「近代教団史」研究プロジェクト


プロジェクトの趣旨・目的
近代宗門の歴史および教学の構築過程については、これまで宗門内だけでなく仏教界全体を見渡しても、充分な研究がなされているとはいえません。宗門の教学構築の足跡を明らかにし、さらに「これからの宗侶がどうあるべきか」を提言していきたいと発願したことにより、「近代教団史」研究プロジェクトは発足いたしました。
この時代を考える時、欧米思想の流入に伴い、「肉食妻帯勝手たるべし」に代表されるような政府の制度改革による宗侶生活の激変がありました。
そこで、当プロジェクトの課題としては、周辺事象が変化する中、当時の宗侶がいかに宗旨を理解し、『修証義』を中心とした教学を構築したか、について再検討することとしております。
 
プロジェクトの成果と今後の予定
以上の視点を考慮しつつ、当プロジェクトは、以下の2つの柱を立てて毎月1 回ないし2回の会議を開き作業を致しました。
(1)前年度に選定終了した近代曹洞宗関連資料を基にした、『曹洞宗報』隔月連載の研究報告用原稿執筆と、その原稿の検討確認
(2)成果刊行に向けて、(1)の原稿の再点検と、『曹洞宗全書』の年表などを基にして作成したオリジナルの年表の作成
(1)につきましては、既に『曹洞宗報』誌上に研究中間報告として掲載されており、内容は以下の通りです。なお、第1回は前年度3月号に掲載されています。
第2 回 曹洞宗教団の再編成(1)(碩徳会議の開催/曹洞宗宗務局の設置と管長制度/議会の設置と各制度について)(H23 . 5 月号)
第3 回 曹洞宗教団の再編成(2)(第二次末派総代議員会議について/第三次末派総代議員会議及び第四~五次曹洞宗議会について/衣体制度と寺格について)(7 月号)
第4 回 戦時体制と曹洞宗教団(曹洞宗海外開教史の概略/戦時下の曹洞宗教団/明治期新仏教運動について)(9 月号)
第5 回 明治政府の宗教政策(国家神道への道/伊勢神宮の昇格/壬申戸籍の作製/村の記録からみた国家神道の浸透過程/伊勢山皇大神宮の新設/神武天皇祭典の義務付け/明治5 年の改革/国家神道の新しい神事と寒川神社)(11 月号)
第6 回 神仏分離から廃仏毀釈へ(神仏分離政策/浄土真宗門徒の抵抗/寺院明細帳の提出/神仏分離の実態/曹洞宗霊松寺(長野県大町市)安達達淳師の抵抗)(H24 . 1 月号)
第7 回 両本山の動向(1)(両本山の対立の歴史的背景/明治元年から5 年までの両本山の対立/明治11・12 年の両本山の対立/明治10 年頃の両本山困窮情況)(3 月号)
(2)につきましては、『曹洞宗近代教団史(仮称)』の平成25 年度刊行に向けて、(1)の執筆作業で完成した原稿を点検しつつ、枚数制限のある『曹洞宗報』に盛り込めなかった新たな資料や視点を加筆していく作業を開始しております。
また、読者の読みやすさに鑑み、即座に曹洞宗近代史を概観できる年表の作成も進めております。この年表は上記成果刊行の巻末に付加する予定にしております。
 
プロジェクトメンバー(50音順)
尾崎正善、菅原研州、圭室文雄、宮地清彦(リーダー)、吉田道興