皐月(五月) 生と蒸しもの


繊長芋若布(わかめ)巻
こんにゃく昆布〆
生湯葉
ほうれん草重ね押し
拍子木独活(うど)
葉付ミニ大根
繊二十日大根
寄水前寺海苔
辛子酢味噌
梅肉醤油
蒸しもの  百合根万頭皐月蒸
そぼろ豆腐、干椎茸、干瓢(かんぴょう)、
空豆

五月のお料理は、「生と蒸しもの」です。

「えっ、精進料理に“なま”?」と不思議に
思うでしょうね。生ものと言うと一般的には、
魚類になってしまいますが、精進料理の生は、
野菜を主体にして「なま」にて食することです。

五色吹流
三葉、人参、黄素麺、独活(うど)、
牛蒡(ごぼう)
銀餡(ぎんあん)
溶辛子

写真は、長芋を繊切りにして若布(わかめ)で巻いたもの、こんにゃくを昆布〆にしたもの、掬(すく)い取ったばかりの生湯葉、ほうれん草を茹でて白根昆布にて重ねたもの、それに生の独活(うど)を拍子木に切ったものが盛り付けてあります。この他にも、海草類や豆腐、それにもう旬は終わりましたが、茹でたての竹の子を薄切りにしたものなども美味しいとおもいます。

写真には載っていませんが、辛子酢味噌や、梅肉醤油、胡麻ダレなどで食べていただくと良いでしょう。

もう一品は「蒸しもの」です。

「百合根(ゆりね)万頭の皐月蒸し」としてありますが、百合根と空豆を合わせて白と緑ですから「織部(おりべ)万頭」と表現しても良いでしょう。

中には煎り上げて味付けをしたそぼろ豆腐、それに、くっつりと味付けをした干椎茸と干瓢の刻んだものが入っています。

五月の感じを出すために、吹き流し風に野菜と素麺を一文字に並べてみました。

野菜は、三葉と人参、独活(うど)、牛蒡(ごぼう)、それに黄色の素麺が入っています。

黄色の素麺は市販のものはたいてい玉子で色を付けていますが、精進料理では玉子も動物性のものなので使用しません。ですから、山梔子(くちなし)で色付けしたものを使用しています。

ところで、精進料理には「五色」「五法」「五味」という三つの原則があります。二月の料理でも五色(白、黒、黄色、緑、赤)に関して少しふれましたが、それ以降で「炊き合わせ」「お椀とやきもの」「和えものと揚げもの」、そして今回の「生と蒸しもの」で、いわゆる五法を紹介させていただきました。つまり五法というのは、「生」「焼く」「煮る」「揚げる」「蒸す」の五つの調理方法のことです。「お椀」と「和えもの」に関しては、精進料理には付き物ですし、「煮もの」の延長と考えていただいて結構です。

さて冒頭でも述べましたとおり、一般的に「生」と聞くと魚類を想像しがちですが、「膾(なます、「生酢」とも書きます)」といって、精進料理では野菜を酢漬けにして食することも多いのです。つまり熱を用いない調理法を精進料理では「生」といいます。お正月などにお出しする「紅白膾」などは、その代表的なものでしょう。