増すると思います。

ぜひチャレンジして欲しい一品です。

もう一品は「ちょろぎ」です。漢字で「丁呂木」とも書くようです。

言うまでもなく、正月のお節料理には欠かせない素材です。

柔らかく煮上げた黒豆の上に、ちょこんと載っている紅白の螺線状(らせんじょう)に捻れた(ねじれた)ような食べものがありますが、これが「ちょろぎ」です。

ほとんどが酢漬にしてあり、コリコリとした食感がするものですが、美味しいと思って食べる人は少ないように思われます。 その「ちょろぎ」を美味しくいただくために今回ご紹介するのが「ちょろぎのゆかりまぶし」です。

なかなか生のちょろぎが手に入らないかもしれませんが、この時季になるとけっこう八百屋さんの店頭に現れることがありますのでお見のがしなく。

ちょろぎは根茎ですから泥が付着していることがありますので、よく洗ってから塩をひと振りして蒸し(むし)上げることにより「ホクホク」とお芋のような食感で食べることができるのです。

梅漬けにした紫蘇(しそ)の葉を天日にて乾かし、よく揉み(もみ)ほぐして摺り鉢でよく摺り、これを「ふるい」にかけて、きめ細かな赤紫蘇の紛を作ります。

市販のものを使用してもよいと思います。

料理は簡単、蒸したちょろぎをゆかりでまぶしただけのごくシンプルな料理ですが、とてもおいしいですよ。

 

来年は主題を「果実」にして、色々な果物や柑橘類(かんきつるい)を素材にして精進料理にチャレンジしてみようと思っています。

フルーツ類を食材にしてどんな精進料理が作れるのか、皆さんも楽しみにしていてください。