如月(二月) 芹と大根(せりとだいこん)


芹の白和え 薄揚げ、大徳寺麩、こんにゃく
風呂吹大根 玉味噌、針柚子

今月は「芹と大根」です。せり・なずな・ごぎょう……。と春の七草にも数えられている「芹」ですが、旬は11月から3月が一番おいしい時期です「芹」の良さはなんといっても大人向きのさわやかな香りと、その歯触りの良さにあるといっても過言ではないでしょう。

そこで今回は精進料理には欠かせない「白和え」にしてみました。今さらながらの感もありますが、復習をかねて、簡単に作り方を説明したいと思います。まず基本的なことでは、衣が流れるようにゆるいのはぜったいに禁物ですので、豆腐はしっかりと水気を切ってください。切り方はガーゼやさらしに豆腐をくるみ、板や面器の間に挟み、潰れない程度の重石をのせて、自然に水を切ることが重要です。

白和えではありますが、風味に胡麻を少々入れるとよいでしょう。擂り鉢に煎った胡麻を入れ、油が出るほどによく摺ります。油が出たら、少量の水を切った豆腐を入れ、胡麻とともによく摺り合わせます。 ほどよく胡麻と豆腐を混ぜ合わせたら、残りの豆腐も全部入れて再び摺ります。

砂糖と濃口醤油にて味をつけ、まずは白和えの衣のでき上がりです。

先ほど述べたように、「芹」は香りと歯触りが命です。ご自分の舌と歯触りで、茄であがる前に太めの茎を食べてみて、ちょっとまだ硬いかな? というくらいで冷水に落とし、さめたら水気を絞って、下味をつけるために昆布出し汁にお吸い物より少々きつめの味をつけた汁に漬けておきます。

外に、人参・こんにゃく・大徳寺麩・薄揚げを入れますが、主体は「芹」ですので、これらの素材は目立たぬように、なるべく小さめに包丁を入れます。大徳寺麩と薄揚げは油抜きをして、人参とこんにゃくは、いったん茄でて先ほどの出し汁にてサッと焚いておきます。これですべての素材に軽い薄味がついたわけです。

それぞれの素材の汁気を切り、白和えの衣に混ぜ合わせますが、材料が少なすぎて、まるで白和えの衣だけを食べているようではいけません。材料に少しずつ白和えの衣を入れて、混ぜてください。

芹の香りと豆腐がマッチした一品です。

次の一品は大根です。

この2月ころが大根の一番おいしい季節だと思います。聖護院・青首・官重・三浦大根など多種におよびますが、みずみずしい大根は、おでんなど冬の鍋料理には欠かせない素材です。また、ビタミンCを多く含み、焼き魚などには必ず大根卸をつけますが、焼いた魚の焦げに含まれる、発ガン性物質を分解するオキシダーゼも含まれており、「焼き魚には大根卸」と言われるくらい理想的になっているのです。

大根の葉を捨ててしまう人がいますが、葉の部分は鉄分やビタミン、カルシウムが豊富ですから、みそ汁の実やお新香、妙めて何かと和えるなど、工夫すればいくらでもおいしくすることができますので、大切な食材として扱ってほしいと思います。

スーパーではいわゆる首の部分、真ん中の太い部分、先の部分を別々にサランラップで包んで売られているようですが、用途を何にするのか、きちんと決めた上で購入した方がよいでしょう。たとえば焼き魚の大根卸に使用する場合は、先の部分の少々辛味の強いところ、煮物やおでん、風呂吹に使用するときは真ん中の柔らかくてジューシーなところ、煮っ転がしや他の素材と煮込んで使ってみたいと思ったら、葉に近い硬い部分と、買い分けることが必要ではないかと思います。

写真の大根は単なる風呂吹です。

フーフーと吹きながら、極寒の中、アツアツの風呂吹を食べるとき、「日本人でよかったなー」とつくづく思います。

料理人の風呂吹大根は、いったん米のとぎ汁や糠を入れて茄でます。それを水で晒し、昆布と鰹のお出汁で煮上げ、好みの味噌などをかけて食します。

面取りもしてあり、仕上がりは確かにきれいですが、栄養価は半減すると思います。 私が読者のみなさんにお勧めするのは、いわゆる直焚と言われる方法です。

鍋に大根を入れ、昆布を少々多い目に入れて、そのまま大根を茄でてしまいます。 昆布を途中で取り出す必要はなく、ある程度火が通ったら、ダイレクトに味をつけ、昆布と一緒に召し上がってください。