神無月(十月) 秋の吹き寄せ


 

松茸里芋

新銀杏松葉差し

蓮根枯れ葉煎餅

紅葉豆腐

木の葉長芋

柿百合根

新栗塩焼

松葉素麺

稲穂

十月は吹き寄せです。

秋風が吹き、椎の実やどんぐり、銀杏、そして色々な枯れ葉が舞い落ち、ひとところに集まる。やがて雪が降るまでの一時のにぎわい。そんな秋の風情を料理に表現してみました。

松茸は里芋でできています。里芋の皮を残し、松茸の笠の感じが出るようにむいてあります。味付けは絹かつぎのごとく、塩蒸しにしてあります。

いちょうの葉は薩摩芋。枯れ葉は穴のあいている蓮根を、斜めにごく薄く切り、双方とも油で揚げて、お煎餅のごとくパリパリと食べられるようにしてあります。

長芋は木の葉のように包丁でむき、アクを抜いてから塩焼にしてあります。

柿のように見えるのは百合根です。百合根はいったん、塩蒸しをしてから裏漉(うらご)しします。色付けにトマトピューレを加え、火にかけて、白ワイン、砂糖、塩にて味を付け、手にとれるくらいの固さになるまで練り上げます。冷めてから柿の形に整え、昆布で作ったウテナを取り付けて柿に見立てます。

湯葉は松風焼です。松風焼とは表面に芥子の実をふって、化粧をして焼いたものです。一説によると、表面はきれいに化粧をしてあるが裏には何の手も入れず、そのままの状態なので裏がさびしい。これを“浦さびし”として、海岸や海辺の松が風に吹かれ、さびしい音をたてるようすと類似しているので、このように表面を美しく焼き上げたものが松風と呼ばれています。

銀杏は殻からはずして薄皮をむき、銀杏にかぶる程度の水と酒と塩少々を入れ、水分がなくなるまで煎り上げます。

栗は大粒のものを選び、鬼皮と渋皮を包丁でむき(鬼皮は水につけると皮が柔らかくなりむきやすくなります)、山梔子(くちなし)を入れた汁で茹でたのち蜜煮ににします。蜜煮にした栗を塩焼にします。

紅葉豆腐は、木綿豆腐に押しをして水気を取り裏漉ししたのち、当り鉢にて卸し大和芋と合わせ、下味をつけ、流し缶に入れ蒸しあげます。蒸しあげた豆腐を紅葉の型で抜き、豆腐に梅肉を塗り、かわくまで焼き上げます。

稲穂は高温の油に入れ、米が開き始めたら油から上げます。揚げ過ぎると、開いた米が落ちてしまいます。また温度が低いと米が開かず稲穂に花が咲いたようにならないので、温度に注意して揚げてください。

素麺を二本、片端を海苔でつけて油で揚げ、松葉にします。

以上の品を器に盛ります。これといったきまりはありませんので、自由に盛り付けてください。