「現代と宗教」研究プロジェクト 曹洞宗の教えをわかりやすく現代の青・壮年に説く方法の研究


プロジェクトの趣旨・目的
人々の心に届く力を失いかけている宗旨をめぐる言説に、いかに活力を回復できるかということ、また、現代のさまざまなテーマに、宗教はどのようにアプローチができるのかということについて、個別のテーマを通して、知見を深めていくことを目指す自己啓発的プロジェクトです。脳死・臓器移植など、現代の先端的課題である生命倫理については、当プロジェクトが継続的に関心をもち情報を収集・共有しています。
 
プロジェクトの成果と今後の予定
これまで、曹洞宗の「宗旨」がどのように説かれてきたのかを分析し、その問題点を考えてきました。また、ほぼ半世紀前に、宗門の有識者を集めて行われた討論会の内容から、今日の宗門と宗門を取り巻く社会的環境の変化について振り返ってみました。
現在は、東南アジアの仏教(テーラワーダ仏教)の現状について、ミャンマーの研究を専門にしている古山研究員から詳しいレポートを聴き、日本という限られた世界でのものの見方にとらわれがちな私たちの発想を柔軟にしています。
プロジェクトでの学習によって、私たちは、東南アジアの仏教について、戒律を守り、僧院に住み、世俗との交わりを断って、ひたすら自己の解脱を求めるという、いわゆる「小乗仏教」的イメージを長い間植え付けられ、今もその呪縛から抜け出せないでいることに気づかされます。それは、明治以降の近代仏教学が、西欧のサンスクリット・パーリ語文献による経典仏教研究の強い影響下に始まったことと無関係ではないでしょう。
しかし、東南アジアの仏教世界の現実は、「涅槃」志向の仏教はもとより、「功徳」志向の仏教、「除災招福」志向の仏教、「秘儀」志向の仏教など多様な仏教の混在であり、そこには高僧信仰や精霊信仰、超能力者信仰や占術など、さまざまな信仰が深く人々の生活の中に根付いている、豊かな宗教文化があるのです。
さらに、ミャンマーの政府にとっては、政教分離と信教の自由を原則としているものの、統治の正統性の背景に仏教思想をすえようとしていますので、仏教徒の側から反仏教との批判を受けることは、権力を脅かす重大な関心事になります。そうした意味でも仏教は、政治的・社会的にも大きな役割をはたしているといえるのです。
日本仏教を特殊とみる見方の代表として「葬式仏教」が挙げられますが、これは大きな間違いです。東南アジアの仏教もみな葬儀に関わります。その基本的意義は、僧侶に読経をしてもらい、布施をおこない、それによって得た聞法・布施の「功徳」を死者に回向することにありますが、まだこの世にとどまっている死者の霊に経典を読んで聞かせる意味合いもあるそうです。僧侶としての共通性に意を強くする感があります。
 
プロジェクトメンバー(50音順)
宇野全智、久保田永俊、小杉瑞穂、菅原研州、関水博道、竹内弘道(リーダー)、平子泰弘、古山健一、宮地清彦