アイオワ州龍門寺外観

龍門寺は、アメリカ人僧侶のためにアメリカ合衆国中西部に修行道場を建立したいという片桐大忍老師の発願によって創設されました。

「僧侶の和合した静かな生活を叶える場所と環境を築きたい。現代の生活は人々を人工的に保護してしまっている。故に、自然に直接触れながら暮らし、自然のリズムと調和しながら修行をする術を見出さなければならない。古来の生活は、この趣旨に叶っているのである。そのような暮らしを通して現代の生活を異なる角度から見直すことで、生き方を学ぶことができる。」これが片桐老師の目指すものでした。

この目標が龍門寺の根幹であり、こうした価値観を広く伝えていけるような場所と環境を創造するべく、持続可能であり、あらゆる生き物が恩恵を受けられる修行の探求を常に心がけ、地球に対するカーボンフットプリントを最小限にする取り組みを創設当初から実践していました。

2007年以降、僧堂をはじめとする伽藍の建立にともない、仏殿(本堂)、庫院、僧堂、衆寮などすべての施設において、地熱冷暖房ユニットによる電力が供給されています。これにより、冬の暖房にプロパンガスを使用することも、夏の冷房を稼働させる発電で石炭に頼ることもありません。

境内に設置されたソーラーパネル

2015年からはソーラーパネルを設置し、太陽光発電によって冷暖房や照明、パソコンや冷蔵庫、台所の機器や水の供給などに要する電力がまかなわれています。太陽光発電を導入することで自給自足をより実現したいという私たちの要望に、多くの方々に賛同いただき寄付を賜りました。寄付をされた方々も地球に貢献できる喜びに共感していただいています。また、創設以降、境内には菜園や果樹園が整備され、自給自足で生産することで、安価で信頼性の高い食材を収穫しています。まとまった量の野菜や果物を収穫し冷凍保存することで、年間を通じて安定した供給が可能となっています。これらは、食品を購入する際に発生する梱包材や、農家から市場・食料品店への運送にかかるカーボンフットプリントを削減することにも関連しています。また、生産過程でエネルギーを要する人工的な肥料ではなく、自然の堆肥であるコンポストの使用の習慣を実践してきました。

菜園での収穫

さらには龍門寺の建築材、台所用品、庭作業に使う道具や乗り物などは、リサイクルされた物資を全般的に用いることで、各々の素材の生産に発生するエネルギーを多分に抑えてきました。また、僧堂の随所にある建築物や仏壇には、近隣の土地の木々の一部から得られた木材を用いています。これにより「使い捨て文化」とは異なる方向へと舵を切ることができました。

以上のような龍門寺での取り組みは、SDGsの実践でもあり、いずれも片桐老師の僧堂の目標を体現しています。さらに、数世紀遡るならば、道元禅師が「遍界一叢林」と示されています。このような自覚と実践をもって、持続可能な未来のために生きていくべきであると信じています。

アメリカ合衆国アイオワ州 龍門寺 
北アメリカ国際布教師ワインコフ彰顕

 

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