文月(七月) 桃(もも)


桃とかぼちゃの焼菓子 枸杞の実、ピスタチオ
桃の生湯葉掛け 生湯葉、はじき豆

今月は「桃」をとりあげてみました。白桃と黄桃、そして種類も色々とあるのですが、ここでは普通の「もも」という表現にとめておきます。

ちょっと高級な果実かもしれませんが、冷蔵庫でつめたく冷やし、皮をむいてそのまま食べる。これが一番美味しいかもしれません。

それでもあえて、精進料理にチャレンジいたしましょう。

ちょっと洋風のケーキのように見えるのが、まず一品目。「桃とかぼちゃの焼菓子」です。桃だけでは絵になりませんので、かぼちゃを台にしてみました。

まず、かぼちゃに塩を少々振り、蒸し器で柔らかくなるまで蒸し上げます。

今度は、あつあつのうちに裏漉しをします。裏漉しがなかったり、めんどう(料理は手間がかかるものですが……)とお思いの方は、そのまま宮島やポテトマッシャーなどで潰すようにしても構いません。

そしてご存知のとおり、精進料理では鶏卵、バター、牛乳などは使うことができません。ですから、かぼちゃの裏漉しに豆乳と少量の片栗粉を入れ、火にかけて練り、最後に砂糖と塩を加え味を調えます。

台の生地が練り上がったら、2.5センチくらいの厚さに形を整え、桃の薄切りをその上に載せ、オーブンで焼き上げます。
焼き色がつかなければバーナーなどで焼き目をつけます。焼き目がついたら、甘めに煮た枸杞(くこ)の実を並べ、ピスタチオの微塵切りを散らします。

まるで洋風のケーキに見えるでしょうが、立派な精進料理の焼菓子のでき上がりです。盛り込み料理に使用しても良し、甘味として用いても良いのではないでしょうか。道具がなくても、十分に手作りのできる一品です。

二品目は「桃の生湯葉掛け」です。

料理の基本かもしれませんが、素材を生かすことは最も大切なことです。そういう意味では、そのままを食べていただくこの料理は、精進料理の精神にのっとったものといえます。

湯葉は大豆を茄でて、その絞り汁を湯煎にかけ、表面に張ってきたものです。精進料理にはなくてはならない代表的な素材であり、料理だと思います。

作ったばかりの生湯葉を、皮をむいて適宜に切った桃の上にたっぷりとかけ、昆布出汁、味醂、濃口醤油を合わせて火にかけ、片栗を溶き入れて冷やした餡をかけます。色どりに、はじき豆といって色よく茄でた板豆の薄皮を取り去ったものを散らします。

暑い盛りのこの時期に、この料理が出てきたらホッとして安らぎを覚えるような、そんな気持ちに包まれることでしょう。