如月(二月) 林檎(りんご)

精進料理

林檎の庄内巻き 林檎葡萄酒煮、庄内麩、チャーピル
黒豆の林檎和え 黒豆の密煮、卸林檎、レモン汁、繊皮林檎
2001年の2月を飾るのは林檎です。 まず一品目は「林檎の庄内巻」です。ここで使用する林檎は、「国光(こくこう)」といわれる小さ目で酸味の強い林檎です。「インド」や「富士」「デリーシャス」などの種類は、この料理にはあまり向かないような気がします。林檎はどのようにむいてもかまいません。通常、家庭では八等分くらいに切り、種の部分を取り去り、皮をむきますが、これで十分です。

直焚き(じかだき)といってそのまま皮をむいた林檎を鍋に並べ、砂糖を加えて中火でクツクツと煮れば、林檎の水分が出て焦げないように上手に仕上がります。

好みでブランデーやワイン、リキュールなどを入れて煮てもよいでしょう。 安心できる煮方は、水と砂糖を同量ぐらい入れること。林檎がヒタヒタに被る(かぶる)くらいの蜜(みつ)で煮れば大丈夫でしょう。

落とし蓋をして、煮くずれないように仕上げればできあがりです。そのまま冷やしてデザートなどにお出ししても喜ばれます。

庄内巻の庄内麩ですが、皆さんがよく赤だしの味噌汁などをめしあがるときに浮き身として輪切りにして浮かべているのを見かけますが、それが庄内麩です。乾燥させてありますので、これを焼くか蒸して柔らかくし、庖丁で細く切って使用します。

ここでは、この麩を蒸して柔らかくし、庖丁を縦に入れて、一枚の板状のものにします。これを蜜に漬け込み、少し柔らかくして甘さが加わった麩に仕上げます。

この麩の上に先ほど焚いた林檎をきれいに並べ、巻き寿司のように巻賽(まきす)を使ってくるりと巻き、輪ゴムなどで巻きしめ、冷蔵庫に寝かせます。しっかりと馴染んだら、小口に切り出して器に盛ります。一風変わったデザートですが、とても美味しいとお客さんに喜んでいただいている逸品です。

もう一品、今度は林檎を「和え衣」として使用します。

お正月に残った黒豆や葡萄豆、花豆、隠元などを使用すれば手間がはぶけて、しかも残りものも減るので、いいアイデアだと思います。豆に味付けをする必要はありません。

作り方は簡単、林檎を丸のまま卸し金にて卸し、レモン汁を少々多目に入れて、塩、少量の淡口醤油にて味を付けます。

この卸した林檎に黒豆の蜜煮とを和えたものが「黒豆の林檎和え」です。

他の野菜や肉、魚などにもとても合う和え衣ですので、色々な料理に幅広く応用することができます。

家庭でも、いろいろな素材と合わせて料理を工夫してみてください。

アッと思うような美味しい料理ができることうけあいです。