平成25年度梅花流全国奉詠大会 ~東日本大震災被災物故者三回忌法要併修


はじめに

5月29日、30日の両日、平成25年度梅花流全国奉詠大会が宮城県利府町の宮城県総合運動公園・グランディ21において開催されました。グランディ21は仙台駅から車で約30分の県民の森に隣接しており、平成13年の「新世紀・みやぎ国体」にあわせて造られた施設で、東日本大震災の折には遺体安置所ともなった場所であります。

今大会では東日本大震災被災物故者三回忌法要が併修され、2日間を通して、約11,000人の梅花講員が参加し、鎮魂と復興への祈りを捧げました。

また、大会の様子を全世界へ向けてインターネット上でライブ配信するという新しい試みも行われました。

オープニング・第1部 開会式

地元、宮城県の幼稚園(1日目は古城幼稚園・若林幼稚園、2日目は岩切東光第2幼稚園)の可愛らしい園児たちがスキップで登場すると会場から歓声と拍手が湧き起こりました。その園児たちの呼びかけにより副大会長・齋藤裕道伝道部長が登場、開会宣言となりました。

緊張した面持ちの園児たちによる献灯献花ののち「お誓い」。1日目は宮城県、寺院梅花講員の滝川澄江さん、滝川実樹男さん、秋山恵美子さんが、2日目は大丸ひで子さん、政木佳子さん、佐藤京子さんが挙唱司を務められました。

開会式では内局、梅花講審議会委員、東北管区教化センター統監、梅花流専門委員らが両班を務め、「三宝御和讃」が唱えられるなか、三宅良憲宮城県宗務所長ご先導のもと、大会長・佐々木孝一宗務総長と導師を務める大会総裁・曹洞宗管長・大本山永平寺貫首・福山諦法禅師がご入堂。拈香法語、三帰礼文をお唱えしながらの三拝、「大聖釈迦牟尼如来讃仰御詠歌(高嶺)」の奉詠となりました。

 

 

 

 

 


引き続き、参加者は管長猊下と相見の拝を行い、福山禅師より「和合を旨とし、上手に流されず、下手に屈せず、まごころをもってお唱えしましょう。被災して参加できなかった方がたの思いも察し勤めましょう」と御垂示を賜りました。

 

第2部 式典

佐々木宗務総長の「私たちのお唱えの響きが、被災地全体にわたり、日本全国に広がり、世界の平和に繋がっていくことを願います」との式辞で式典が始まりました。続く歓迎の言葉では、会場2階席にいた宮城県講員全員も立ち上がり、全国から寄せられたメッセージや歓迎旗を披露。三宅宗務所長は「復興の道のりはまだまだ遠く、今後も皆さまの支援が必要です。震災を風化させないためにも、被災地で見た事をたくさんの人に伝えてほしい」と挨拶されました。

 












そののち、来賓として、東北福祉大学学長・萩野浩基さま、兵庫県豊岡市出石町の臨済宗宗鏡寺住職・小原游堂老師が紹介されました。梅花流創立60周年記念事業の一環として、「大聖釈迦牟尼如来讃迎御詠歌(高嶺)」の歌碑を入佐山の麓、宗鏡寺に建立。4月19日には、その除幕式を行うなど、小原住職には、多大なるご協力をいただいています。また、ご本人は被災地への思いから、出石の地から被災地宮城まで約3ヵ月をかけて徒歩で行脚されました。

なお、今大会の司会は特派師範である久峩章稔師範、森山祐光師範、佐藤正明師範が、詠讃師を長谷誠悦師範、岡本大英師範が務められました。

 

第3部 登壇奉詠

登壇奉詠は昨年に引き続き代表登壇であります。前列の51人は座行、後列の49人は椅子と机を使っての奉詠、その他の方は自席で座ったまま立行作法での奉詠となりました。

北海道から来たお揃いのTシャツを着た子供たちも元気に登壇。福島の詠範は「練習の成果があって、上手に唱えられたと思います」と感想を話されました。各日、12組が登壇。最後は宮城県宗務所の「同行御和讃」で締められました。

そののち、梅花流特派師範と宮城県梅花流師範による「誓願御和讃」が奉詠されると、会場からひときわ大きな拍手が送られました。

 

