霜月(十一月) 精進料理の小鍋仕立


丸茄子の
グラタン
占地茸
栗麩
銀杏
紅葉人
(馬鈴薯、コーンスターチ、サラダ油)
豆腐と野菜の
巻繊鍋

薄葛仕立
木綿豆腐
蓮根
牛蒡
人参
椎茸
軸三葉
卸生姜
(昆布出汁、味醂、濃口
醤油、淡口醤油、吉野葛)

十一月に入ると、一段と寒さが増してきます。
そしてこの季節になると、鍋物が恋しくなります。
家族、友人など、気の合う人たちと
ひとつ鍋を囲み、一献を交わし、
色々な話題に触れ、語り合う。

何と素晴らしい風景ではありませんか。
これぞ日本人だと感じます。

ところで鍋物といえば、寄せ鍋、石狩鍋、
鳥の水炊き、しゃぶしゃぶ、すき焼き等々。

精進水炊き
渇葉
巻白菜(法蓮草)
榎茸
舞茸
春菊
花大根
人参
栗麩
高野豆腐
(昆布出汁、ポン酢)

数えればきりがないほど多くの鍋料理がありますが、みなで囲む鍋料理は、好きな材料を、好きなだけ加えてただ煮ればよい寄せ鍋が、やはり一番ではないでしょうか。

さて、十一月の料理ですが、寒い季節に恋しくなるお料理を、小鍋仕立にしてみました。
ひとつは丸茄子のグラタンです。洋食ではホワイトソースで作りますが、牛乳やバターは精進料理にはもちろん使用することができませんので、馬鈴薯でソースを作ります。

馬鈴薯は、茹でて裏漉しします。溶いたコーンスターチを混ぜ、塩、胡椒にて味を調えます。そして少々焼目と照りを付けるためにサラダ油を入れます。中に入れる具は丸茄子の他に、粟麩、占地(しめじ)、銀杏、紅葉形の人参です。ちょっと変わった小鍋ですが、こんなものもたまにはよいでしょう。

もう一品は巻繊鍋(けんちんなべ)です。蓮根、牛蒡(ごぼう)、人参、椎茸は食べやすい大きさに切ります。鍋にサラダ油を敷き、野菜を炒め、ある程度火が通ったら木綿豆腐を大きめに切ったものを入れます。豆腐はこわれやすいので原型をとどめるために大きめにします。次に、昆布出汁をたっぷりと注ぎ、そのまましばらくグツグツと、野菜に完全に火が通るまで煮込みます。その間、ていねいにこまめにアクを取ることが大切です。

火が通ったら、味醂、濃口醤油、淡口醤油を入れ、味を調えます。そのまましばらく煮て、野菜に味をしみこませます。そのまま食べてもよいのですが、ここでは溶いた葛粉を入れてトロミを出します。お出しする時に三葉と卸した生姜(しょうが)を添えて勧めます。他にこんにゃくや里芋を入れてもおいしいと思います。

最後は精進の水炊きです。鍋に昆布を入れ、野菜類を入れます。ここでは、蕪、湯葉、白菜、法蓮草(ほうれんそう)、榎木茸(えのきだけ)、舞茸、春菊、人参、粟麩、高野豆腐が入っていますが、具としては精進ものなら何でもよいでしょう。これは、煮上がったらポン酢でいただきます。

各家庭でオリジナルのポン酢を作るとよいと思います。橙(だいだい)の絞り汁や、柚子の絞り汁、酢橘(すだち)や蜜柑(みかん)などを利用して、独特のポン酢を作ってみてはいかがでしょうか。