曹洞宗正法寺専門僧堂設置に関する「認可の取消し」処分について


宗門は本日、曹洞宗正法寺専門僧堂(以下「正法寺僧堂」といいます)を本年11月30日付で専門僧堂設置に関する「認可の取消し」処分に付することを決定し、直ちに当該僧堂へ通知いたしました。

その発端となった傷害事件は、安居者2人が、自己中心的かつ身勝手な理由により、常習的な殴打など執拗な暴力を加え、被害者である安居者に対して、骨折や裂傷などの怪我を負わせ、本年7月、その被害届により警察の捜査が及び、逮捕起訴され、加害者である2人が傷害罪により、有罪判決を受けたものであります。

なお、本件「認可の取消し」処分について、その主な理由は、以下に列記するとおりであります。

1) この事件は、宗門有為の人材養成のために設置された僧堂が犯罪者を生み出すという、前代未聞の不祥事であり、わが宗門の僧堂、すなわち侵すべからざる聖域に対し世俗社会の警察権、司法権が踏み込む契機となったわけであり、正法寺僧堂を除いた宗門28僧堂の今後の運営に与える打撃、臨済宗を始め各宗派が実施する宗教指導者を育成するための教育活動に及ぼす影響は、計り知れないものがある。事件発生後もテレビや 大新聞を始めとするマスメディアによる全国的報道が続いていること、宗門への抗議や問い合わせが多数寄せられていることからも、わが宗門の社会的評価を著しく失墜させることにより信用を毀損した現堂長の責任は、重大である。

2) 聞き取り調査によると、正法寺僧堂は、准師家、さらには役員や役寮など指導者を常在させていなかったことが判明した。このことから、組織運営が機能不全に陥っていたことは容易に推測できる。今次刑事訴訟においても、担当検察官より「正法寺僧堂には修行僧を指導監督する能力が認められないため、今後の加害者の更正を正法寺僧堂には委ねられない状態である」と量刑判断理由が述べられ、そのことが裁判所によって判決公判廷で事実認定されている。

3) 今般の暴力事件が起こった背景には、聞き取り調査の中で、堂長は、堂長以外の指導者の介入を排除し、結果、安居者の日常に目が行き届かない状況を作り出してきたことが大きな要因であったと判断される。

4) 2)、3)でも触れているが、正法寺僧堂の「認可の取消し」処分が相当であるとの確信に至った直接の理由は、曹洞宗教育規程第23条に規定するところの、僧堂が備えるべき資格条件を満たしていないとの判断によるものである。具体的には、現堂長への聞き取り調査や連絡のやり取りのなかで、たび重ねて「正法寺僧堂は、当僧堂役員や役寮を常在させることができる資産を有しない」と発言した。これは、「正法寺僧堂には、指導者を常在させることができない」と主張しているに等しく、僧堂の体をなしていないことを現堂長が自ら認めたのも同然である。また、以上の発言により、曹洞宗師家規程第10条第2項に規定する准師家の僧堂常在条件についても反することが露呈し、宗制に則した人事管理がなされていないことも明らかとなった。同条第2号に定める掛搭僧常在に係る資産条件規定「20人以上の掛搭僧を常在させることができる資産を有すること」は、その背後の趣旨として当然に教育指導者の常在を予定していることから、同号の規定を類推適用し、正法寺僧堂は、僧堂が備えるべき資格条件を満たしていないと判断したものである。

以上の事情を考慮すると、正法寺僧堂の体質改善は期待できないため、宗門有為の人材の養成を引き続き委ねることなど考えられず、僧侶教育の資質と適性に欠ける正法寺僧堂が今後も運営を継続することは、はなはだ困難と言わざるを得ない。さらに、経済状態の即時改善は困難であることにも鑑み、曹洞宗教育規程第27条の規定により、宗門は正法寺僧堂を「認可の取消し」処分に付するのが相当であると確信し、結論としたものである。

以上

曹洞宗宗務庁