登壇奉詠が終わり、休憩中には恒例の募金が行われた。ばいかさんとご当地仙台にちなみ、今大会に登場した政宗ばいかくんも応援にかけつけ、坂野浩道総務部長から、これまで寄せられた義援金へのお礼と、いまだ復興が進まない被災地の現状に触れ、さらなるご協力の呼びかけがありました。両日合わせて6,266,933円の多大なる浄財を賜りましたが、これは被災地で行われた今大会の意義を際立たせるものでありました。

 

さらに、宮城県知事・村井嘉浩さまから寄せられたビデオメッセージがスクリーンに映し出され、参加者を歓迎。今後も観光に足を運んでいただきたいとアピールしました。また、売店には東北の物産を扱う店舗も多数出店され、大いに賑わいました。会場の一角には、「青年僧被災地活動紹介パネル展」が展示され、地元青年僧によるボランティア活動や残された人びとの心に寄り添う姿が紹介されるなど、被災地に関わる催しが多数行われました。

 

第4部 東日本大震災被災物故者三回忌法要

今大会では両日で800名余の被災地の檀信徒、ご遺族の皆さまにご参列いただき、震災の犠牲になられた方がたのご冥福をお祈りし、被災物故者三回忌法要が執り行われました。

ステージ上には、宮城県内の僧侶らが、犠牲になった方がたの戒名やお名前を書いた「経木塔婆」4,000余りと、兵庫県第1宗務所管内ご寺院さまより用意された「千体地蔵」が供えられました。

三回忌法要は、宮城県宗務所管内の教区長、内局、審議会委員、専門委員らが両班を務め、福山禅師の導師により厳修されました。拈香法語ののち、「妙法蓮華経如来寿量品偈」の読経により遶行が始まると、大本山永平寺監院・佐藤好春老師、大本山總持寺布教教化部長・山口正章老師、さらに被災3県の梅花講員の代表51名が思いを込めて焼香されました。引き続き、参加者全員で「追善供養御和讃」をお唱えしました。約6,000人が法具を持ち奉詠するという初めての試みでありましたが、心ひとつに亡き人びとへの思いを伝えられました。

福山禅師は「この星の資源は無尽蔵ではありません。それゆえに使い方が問われ、使い誤れば惨事を起こし、奪い合えば人心に混沌をきたします。助け合い、水も空気も分かち合い、ともに生きる道をたどりたいものであります」とお言葉を述べられました。

屋外に設けられた焼香台には、時々小雨が降るなかにも関わらず、おおくの方がたが訪れ、心を込めて焼香をされていました。

 

第5部 清興

今年の清興は歌手のさとう宗幸さんでした。宮城県育ちのさとうさんは、「青葉城恋唄」でデビュー、130万枚のミリオンセラーを記録し、その後、俳優としても活躍。現在も宮城県を中心に活動しており、地元テレビ局の番組でパーソナリティを務めていることから、「司会者宗さん」として親しまれています。復興支援ソング「花は咲く」など全5曲が披露され、優しい歌声とは裏腹に軽妙なトークで大いに笑いを誘いました。

 

第6部 閉会式

詠讃師の「坐禅御詠歌(浄心)」独詠により、静かに坐り、心を落ち着けたのち、齋藤伝道部長より閉会の言葉が述べられました。

来年の梅花大会が5月28日、29日の両日、島根県出雲市で開催予定と発表されると、伊藤晧元島根県第2宗務所長が登場。「島根県は過去2度にわたり、延期、中止になりましたが、この度3度目のご縁をいただくこととなりました。カミアリーナでお待ちしています」と挨拶すると会場からは大きな拍手が沸きおこりました。

フィナーレは「まごころに生きる」を全員で合唱し、今大会は閉幕しました。

参加者が順番に退館するなか、宮城県、福島県、岩手県の皆さまは、感謝の気持ちを込めて「報謝御和讃」をお唱えし、最後の最後まで手を振り見送りました。

被災地で開かれた今大会は、参加された方がたに被災地の現状を訴え、まだまだ進まぬ復興に向けて、更なる支援が必要であることを示しました。大会が無事円成できたことは、準備段階から宮城県宗務所を中心とした被災地の僧侶、寺族の方がたによる多大なるお力添えがあったからこそです。震災を風化させてはならないという気持ちとともに、被災地の1日も早い復興を心からお祈りいたします。


(コラム)
大会の記念バッジは、南三陸町の大雄寺様のご厚意により提供された杉が使われています。大雄寺には、町の文化財に指定されるほどの美しい杉並木がありましたが、津波による塩害被害で伐採されました。このほど、その塩害杉を復興への強い願いを込めて再利用しました。