曹洞宗教誨師連合会 結成50周年記念大会が開催されました


20140519-0 4月16日水曜日、12時30分より、曹洞宗教誨師連合会結成50周年記念大会が東京グランドホテル3階桜の間を会場に開催されました。佐々木孝一宗務総長(当会会長)導師による開会式の後、記念講演にはダライ・ラマ法王14世を招聘し「『向きあう 伝える 支えあう』を語る」をテーマに講演を賜り、当日は曹洞宗教誨師連合会会員91名、会員の同伴者17名の参加、また東京都寺族会、梅花流専門委員および梅花流特派師範も聴講し、会場である桜の間は満席となり、好評を得ました。

また当日は併せて、来賓として大本山永平寺、大本山總持寺、全国教誨師連盟・平野俊興理事長、東京矯正管区教誨師連盟・近藤哲城会長、浄土宗教誨師会・堀芳照事務局長をお招きしての記念式典も催され、小島泰道教化部長(当会副会長)導師のもと教誨師連合会会員の物故者法要や多年活動されてきた会員の記念表彰も行われました。

この結成50周年記念大会の記念講演について、曹洞宗教誨師連合会副会長である山梨県松元寺住職・阿部惠海師より寄稿がありましたので次のとおり掲載いたします。

 

「ダライ・ラマ法王様を御迎えして」

20140519-5曹洞宗教誨師連合会結成50周年記念に、ダライ・ラマ法王様の講演会開催を一昨年来、曹洞宗東京都教誨師会の方々と計画準備をしてまいりました。この計画に佐々木宗務総長老師、内局諸老師、本庁職員挙げて御指導御援助を賜りました。衷心より感謝申し上げます。

加えて小島教化部長老師をはじめ本庁職員の方々には昼夜をいとわず御尽力を頂き感謝申し上げます。

また法王様の御講演をいただくことにつきましては、特に東京都常林寺御住職・前世田谷学園校長であられた林秀穎老師の並々ならぬお力添えをいただきました。と申しますのは法王様のお立場上、日程変更などもやむを得ない事であるという中、4月16日(当日)は本庁の行事日程からも動かすことが出来ないということを最重要課題として取り組んでくださり、改めて敬意を表する次第であります。

さて「教誨」という耳慣れない言葉でありますが、これは矯正施設からの依頼や被収容者の希望により各施設に(拘置所・刑務所・少年院・医療刑務所など)に赴き宗教教育を通して被収容者の心の安定や宗教理解の啓発、宗教行事の執行などを旨とするものであります。

私共は夫々の施設において精神的、倫理的、宗教的な教化活動を通して人間の根底にある精神に訴え、それらの教育を通して、被収容者に宗教心を起こさせ、反省や懺悔の心に目覚めていただくこと、またそうした心で社会復帰してもらうことを願い奉仕させていただいております。

当日のことについて申し上げますと、法王様御一行が宗務庁玄関に御到着。教化部長老師、曹洞宗教誨師連合会理事が御迎え申し上げ、管長室において佐々木宗務総長老師はじめ内局諸老師謁見。続いて曹洞宗教誨師連合会理事謁見、写真撮影が終わり、会食席に移動、法王様を囲んでの昼食となりました。

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その折、当会からのお土産として被収容者による刑務所作業製品を差し上げましたところ非常にお喜びになられ、その場で「孫の手」「ミニ太鼓のキーホルダー」を手に持たれ、法王様が太鼓を頭陀袋に付けたいと申されましたので、お付けさせていただきました。贈られた品物をその場で開かれるという文化の一端を垣間見た次第です。

会食は終始和やかな雰囲気で進み、いよいよ講演になります。

私は講演会場の壇上まで法王様を御案内する配役で、会食会場から講演会場の壇上中央ソファーまで御案内させていただきました。去ろうとしたとき、法王様がここに座りなさいと申され、突然のこととて戸惑いましたがお傍で勤めさせていただきました。握手を賜りその温もりに慈愛溢れるお方であることを身をもって感じさせていただきました。

法王様の傍らに寄り添わせていただきながら、講演が始まり私は講演中、法王様の御傍で侍者に徹しようと決めました。長い旅路をなさられ、休む暇なく講演、お疲れであることは申すに及びません。お水とお湯どちらをお選びなされるのか、お湯とすれば湯加減に心くばりをしなければ、とその場で対応しなくては侍者としては勤まりません。大事なことを学ばせていただきました。

そのようなことを思いながら、講演を拝聴しておりましたところお土産の孫の手を壇上に持ってくるよう申されました。法王様がコツコツとなされましたので、すかさず孫の手で背中をおなでいたしました。法王様は御自分の頭を私の頭にお付けなされました。節節をおもみいたし、背中を指圧申し上げお疲れを癒していただければと、その都度頭を重ねてくださいました。その時は必ず一呼吸なさられ微笑なされるのです。ありがたいことでありました。

20140519-1おそらく聴衆の皆様には二人は何をしているのかと不思議に思われたことでありましょう。それはそれは極く自然の和やかな時の流れと私は感じさせていただくと同時に侍者の勤めが少しでも成し得たのかと思いました。

法王様はお話を短くして、皆様の質問を大切にしたいとのお考えであられたように存じあげました。講演も中ほどで会場からの質問をお受け下さいました。

何人もの質問をお受けいただく中で、とりわけ島根県常光寺住職・野津雅史老師のお弟子さんである野津僚祐君(12歳)の質問にはことのほか喜ばれました。未来ある僚祐君と握手をしていただきたいと申し上げたところ喜んで壇上にお招きくだされ堅い握手を交わされたのであります。その時、法王様はお土産がないなあと漏らされ頭陀袋から飴一粒をお渡しになられました。なんとお優しいお方であろうと涙を催しました。僚祐君もこの感激は忘れえないことでありましょう。同時に仏縁の尊いことを肌で感じたことでありましょう。

20140519-4こうして日程も無事に進みまして、法王様を無事に御見送りすることができました。誠に有難い時間を過ごさせていただきました。

最後に私事で恐縮ですが、一つ付け加えさせていただきます。翌日ホテルオークラ東京での講演会にもご招待をいただきまして、法王様のお席の御傍に席を頂戴いたし拝聴させていただきました。御講演が終わり、更に会食にまでお招きを賜り所定の席に着座いたしましたところ、法王様が御傍に着席するよう申され、なんと勿体ないことであろうと感涙にむせび泣きいたしました。

食事はバイキング形式でありましたが、法王様自ら老齢の私を思われて料理をお取りくだされ、私に召し上がれと申されました。その御優しさに感激の極みでございました。

最後に法王様の御法身いよいよ御健やかであられますことを祈念申し上げ御暇させていただきました。

このような機会を糧として、今後も慈悲の心豊かに、優しく穏やかに、また自己研鑚を怠らず曹洞宗教誨活動に邁進してまいりたいと思います。

曹洞宗教誨師 阿部惠海合掌