ビッチ大樹師(筆者)

禅光寺は国連サミットで提案された世界的な持続可能な開発目標に沿う努力をし、SDGsが掲げている17の目標の多くを実践しております。

特に九番目の目標「産業と技術革新の基盤をつくろう」に関して、私たちは「智慧の道」という名前の巡礼ルート、そして「観世音陶芸センター」という二つの活動を行っております。

「智慧の道」とは、日本国の四国にある八十八ケ所巡礼を参考にした巡礼ルートで、キリスト教と仏教の出逢いを目的としています。1987年に始まったブラジルで最初の巡礼ルートです。近年、禅光寺はお遍路さんを受け入れる場所のインフラ整備に大いに力を注いでおり、巡礼ルートを利用するお遍路さん、道中に暮らす人々、役場、おみやげ店を含めた全体的な活動の強化に努めています。禅光寺の発案により色々な観光、宗教関係の場所があり、その一つに観世音陶芸センターが設置されている鳥居のある公園があります。

まず、高さ35メートルのイビラス大仏は坐像の仏像としては西洋で最大のものです。州と国からの数十人の専門家、さらに、企業による資材提供と建設作業の協力によって合計350トンの鉄筋コンクリートで作り上げたものです。そのイビラス大仏の近くには、2メートルほどの高さの坐像の仏像が15体並んでおり、庭園には水量20万リットルの滝と鯉がいる池があり、夜にはライトアップされます。

その周辺の「智慧の森」は、2ヘクタールほどの土地を「ならし庭園」とし、芝生や現地の樹木を植え、テーブル、椅子などを整備し、憩いの場となっています。この公園には、週に平均5千人ほどの人たちが訪れるので、324メートル平方の広い食堂もあります。公園の入り口にある2004年に建てられた鳥居は、禅光寺への入り口となります。観世音陶芸教室の横、鳥居の前には禅の庭が広がり精神世界へといざなう空間となっています。

イビラス大仏と観世音陶芸センター

以上のすべての施設にはトイレが設置されており、水道は市が整備したものと自前の井戸もあり、電力も十分供給されます。この公園は国道101号線沿いにあるため、目に入りやすく、イビラスや近隣の地域から訪れることも便利です。

観世音陶芸センターの建物は、鉄筋コンクリートと木材でできており、屋根は二段になっており、中心の空間は明るく風通しの良い場所になるよう設計されております。陶器の作成には、普通の粘土の他に液体粘土、塗料、酸化物、エナメルなど使用しており、すべての材料の廃棄物は再利用します。

禅光寺は10年以上もかけて陶芸教室の設置に取り組んできて、建築費用や設備、道具、材料購入のための寄付を募り、陶芸の技術を教えてくれる人材などを探す活動を行ってきました。2019年、「観世音陶芸センター」を設置し、最初の11人の生徒はブラジル政府のE J A(E d u c a ç ã o d o sJovens e Adultos)という、適時に教育を受けられなかった方や、周辺に住むご婦人がたが参加されました。後には陶芸センターの近隣の方々のみならず、近くの3つの街(アラクルース、フンドン、ジョン・ネイヴァ)からも人が集まり、25人にまで増えました。このようにして、陶芸センターは周辺の村のみならず、エスピリトサント州の陶芸の中心となりつつあります。

陶芸センターでの作業の様子

陶芸センターは、共同作業の大切さ、正しい経済についての知識、収入獲得、社会に対する責任を持ち、伝統と現代の技術に様々な分野の知識をそなえた人材の育成を目指しています。生徒たちは様々な活動を通して集中力、想像力、規律、適応といったかたちで自己を発展させ、協働すること、組織や団体に対する意識といった社会性を伸ばすことも教わります。

生徒たちによって作られた装飾用、あるいは実用的な陶器は、陶芸センターのショールームに展示され、販売されています。その収入はこのプロジェクト維持費、また協同組合のシステムを通して生徒たちの生活を支えるものとなっています。

生徒の作った作品

普通に学ぶとなると、とても高額になる陶芸の技術を習得し、生徒たちが将来的に陶芸制作を職業とし、収入を得、それにより一人前の社会人となるように支援するのが当センターの目的です。

この陶芸センターを卒業した生徒たちがプロジェクトに所属し続け、教室に通いながらさらなる技術を身につけ、教室の援助によりそれぞれの住む地域に陶芸センターを設け、そこに住む方々に知識と技術を伝え、学びと収入の機会を住人が享受し、持続可能な社会が広がっていくことを願っています。

合掌 

ブラジル連邦共和国エスピリトサント州イビラス 禅光寺
南アメリカ国際布教師 ビッチ大樹

 

 

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