如月(二月) 精進料理の炊き合わせ


  海老芋の含め煮
慈姑(くわい)の含め煮
 大徳寺麩
 梅花京人参
牛蒡(ごぼう)万年煮
蕗の色煮
大豆旨 柚子、木の芽

暦の上ではもうとっくに春なのに、寒さはつのるばかり。“春よ来い、早く来い”と歌いたくなる季節です。でも伊豆や暖かい地方では、梅の花がほころび、そろそろ春の到来を思わせるのもこのころです。

二月一日より七日間、大本山永平寺では、涅槃会摂(ねはんえせっしん)というお釈迦さまのご入寂にちなみ、ご遺徳を偲んでの坐禅三昧の大変な修行をするそうですが、我々の一般社会での二月を代表する行事といえば、節分かバレンタインデーではないでしょうか。

そこで二月の料理は、まだまだ寒い季節ですし、暖かみのある煮物を選び、ほんの少しだけ節分の雰囲気を取り入れてみました。節分にちなんだ料理というと、鬼やお多福の面を、野菜やお麩で造ったりもしますが、精進料理ではあまり技巧を凝らさない方が良いと思います。

さて料理ですが、一人前では寂しい気がしましたので、皆で楽しく食べられるといいなあと思い、ちょっと変わった土焼きの大鉢に持ってみました。精進料理の三原則である五味(五つの調味料)・五法(五つの調理方法)・五色(五つの色彩)、その五色を少々大胆に表現してあります。

素材を生かして白く炊いた海老芋、梅田牛蒡(ごぼう)を黒くじっくりと柔らかく万年煮としたもの、黄色を山梔子(くちなし)の実で色付けした慈姑(くわい)、早春の緑を彩る蕗、そして色鮮やかな赤い金時人参。これぞ精進料理の五色の表現ではないでしょうか。それにちょっと節分らしく、大豆の炊いたものをパラパラと散らしてみました。ちなみに前述の万年煮ですが、万年という言葉の通り、時間をかけて、軟らかく、芯まで味が染み込むように煮る料理法で、特に牛蒡に限らず、魚貝や他の野菜にも応用します。

節分には、柊(ひいらぎ)の葉に鰯(いわし)の頭をさして戸口に飾り、豆をまくという習慣があるとの事、写真の料理に添えたお花にも、柊を配してみました。