二祖峨山韶碩禅師大遠忌 九州管区予修法要が執り行われました


予修法要会場の安国寺

近畿管区を皮切りに始まった大本山總持寺二祖峨山韶碩禅師650回大遠忌予修法要ですが、九州管区は平成26年4月18日(金)、福岡市安国寺を会場とし、大本山總持寺貫首江川辰三禅師のご親修にて奉修されました。

安国寺は、慶長5年(1600年)に豊前中津(大分県中津市)藩主の黒田如水の嫡男である黒田長政が、関ヶ原の戦いの戦功で筑前名島(福岡県福岡市)を拝領した際に、豊前中津の安国寺を現在の地に移したものです。山号の「太湖山」は、当時の安国寺が博多湾を臨める場所に位置し、その景観が中国の太湖(江蘇省南部と浙江省北部の境界にある湖)に似ていることから付けられたと言われています。寛永12年(1635年)に火災に遭い、建物が全焼しましたが、2代藩主忠之の援助で再興。昭和55年(1980年)には、本堂の老朽化に伴い再建され、同時に僧堂も併設され現在に至っています。平成5年(1993年)に山門を建造されています。

予修法要当日の10時30分、前日に降った雨は明け方にはすっかり上がり、禅師に就かれてから初めて訪れた安国寺の参道を、江川禅師は一歩一歩しっかりと、ゆっくりとした足取りで本堂まで歩かれ、五鏧三拝を済まされました。

12時の打ち出しの時には約250名が堂内に集結。両大本山関係者、宗務総長をはじめとした内局、管内宗議会議員、管内宗侶や檀信徒の方がたが本堂を埋め尽くしました。開会の辞の後、三宝御和讃が独詠され、佐々木孝一宗務総長が挨拶。厳かに打ち鳴らされる七下鐘により、江川禅師が上殿されました。予修法要のテーマである「相承-大いなる足音がきこえますか-」さながら、江川禅師の足音と、歴代祖師がたの足音を重ねながら、一同、合掌をもって、お迎えしました。

宣疏跪炉のとき、合掌する江川禅師

法要の内容は、宗門の行事で最も丁寧で典雅な法要とされる「十八拝差定」で行われ、一般檀信徒の方がたには普段見慣れない法要のため、会場は水を打ったような静けさに包まれ、参加者は法要の一挙手一投足に注目していました。

拈香法語では、江川禅師は須弥壇上に掛けられた峨山禅師のお軸を瞻仰され、峨山禅師のご遺徳を讃える格調高い法語を朗々と唱えられました。開班に移り、維那を含めた最後の両班の焼香後、維那が自位に復りつつ喝する「大衆九拝」の声に併せて、宗侶はもちろんの事、場内の参加者も斉しくお拝をしました。

挨拶される江川禅師

閉班の後、宣疏跪炉では、維那が法要の意義と峨山禅師さまへご供養を申し上げ讃嘆する疏を読み上げる中、江川禅師は柄炉へ香を焚かれ、神妙な面持ちで掌を合わせていました。法要の後、江川禅師から「峨山禅師のご遺徳を一層讃え申し上げるとともに、み教えが絶えることなく今日まで嫡々と受け継がれてきた、無窮なる慈恩の大きさと、それを未来に向けて伝え続けていく責任の重さも、ぜひしみじみと噛みしめて、明年の大遠忌御正当をお迎え願いたいと切望するものです」とお示しがありました。引き続き大本山總持寺監院・大遠忌局総監乙川暎元老師の挨拶のあと、司会の閉会のことばにより、九州管区の予修法要は盛会に円成いたしました。

佐藤秀孝駒澤大学仏教学部教授

午後2時、会場をアークロイヤル天神ホテルに移し、九州管区宗門護持会管区集会が行われました。会場の参加者は、九州管区内より約250人。管区集会終了後の午後3時から、佐藤秀孝駒澤大学仏教学部教授による「瑩山禅師と峨山禅師-曹洞宗の全国展開を担った總持寺二祖-」と題した記念講演がありました。

佐藤教授は、道元禅及び曹洞宗学、宋元禅宗史、日本中世禅宗史、禅僧の日中往来を研究テーマにされ、新出資料はもちろんこと、既知の資料を丁寧に読み直し、様ざまな成果や業績を挙げられております。佐藤教授は、瑩山禅師門下の峨山禅師と明峰禅師においては、明峰禅師とその周辺の事柄を研究の中心とされていました。このたびの講演は、道元禅師、瑩山禅師はもとより、祖師がたのあまり知られていない頂相や木造の写真をスライドで紹介しながら、鳳鸞龍象の卓越した弟子たちを多く育成され、曹洞宗教団を全国津々浦々と展開させた峨山禅師の人物像に迫るご講演でした。

柳亭燕路師匠

場内を改め、清興として柳亭燕路(りゅうてい えんじ)師匠と林家染八師匠による落語が披露されました。柳亭師匠は平成7年(当時:柳家九治)に国立演芸場花形演芸会金賞を受賞し、平成9年に真打に昇進し、7代目燕路を襲名されました。柳派(やなぎは)は伝統の長屋物・滑稽噺(こっけいばなし)を得意とする流派です。

最初は予修法要のテーマの「相承」に則し、柳亭師匠が10代目柳家小三治に入門した当初から現在に至るまで、師匠から受け継いだ落語の神髄をお話しされました。次に林家染八師匠による上方落語「垂乳根(たらちね)」、新妻の言葉がていねい過ぎることから起こる騒動の噺で場を温め、そして最後は再び柳亭師匠が高座に上り、古典落語「井戸の茶碗」を披露。無類の正直一途な屑屋の清兵衛と、貧しくとも武士の誇りを失わない千代田朴斎、若いながら一本の筋が通った男として高木作左夫が登場し、全員が善人で純朴者同士のやりとりを噺され、拍手喝さいの中、高座が終わりました。

管区集会閉会式は、総務部長の挨拶をもって閉会し、濃密な1日となった九州管区予修法要から管区集会までの行事は無事に幕を閉じました。準備万端整えられた関係者の皆さまは、一様に安堵の表情でした。