睦月(一月) お正月の本膳


飯椀 零余子(むかご)御飯 
汁椀 白味噌仕立雑煮椀 
丸餅、鶴の子里芋、亀甲椎茸、葉付子蕪(かぶら)、水引京人参独活(うど)、水辛子
猪口 祝黒豆霙(みぞれ)和之 
黒豆、千社唐(ちしゃとう)、占地茸(しめじだけ)、赤蕪、針柚子
平椀 松笠擬製豆富揚煮 
新竹の子含め煮、梅花京人参、隠元(いんげん)、木の芽
膳皿 紅白柚子膾(なます) 
蓮根利久酢(りきゅうず)漬、新取菜昆布巻、酢取り岩茸、葉付大根
木皿 覚弥沢庵(かくやたくあん) 茄子塩漬、胡瓜(きゅうり)一夜漬

正月といえば私たちの子供のころは何と言ってもお年玉。もちろん今の子供たちもそうだとは思いますが、来客があると「いくらかなー」と胸を踊らせて、呼ばれるのを、隣の部屋でジッと待ちます。お呼ばれされるとめったに使わない上品な口調でご挨拶をします。「いらっしゃいませ」「明けましておめでとうございます」「本年もどうぞよろしくお願いいたします」「ごゆっくりなさって下さい」

なんと、ふだんは全然使わない言葉が子供の口からトントンと出てきます。客の方は、内心「こいつ!」と思っているかもしれませんが、仕方なく、「ハイ、おめでとう。これお年玉だよ」と手渡してくれます。もらったらこっちのもの、シメシメと思いながら上手に引きさがり、音のしないようにソッと中をのぞきます。中身が少ないと「あのおじさんはケチだ」、反対に多いと、良いおじさん、良いおばさんになってしまいます。単純な子供のころの記憶です。

食事に関しては、毎日毎日お餅ばかり。

でも、昔の子はお餅が好きで、私も一食に十個近くも食べたように思います。食生活の違いか、近ごろは一枚ののし餅がなかなか食べ切れないなどと聞きます。現代っ子はあまり餅がお好きではないようです。

さて、一月は「お正月の精進料理」。飯椀はヤマイモ類のつるにできる「零余子(むかご)」。昔からイモ類は小芋、孫芋とたくさんできるので、子孫繁栄の意もあると聞きます。汁はもちろん「お雑煮」。関西風に丸餅を白味噌仕立てにしてみました。おめでたく、鶴の里芋と亀甲型に切った椎茸を添えてみました。

猪口(ちょこ)は、正月には欠かせない黒豆を大根卸しと和(あ)えてあります。平(ひら)は、松笠にした豆腐、それにまだ少々早いかもしれませんが新の竹の子、梅型に切った人参とで「松竹梅」にしてあります。膳皿には、正月らしく紅白にした大根と人参のなますです。

では、即席でごく簡単ななますの作り方を伝授しましょう。まず、大根と人参は繊切りか短冊に切ります。短冊に切るときは、なるべく薄い方が良いと思います。それを昆布塩(昆布出汁に塩を入れ、塩辛くならない程度)に漬けます。約十分ほど漬けておくと野菜がしんなりしてくるので、それを良く絞ります。水気を良く取り去ることが大事です。これを甘酢(昆布出汁と酢を割ったものに、砂糖と塩少々を入れる)に漬けます。細く繊切りにした柚子を入れると風味が増します。本当は二杯酢でも三杯酢でも、いったん火を入れるのが良いのですが、家庭で即席に作るのですから、これでも充分でしょう。