生命倫理のキーワード
曹洞宗総合研究センター
「生命・環境倫理」研究プロジェクト
まえがき
担当 現代教学研究部門 主任研究員 竹内 弘道
高度に発達した先端医療は、人間の誕生から死に至るまでのさまざまな局面において、私たちが永く伝統として培ってきた生命に関する観念について、根本から変更を迫ってきています。具体的には、代理母、遺伝子治療、療脳死・臓器移植、再生医、尊厳死など、かつては想像だにできなかった問題です。つきつめれば生命倫理とは「いのち」に対する人為的操作をどこまで医療の領域で認めることができるかの議論といえましょう。この『生命倫理のキーワード』は、こうした生命倫理のさまざまな課題について、一体何が問題とされているのか、いま現実はどこまで進んでいるのかということについて、情報を整理し、ともに考えていくことを目的としています。
執筆にあたった「生命・環境倫理」研究プロジェクトの4人のメンバーは、生命倫理の専門家ではありません。曹洞宗の宗侶であり寺族であるという以外は、理系あり文系あり、経歴も専門も全く異なっています。このようなメンバーが、定期的に集まり、持ち寄った原稿を互いに批評し合いながら仕上げていく過程で、主な方針が定まりました。
まず、平易な言葉を用い、できるだけ仏教用語は使わないようにするということです。次に、こうした問題は釈尊や両祖の時代には存在しなかったはずなので、経典や祖録の言葉から解答を導き出そうとする発想には立たないということです。つまり、生命倫理を現代固有の社会的問題として把握することに徹するよう心がけたのです。ことさらに仏教的視点を掲げなくとも、そこは仏教者の書く文章です。自ずと仏教色はにじみ出てくるものと期待しました。
この『生命倫理のキーワード』は、平成14年1月から平成17年3月まで『曹洞宗報』の「総研だより」に隔月で連載されたものに一部加筆したものです。情報としては少し古くなっているものもありますが、基本的な姿勢・見方は変える必要はないと考えています。本資料を参考にして、現代における「いのち」の諸問題について考えていただければ幸いです。
目次
第1回 はじめに
第2回 いのちが生まれるまで
第3回 人工生殖技術について
第4回 生殖医療の進歩がもたらす諸問題-非配偶者間体外受精・代理出産-
第5回 クローンとは何か
第6回 ヒトクローンに対する各国の対応
第7回 ヒトクローンの規制と「人間の尊厳」
第8回 法と生命倫理 [特別講演]
第9回 脳死・臓器移植と身体観
第10回 臓器移植と再生医療
第11回 ゲノムの解読
第12回 ゲノム解読の利点と問題点
第13回 狂牛病(BSE)とプリオン病
第14回 遺伝子組み換え作物
第15回 出生以前診断
第16回 新たな優生思想
第17回 生物学的な死と老化について
第18回 老人問題
第19回 現代社会のなかの老い
第20回 安楽死・尊厳死
第21回 自己決定権
第22回 仏教と生命倫理










