宗務総長談話(朝鮮民主主義人民共和国の核・ミサイル実験強行に関して)


朝鮮民主主義人民共和国の核・ミサイル実験強行に関して

 

曹洞宗は、この度強行された朝鮮民主主義人民共和国による核実験と、度重なるミサイル発射実験に対し、強い抗議と遺憾の意を表明いたします。

わが国は世界で唯一の原爆被爆国として、その被害が想像を絶することを身をもって経験しました。そして、一たび核兵器が使用されれば人類にとって取り返しのつかない状況になるであろう中で、関係する国々や人々が互いに言葉や行為をエスカレートさせ、緊張が高まっていることに深い憂慮の念を抱かずにはいられません。

仏教では、人間が互いを傷つけ、また自らを苦しめる起因となるものは、貪(むさぼ)り、瞋(いか)り、痴(おろ)かさという煩悩であり、それは行い、言葉、思いによって現実に表れ出ると考えます。相手の平穏を奪ってでも自らの欲望を実現させようとするむさぼりの姿勢。自分の思い通りにならないことに感情を荒立て、理性的な対応を放棄するいかりの姿勢。自己中心的な思いに惑わされ、公平で正確な正しい知見を放棄するおろかさの姿勢。こうした姿勢で物事を捉え、身勝手な行為や言葉、思いをエスカレートさせていく先には、破滅の未来以外はありません。欲望と怒りは、相手のみならず自身の側にも必ず、大きな不幸をもたらすものであります。

「人権 平和 環境」を標榜し教化活動を推進する曹洞宗は、戦争の悲惨さを直視し、いのちの尊さを自覚して、世界平和の実現に向け努力を続けています。この根本には、お釈迦さまのみ教えと、道元禅師さま、瑩山禅師さまのお示しを依りどころとして、慎みと慈悲の心に満ちた、争いのない社会を築きたいという、私たちの願いがあります。

私たちは、他者に向けられるあらゆる暴力性に断固抗議し、関係するすべての人々が、冷静で理性的な行動を取ることを強く望みます。

 

2017年9月13日  
曹洞宗宗務総長 釜田隆文

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