いす坐禅のすすめ



会社やご自宅など場所や時間を選ばすに気軽にできる「いす坐禅のすすめ」

■いす坐禅の準備

1.いす坐禅を始めるまえに
坐禅の要は姿勢を調え、呼吸を調えること。それはいすで行っても同じことです。特に大切なのは腰から下を安定させることと、上半身を柔軟なまま、力みのない状態にしておくこと。
そのため、足の置き方に注意し、骨盤(座骨)と背骨をイメージしながら坐ります。

2.いすを準備してみよう
座面は少し固めのもの。
坐ったときに膝が水平より持ち上がらないくらいの高さがあること。高さの調節ができるものだと都合がいいです。背もたれはあってもなくてもいいですが、肘掛けはない方がいいでしょう。座席が回るものや、車輪で動くいすは不安定なので避けた方がいいかもしれません。

3.いす坐禅の環境づくり
まず、坐る環境をととのえましょう。坐る前に、集中しやすい環境づくりが大切です。周りを見回すと、いろいろなものが目につきませんか?少々片付ける必要があるかもしれません。簡単なのは、壁に向って坐ること。最低1mはあけていすを置きましょう。
テレビやラジオは消して、なるべく静かな場所をつくります。暑くもなく、寒くもない適度な室温。でも、扇風機などの風をあててはいけません。簡単に言えば、五感を刺激しないこと。坐禅はすでにここから始まっています。

4.いすに坐ってみよう
普通、いすに座るときは、背もたれに身体をあずけた楽な姿勢ですが、いす坐禅の坐り方は少し違っています。
いす坐禅の坐り方は、座面の半分より手前に浅く坐ります。当然、背中は背もたれから離れます。

5.からだをほぐす
いすに座る前に少し身体をほぐしておきましょう。肩を10回程度上下に揺すり、腕を前後に5回、首を左右に5回ほどゆっくり回します。最後に3回深呼吸。少し吸って、口から「ふー」と長くはき出します。
上半身を柔らかくしておくことで、坐禅の姿勢がととのいやすくなります。

 

■いす坐禅のはじめかた
からだをほぐして、いすの準備が整ったら、ひとつひとつていねいに、はじめてみましょう。

1.骨盤を立てる
いす坐禅で最も大切なのが、骨盤を立てること。いすの座面にあたる骨盤底の二つの突起〈座骨〉を感じるようにします。けっして無理に腰に力を入れ、前に突き出してはいけません。

2.足の角度と位置
腿が水平より立ち上がらないように膝の位置を調整します。椅子の座面より膝が下にあると落ち着きます。
足は肩幅に開いて地面につけるか、椅子の下に少し引いてかかとが上がった状態でもかまいません。

3.背骨を積み上げる
自然に骨盤を立てることができたら、腰を安定させ、背骨を一つ一つ下から順に積み上げていくイメージで。首までいったら頭をのせ、少しあごを引いて落ち着かせます。

4.法界定印(ほっかいじょういん
右手を下、左手を上にして重ねます。両手の親指をつけて、足の付け根の中央に自然に下します。

5.左右揺振(さゆうようしん)
まずは2,3回、口から大きく息を吐き出し、あらためて上半身の力みを取りのぞきます。座骨を感じつつ、左右に身体を揺らし、前後左右に傾かない真っ直ぐな姿勢を確認して静かに止まります。
さらに、姿勢を自分で点検するために、肩と耳の水平ラインと鼻とへその垂直ラインをイメージして微調整します。


6.目の形と口の中
目は閉じません。1.5メートルくらい先の床に視線を落とすと、開きすぎず、細めすぎない、自然な力みのない形になります。口は閉じ、舌は上あごに付けて、口の中に空間ができないようにします。


7.呼吸の仕方
基本は腹式呼吸で行います。
慣れないうちは、吐く息を中心にゆっくりと長く行ってみてください。
静かに深い呼吸ができるようになれば、無理に意識する必要はありません。

8.坐禅終了
あまり急に立ち上がったりしないように。少しずつ身体を左右に揺らし、身心をほぐしてください。ゆったりとした、いす坐禅の余韻を味わいます。

近年、さまざまな事情により足を組むことが困難な方が増えてまいりました。『いす坐禅のすすめ』は、『普勧坐禅儀』『坐禅用心記』を基に、坐禅の一端である「調身・調息・調心」を味わっていただきたく工夫し作製いたしました