霜月(十一月) 法蓮草と蕪


法蓮草の
紅葉サラダ
法蓮草むしろ、占地茸、マッシュルーム
小角トマト、小角パプリカ、
揚げスライスアーモンド、紅葉ドレッシング
蕪の菊花
餡掛け
丸むき小蕪、もって菊、黄菊、菊菜、卸し生姜

段々と寒さが厳しくなってきました。寒くなるとますます美味しくなる野菜を今月はとり上げてみました。まず法蓮草です。

法蓮草はご存知のとおり、たいへん栄養価の高い野菜です。ビタミンA、B、Cのほかに鉄分やヨードも含まれており、ポパイに象徴されるように、子どものころは法蓮草を食べるとポパイのように強くなることができるのだとダマされて? 無理やり食べさせられたのを覚えています。

法蓮草はお浸しはもちろん、和え物(あえもの)や玉子とじ、バター炊め、汁の実など、家庭でも料理しやすい野菜です。

家庭でお浸しなどが出てくると茄ですぎていることがあります。青菜は茄ですぎず、多少シャキシャキと食感が残る程度に茄でることが大切です。

サッと茄でて、2~3回水を替えて晒すぐらいがちょうど良いでしょう。 11月の料理は「法蓮草のサラダ」です。 法蓮草は茄でるものと相場がきまっているようですが、最近は品種改良によりアクも少なく、生(なま)で食べられる「サラダ法蓮草」なるものも出回っています。

法蓮草だけでは絵にならないので旬のきのこ、シメジ茸とマッシュルームを入れてみました。松茸を使おうとも思ったのですが、やはり松茸は塩焼や土瓶蒸しにして香りを楽しんだ方がいいと思いますので、あえて使用しませんでした。

マッシュルームはそのサクサク感を味わってもらうため、生のまま切って使用しましたが、シメジ茸は生では食べられないので、ふっくら感を味わっていただくために塩茄でにして使用しました。

法蓮草、シメジ茸、マッシュルームを合わせ、塩を少々とサラダ油も少量タラしてかき混ぜておきます。

色取りにトマトの小角に切ったものと黄色のパプリカを同様に切って上よりパラパラと振り、スライスアーモンドの揚げたものを上に盛り付けます。

次にドレッシングですが、季節柄「紅葉ドレッシング」と名付け、ほど良い酸味とサッパリ感を味わうために紅(あか)の梅肉を使用いたしました。自宅に梅の漬けたものがあれば、それを裏漉しして使用してもいいですし、またぺースト状にして瓶詰め(びんづめ)やチューブに入ったものも市販されていますのでそれでもけっこうです。作り方は、梅肉の中にサラダ油を徐々に入れ、サラッとした感じになれば十分です。梅肉の酸味が少し強い場合は少量の砂糖を入れ、よく掻き混ぜて味を調えてください。

簡単にできてしかも美味しい、ちょっと工夫して「我が家の特製ドレッシング」でも作ってみてください。

もう一品は蕪です。

この時季になると料理屋でもお魚などに卸した蕪を載せ、蒸して餡(あん)を掛けた「蕪むし」なる料理が出てくるようです。

蕪も色々と種類があり、特に関西方面では「聖護院蕪」とか「近江蕪」など大きな種類の蕪を使用することが多いようです。

蕪はどんな料理にも合いますし、素材としてはたいへん使いやすい野菜です。

家庭では何と言っても「糠漬け」が主流でしょう。あのコリコリとした食感は、京都の名物「千枚漬」に代表される美味しさだと思います。

今回の料理は「蕪の菊花(きっか)餡掛け」です。

日本料理ではいったん米のとぎ汁などで茄でてから、鰹と昆布の出汁で味を付けて煮ますし、季節によっては菊の花のように細工庖丁をしたりしますが、精進料理には必要ないと思います。蕪はそのままの姿で、林檎(りんご)をむくときのように蕪の形にそってくるくるとむきます。これを鍋に水を張り、昆布を多少多目に入れた中に浮かせ、そのまま火にかけます。いわゆる直焚き(じかだき)という方法です。蕪に火が八分通り通ったら、そのままその茄で汁に塩、味淋、淡口醤油であまり色を付けないで味付けをします。

別の鍋には同様に昆布だし汁に、塩少々と味淋、淡口醤油で味を付け、食用菊の黄菊と紫色のもって菊、それに春菊の葉を入れて水溶きした片栗粉で餡を作ります。

こうして蕪に餡をかけ、卸した生姜を添えてめし上がっていただきます。

大根や里芋のように白いものは白く、反対に茄子や椎茸のように黒いものは黒く、その素材の色を上手に引き出すことも料理を美味しく作るコツなのです。