水無月(六月) 鹿尾菜


長鹿尾菜
渦巻豆腐
楓冬瓜、姫人参、友地餡、
溶辛子
鹿尾菜の旨煮
大豆、人参、こんにゃく、薄揚げ
粉鹿尾菜と
卯の花の
紫陽花揚げ
馬鈴薯、白木丸、枝豆、
木の芽卸し、美味出汁
   

1999年も折り返し点、今年は乾物を テーマに、精進料理を作っています。

さて、今回は海藻の一種「ヒジキ」です。

鹿の尾っぽの菜と書いて「ヒジキ」と読みます。鹿の尾の毛に似ているのでこのよ うな字があてはめられたのでしょう。

ヒジキには長ヒジキと粉ヒジキの二種類がありますが、家庭で皆さんが食しているのは粉ヒジキの方だと思います。粉といっても粉末ではありません。市販されているほとんどが、この粉ヒジキなのです。

ヒジキには水分を切り、蒸してから干す「蒸し干し」熱湯でよく煮てから日干しにする「煮干し」刈りとったヒジキをそのまま日干しにする「塩干し」など、製法はいろいろあります。

ヒジキはヨードとカルシウムを豊富に含んでいるので、髪のつやをよくし、歯を丈夫にするなどの効果があります。ですから発育途中の子どもたちには、ぜひとも食べてほしいものです。また、動脈硬化を防い だり、妊娠されている方が食すると胎児の骨の発育が良くなるなど、すばらしい食材です。

戻し方は簡単で、前日にたっぷりの水に漬け込んでおくだけで結構です。ヒジキは水につけて戻すと数倍になってふくれ上が りますので、水の量をたっぷりと入れておかなければいけません。半日くらいでも十分戻りますが、完全に戻すためには時間をかけた方が良いでしょう。

今度は、ヒジキの水を切るためにざるに移します。この時、よけいなもの(ゴミや他の浮遊物)が入っている場合がありますので、この時点で取り除き、2-3度水で洗ってからザルに移し替えてください。

次にヒジキを鍋に移し、水をたっぷり張って一度煮え立たせ、これを同じくザルに上げます。これで余分なゴミなどは完全に取り去られ、ヒジキもきれいになり、安心して調理できるようになるのです。

さて、まず最初はヒジキの旨煮です。

人参とこんにゃくは細めの拍子木切りにして、薄揚げも同じくらいの大きさに切ります。薄揚げは油を抜き、こんにゃくは、いったん湯通しをしておきます。大きめの鍋にごま油を敷き、人参とこんにゃくを入れ、次に、戻した大豆と薄揚げを入れて軽く妙め、最後にひじきを入れて軽く混ぜ合わせるように妙めます。これで準備は完了。 ヒタヒタぐらいの昆布出し汁を鍋に入れ、みりんと淡口醤油で控えめに味をつけ、じ っくりと中火で煮ていきます。汁がだんだんと煮詰まってきたら、途中で味をみて、調味料を足してゆきます。じっくりと含めることにより、フワッと柔らかく、芯まで 味がしみ込んだ、おいしいヒジキに仕上がります。汁がほとんどなくなるような状態になったらできあがり。色よく茄でた天豆を添えて食欲を増進させます。

次は、長ヒジキの渦巻豆腐です。

長ヒジキは戻して、昆布出し汁八方で煮含めておきます。昆布出し汁八方とは四方八方、いろいろと応用できるという意味で、 昆布出し汁で作った薄めの煮物の汁だと思っていただければいいでしょう。

豆腐は、押しをして水分をきり、裏ごしして山芋の卸したものを入れ、塩、砂糖、 淡口醤油にて薄い味をつけておきます。これをサランラップの上に薄く広げ、その上に長ヒジキをきれいに並べ、くるくると巻 いていきます。これをいったん蒸し器に入れ、キチッと蒸し上げて、まわりに焼き目をつけておきます。これを長いまま煮含めます。煮含めたのち、切り口を見せると、渦巻のようになっています。それでこのような名前をつけてみました。

楓(かえで)型に切った季節の冬瓜と、姫人参の含め煮を添え、豆腐を煮た汁に、葛粉を溶き入れ、トロみを持たせたアンをかけ、和辛子の溶いたものを天に盛ってあります。

三品目は、ヒジキの紫陽花(あじさい)揚げです。

馬鈴薯の裏ごしとおからを合わせ、その中に粉ヒジキが入っています。

味つけはおいしい出汁(だし)でいただきますので、軽い塩味にしてください。形は、どのようなものでも結構です。 白木丸(しろきまる)というお米でできたアラレの中に、茄でた枝豆の薄皮をむいて、みじん切りにしたものを混ぜ、それを衣がわりにつけてきれいな油でカラッと揚げます。大根卸しに木の芽の叩いたものを混ぜ、木の芽卸しを作り、これを出汁に入れて、温かいうちにめしあがります。